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株式会社や合同会社の違いとは?

法人化(会社設立)を考えている方には目を通して欲しい記事になります。

法人会社の種類

会社を設立する際には会社形態を選ばなければなりません。
2021年現在営利法人として設立可能な会社は

● 株式会社
● 合同会社
● 合資会社
● 合名会社

会社形態の種類は4つあります。

「有限会社」もよく目にしますよね。
新会社法の施行以後、現在は新規設立することができなくなりました。
新会社法の施行前までに、有限会社として存在した会社のみ
「特例有限会社」として、「有限会社」を名乗ることができますが
会社法上は、株式会社として扱われます。

さて、現在設立できる会社形態として
ほとんどの方が迷われるのは

「 株式会社の方がいいの? 合同会社の方がいいの? 」

この2つで迷う方が多いと思います。
主にこの2つについてお話していきます。

株式会社

会社を設立しようと考えた時に一番に思い浮かぶのはこれでしょう!
大きな特徴としては

● 株主(出資者)と経営者が分かれている
● 第三者からの出資を受けて規模を大きくする事が可能
● 上場することができる

株式会社は利益をあげることを目的として
株主から資本を集める形になっています。
株主から経営を任された人のことを  取締役  と言います。
取締役は集めた資本を経営等により更に増やし、
会社の価値を高める責任を負います。
株式会社は「資本」と「経営」が分離 しています。

考え方としては上記に説明した形になりますが
ほとんどの実際にある会社は 株主=取締役 というのが現状です。
社長が出資して会社を設立、経営を行うことが多いです。

合同会社

最近は増えてきたというイメージがありますが
まだ株式会社よりかはピンとこない方もいらっしゃるのでは?
特徴としては…

● 経営者は出資が必須となる(出資者と経営者が一体化している)
● 利益を出した場合出資額に関係なく自由に利益を配当することが可能
● 株式会社よりも更に小さい、小規模の事業をするのに向いている

合同会社では、素早く動ける力のある組織が念頭に置かれますので
意思決定も滞りなく行われるような仕組みが採られています。
会社へ出資している者が経営も担当します。
そのために会社としての意思決定は経営をしている者同士での
会議で決定することになり迅速に経営ができます。
合同会社の場合は出資者の事を「社員」と呼びます。
これは正社員や契約社員などの従業員の意味とは別物になります。
混同しないように気を付けてくださいね。

株式会社と合同会社が多いのはナゼ?

会社の債務に対し、無制限に責任を負う「無限責任社員」と
出資額までの責任を負う「有限責任社員」があります。
合資会社と合名会社は「無限責任社員」を構成に入れる必要があります。
それとは逆に「有限責任」だけで
会社を設立できるのが株式会社と合同会社です。
経営者は会社を設立するにあたって
リスクの少ない方法を選択される方がほとんどです。
合名会社や合資会社と比べて
株式会社や合同会社の設立が多いのはこの理由からです。

株式会社設立のメリット・デメリット


メリット

● 社会的な信用力が高い
 「株式会社」がメジャーなこともあり社会的認知度が高いです。
 また、合同会社と比べると守らないといけない法律の規制が多い為
 信用力が高いといえるでしょう。

● 資金調達方法の選択肢が広い
 株式会社は株主より出資を得ることができます。
 新株発行、転換社債型新株予約権付社債(いわゆる転換社債)など
 株の仕組みを使った資金調達を行うなら株式会社にする必要があります。
 出資額を超えて損失を負うことが無いため出資者は投資がしやすいです。

● 上場することができる
 一部上場の審査基準に株主数が2200人以上の項目があります。
 上場は株を発行できる株式会社のみが可能となります。


デメリット

● 設立にかかる費用が高い
 株式会社を設立するにあたり公証人手数料令35条により、
 定款の認証が必須となります。
 おおよそ250,000円前後が設立費用としてかかります。
 ざっくりとした内訳は下記になります。

 ・ 定款用収入印紙代40,000円
 ・ 定款の認証手数料50,000円
 ・ 定款の謄本手数料  2,000円(おおよそ)
 ・ 登録免許税   150,000円 又は 資本金額×0.7% のどちらか高い方

 ちなみに、定款は紙だけではなくPDFで作成することも可能です。
 電子定款(PDFで作成したもの)の場合は収入印紙代が不要になりますが
 作成するために必要なソフトや機器等を揃えると
 費用がさらにかさむ可能性があります。

 登録免許税は株式会社の場合はおおよそ2,1400,000円未満の資本金
 設定すると最低金額の150,000円で行うことが可能です。
 
● 役員任期がある
 役員の任期は最長10年です。役員の任期が到来した場合
 同じ人物が役員に再任(重任)する場合にも
 登記をする必要があります。
 なお、登記を行う際に登録免許税(1万円)の費用がかかります。
 (資本金1億円以上の会社の場合は3万円必要となります)

● 決算公告の義務がある
 毎年決算期ごとに決算の数字を公表することが
 会社法440条1項で定められており、義務づけられています。
 官報掲載費がおおよそ7万5000円と高額です。
 しかし、大きな罰則が無いからか
 特に中小企業では決算公告をしていないことが多いです。

合同会社設立のメリット・デメリット


メリット

● 設立にかかる費用が安い
 株式会社がおおよそ250,000円設立費用としてかかりますが
 合同会社を設立する場合は定款の認証の必要がないため
 定款認証手数料や謄本手数料がかからず
 最低10万円から設立が可能です。
 ざっくりとした内訳は下記になります。

 ・ 定款用収入印紙代 40,000円
 ・ 登録免許税    60,000円 又は 資本金額×0.7% のどちらか高い方


 登録免許税は合同会社の場合はおおよそ8,570,000円未満の資本金
 設定すると最低金額の60,000円で行うことが可能です。


● 縛りが少ない
 株式会社のように株の保有数により利益分配が決まる形ではなく、
 出資比率に関係なく利益配分が可能であり、経営の自由度が高いです。
 自由なので優秀な社員の利益配分比率を高めるということも可能です。

 そして役員の任期がないので任期の更新が不要となり、
 費用と時間を取られません。
 決算公告の義務もありません。
 定款内容の自由度が株式会社より高いため
 企業に応じた定款を作成することができます。


● 意思決定がスムーズ
 方針や重要な事項を決定するためには株式会社の場合は
 株主総会を開催しなければなりません。
 合同会社の場合は出資者=経営者なので
 株主総会を開催する必要がありません。
 そのため、迅速に意思決定がおこなえます。


デメリット

● 社会的信用力が低い
 合同会社の場合は決算公告の義務がありません。
 金額的に公告義務がないことでメリットになる部分もありますが、
 数字をしっかり公表している株式会社に比べると
 信用力に欠けてしまう部分でもあります。
 また、株式会社と比べると2006年の会社法で合同会社が
 新たに作られたためまだまだ歴史が浅く知名度が劣ります。
 取引先によっては株式会社ではないために
 契約をしてもらえない事もあります。
 しかし、最近では大手有名企業も合同会社の形態を選んでいる場合が
 増えており徐々に社会的認知度が増えていくと思われます。 
 
● 資金調達方法の幅が狭い
 合同会社には株式という概念がないため、資金の調達方法となると
 借入(融資)や国、自治体からの補助金や助成金が中心となります。
 株式会社の場合は株式の増資による資金調達が可能となります。
 そこと比べると大きく制限されてしまいます。

● 上場できない
 合同会社の場合は株式発行ができないため、
 株式上場の審査基準となる株主数をクリアすることができません。


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後から会社形態の変更は可能なのか?

株式会社から合同会社に変更、その逆の合同会社から株式会社へ変更
どちらも可能となります。
上記のように株式会社、合同会社どちらにも
メリットデメリットがあります。
例えば現在、株式会社だけれども合同会社の方が
運営に向いているのであれば設立後でも今後の状況も考えて
変更手続きを行うのも1つの手です。

株式会社から合同会社への変更手続きには下記が必要です。

・取締役会等での決定
・組織変更計画書の作成
・官報公告への申込や掲載
・債権者保護の手続き
・株主等に対しての通知
・株主総会等での組織計画の承認
・その他登記に必要な書類の取り揃えや法務局への登記申請等

ざっくりと手続きを記載するとこんな感じです。

逆に合同会社から株式会社への変更手続きには下記が必要です。

・組織変更計画書の作成
・総社員からの組織変更計画書への同意を得る
・債権者保護の手続き
・その他登記に必要な書類の取り揃えや法務局への登記申請等
・官報への公告を掲載

債権者保護手続きには最低1ヶ月を確保する必要があります。
また、登記申請には1週間程度の審査期間が必要となります。
上手くいけば1ヶ月半で手続きを終わらせることも可能ですが
手続きに抜けや漏れ等トラブルがあると、おおよそ変更までに
多めにみて2ヶ月半ほどは掛かると考えて良いと思います。

会社形態変更に伴う金額はおいくら?

組織変更計画書作成時に効力発生日
(組織変更が有効となる日)を決めます。
効力発生日から2週間以内に新会社の設立登記と
旧会社の解散の登記を同時に行います。

● 株式(合同)会社の設立登記の登録免許税
 登録免許税 30,000円 又は 資本金額×0.15% 
 (3万円に満たない場合は3万円)

● 解散登記の登録免許税 30,000円

● 官報公告費用 35,000円〜50,000円程度

組織変更費用としては最低でも
おおよそ10万円はかかると考えて良いでしょう。

最後に

設立費用等の経費が少なく済むため資金が少ない状態から
スタートする場合であれば合同会社での設立が大変助かりますね。

小規模な会社で少ない人数で頑張りたい!や、個人の趣味の延長戦上、
家族だけでの運営等で規模の拡大を視野に必要としない方、
上場を視野に入れていないのであれば合同会社を選択する方が多いです。

合同会社という会社形態に慣れない方もまだまだいらっしゃります。
例えば居酒屋や美容院等は社名よりも店舗名の方が大きく出るビジネスです
この場合は社名が表に出ないので
合同会社って何?というリスクの回避はできます。

今は小規模な会社だけではなく有名企業にも最近は合同会社が
増えております。例えば「Apple Japan合同会社」「Google合同会社」
「合同会社西友」「合同会社DMM.com」
この有名企業は株式会社から合同会社へ乗り換えた企業です。
運営していく上で合同会社のシンプルな形態が
今後の運営に向いており組織変更を行ったのかと思います。


上場を目指しての開業、会社の規模を広げていきたい場合はやはり
株式会社をおすすめします。資金を集めて会社を大きくするのであれば
株式発行が可能な点は大きなメリットです。

また、銀行から融資を受ける場合には決算公告や組織設計が
きっちりしている株式会社の方が信用は大きくなります。

取引先に昔ながらの中小企業が多い場合は
まだまだ合同会社の認知度が低い傾向があります。
その場合は株式会社を選んでおいたほうが安全かと思います。

他にも合同会社のメリットに沿わない場合は
株式会社を選択しておくのが無難ですね。



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