スポーツの「駆け引き」の重要性
みなさんこんにちは。
だんだん習慣が戻ってきました。大杉です。
今日はスポーツにおける重要な要素「駆け引き」について、自分の考えや捉え方をしゃべっていきたいと思います。
そもそも駆け引きとは?
駆け引きは、環境に左右されにくいいわば
「クローズドスキル」(ゴルフのバッティング、ダーツの投擲などの次の運動が予測可能なスキル)
というよりは
「オープンスキル」(サッカーやバレーボールのように環境が変化するものに適応することが求められるスキル)
のスキルの一つであり、この駆け引きが試合の勝敗を左右することもしばしばです。
駆け引きの大きな特徴として、状況や相手の特徴、特性に合わせて大きく行動が変化するという臨機応変さがあります。(陶山,藤田,小塩,大束,2017)
同論文の駆け引きの定義は、
そもそも有利な立場を獲得あるいは維持しようとする双方の欲求による戦場や商売、交渉などでの対応に焦点を当てた用語であること、
スポーツにおいては、対戦相手や対戦状況に応じて自分たちのチームあるいは自分にとって有利なように試合を展開させるプロセスであること
となっています。
わかりやすい例がサッカーのフェイントです。
サッカーの対人場面では、相手や味方の配置、動きから次に自分はどう動くか、何を選択するかを決定します。
そして時には相手がそれを読んでいることを前提に、あえて別の動きをして自分にとって有利に働くようにします。
これは立派な駆け引き動作の一つです。
これはわかりやすい駆け引きの一例ですが、他にも大きさは違えど駆け引きはスポーツの中に無数に存在しています。
それでは、ここからはその「駆け引き」がスポーツに、またスポーツに参加している人にどのような影響を与えているのか、考えていきたいと思います。
「駆け引き」の有用性は?
論文等の見解
広島大の研究では(松本,齊藤,白石:2020)、中学校体育において生徒の苦手とすることが多い長距離走で、駆け引き要素を取り入れた「駆け引き型長距離走」の形での実施を行いました。
結果、ただの長距離走ではなく駆け引き要素が加わることで、通常時より長距離走に対する好感性が、特に長距離走を苦手とする生徒のなかで高まったと記載されています。
また、西山、諏訪の研究(2012)では、前提として対人協議において身体を用いて互いの意図を伝え合う非言語コミュニケーションとしての醍醐味がある、と駆け引きについて述べています。
加えて、選手の身体と環境の相互作用によって成り立つもので、状況によって違うものとなるため、現場で教えることが困難であるとも同論文では述べられています。
私の見解
続いて、私自身の駆け引きに対する有用性についての考えを述べさせていただきます。
私の中での駆け引きの意義は、
なんといっても「体力、身体能力とは違う部分で勝負できる対人競技固有の要素」であると考えています。
私自身がそうだったのですが、
運動が好きだけど身体能力はそこまで高くない
って方、または知り合いにいるかもって方いませんか?
私は楽しくスポーツができることが喜びではあるのですが、何せ足は遅いし逆上がりとかもできないんですよね。
だから、短距離走とか体操とかは大っ嫌いです。
でも、球技は好きだし、鬼ごっこはチーム戦とかなら嫌いじゃありません。
なぜなら、
走るとか体力以外の要素で勝ち筋があるからです。
そう、それこそが「駆け引き」なのです。
ここで仲間の囮になれば勝てるかも、相手はこう攻めるからここをブロックしたらカウンターに繋げられるかも、など、
考えて自分にできることを実践すればいくらでも勝ち筋が見つかるのです。
もちろん動くのは大好きなのです。
でも、ただ動くだけでは勝てなかったり、できなかったりする身体能力の壁がある人も私を含めいるはずです。
そんな時、その壁関係なく勝負の舞台に立てるのが、「駆け引き」なのです。
アニメから
皆さんは、「ワンナウツ」というアニメをご存知でしょうか?
球速は120km/h程度しか出ないピッチャー「渡久地東亜」が、巧みな心理戦によってプロ野球界で理不尽な契約の中無双する、まあざっくりいうとこんなアニメです。
最近では150km/h超えは当たり前のプロの世界でもはやバッティングピッチャー(選手に打たせる球を練習で投げる投手のこと)のような球を投げて、一体どう相手に勝ち続けるのか。
これは、ぜひ見ていない方は見てみてください。
ところで気づきましたか?
渡久地は心理戦、駆け引きによって球速のハンデを覆しているのです。
駆け引きは、とても面白くてとても興味深くて、とても重要な要素なのです。
駆け引きの面白さを知ろう
まあ「ワンナウツ」を読んでいただいたり、あとはスポーツでないところも入れると「賭ケグルイ」とか「トモダチゲーム」とかを読んだりしても駆け引きの面白さを知り、実際に体験することができると思います。
我々はそれでもいいですが、これをこどもに伝えるにはどうしたらいいだろう、といつも考えています。
私は現在子どもたちにスポーツを教える中で、
「駆け引き要素を含んだミニゲーム」を必ず組み込んでいます。
ただ、その中でやっぱり最初はそもそも駆け引きであるということに気づくのはかなり難しいのです。
かといって、これはこうしたらいいよ、と全員に教えてもその通りにしてしまうだけで、自分で考えて相手を騙す、というところになかなか至れないのです。
自分で気づき、その魅力にハマっていくということが一番面白いとは思うのですが、果たしてそれが今できているのか、駆け引きであることにそもそも気づけているのか、これからもっともっと私自身も工夫していく必要があります。
また、他にもとにかくスポーツを楽しめる要素!みたいなものがあればぜひ教えていただきたいです。
それではまた!
参考文献:
・空手の組手競技における駆け引きの身体性
The 26th Annual Conference of the Japanese Society for Artificial Intelligence
西山 武繁,諏訪 正樹 2012
・中学校体育における「駆け引き型長距離走」が 生徒の態度に及ぼす効果の検討 ─ 長距離走を苦手とする生徒に着目して ─
広島大学大学院人間社会科学研究科紀要「教育学研究」第1号
松本佑介・齊藤一彦・白石智也 2020
・サディズムとスポーツにおける競技成績との関連 ― 駆け引き上手を媒介変数として
日本パーソナリティ心理学会 2019
下 司 忠 大, 陶 山 智, 小 塩 真 司, 大 束 忠 司 2018
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