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トマト、玉葱、じゃがいも、を制する者は

うちのフードに「ベイクドマッシュポテトとバゲット」というメニューがある。

じゃがいもを茹でて潰し、バター、生クリーム、牛乳などで少し煮詰めた、いわゆるステーキなどの添え物の「マッシュポテト」を、主役にもってきたものだ。

以前、ニューヨークへ行ったときに、ちょっと寄った気軽なデリカで、スペアリブの付け合わせに、でっぷりとした黒人のお姉さんが、「ベチョっ!!」っとヘラで豪快に盛ってくれる「マッシュポテト」にえらく感動して、自分の店でもいつかやりたいと思っていた。念願叶って自分の店でも早速作ってはみたが、ステーキ屋のようにそういつもいつも出るメニューではないので、鮮度のことを考えて、一旦冷凍したものをもう一度オーブンで焼く事にした。それで「ベイクドマッシュポテト」。今では密かな人気メニューになっている。


ところで、 BARのメニュー、特にフードのメニューは、旬の果物を使ったようなカクテルとは違い、基本いつも同じ、年間通して安定的に供給できればそれで良いと思っている。(もちろん旬の食材で、気の利いた一品などを出される店は、それはそれで素晴らしいと思うし、僕には出来ない大変なご努力だと思う。)


となってくると、年間通して安定的に手に入る食材というと、


・トマト
・玉葱
・じゃがいも

などが代表的なものになるかと思う。


これらの食材とどう付き合っていくかが、BARなどの「お酒」を中心とした飲食店では鍵になってくるかと思う。

ピッザにしてみたり、煮込みにしてみたり、グラタンのようなものにしてみたり・・。

とにかく、姿・形は変われども、同じ食材を使っているには変わりはないのだが、フードメニューに対するエネルギーの掛け方としては、それで良いのだと思っている。


ところで、このトマト、玉葱、じゃがいも、であるが、

「トマト」に関してはホールの缶詰などがあるので、サラダにでもしない限り、こちらを活用するので充分だと思う。(煮込みなどの場合、輸入物のトマト缶の方が安価で、しかも上手くいく。)

一方、「玉葱」と「じゃがいも」に関しては、ご存知のように、日本では産地が年間を通して移動(北上)していくので、仕入れもそれを追いかける形になる。

ところが、この春先になると、「新玉葱」「新じゃがいも」と称した、「初物」のようなものが登場して、それがスーパーや八百屋の棚を占領してしまう。

この「新」のつく物は、一般には有り難がられているのかもしれないが、こと、安定供給を目指す BARのフードメニューとしては、状態が違いすぎて少々困る。

特に前述の「マッシュポテト」などに使う場合、「新物」は水分量が多すぎて、使い物にならない。

「新物」でない、普通の「じゃがいも」も生産地が無いわけではないのだろうから、売る方も少しは安定供給側に配慮して、少量でも置いてくれると助かるのだが・・。(「玉葱」の方はまだ探せばあるようだが、「じゃがいも」、特にマッシュポテトに最適な「男爵」は本当に姿を消す。)

それならば産地から直接取り寄せればと思うかもしれないが、たかだか BARのフードメニューの一品である。そんなに量が必要なわけではない。それをダンボール一箱取るのはどうも・・。腐らせてしまっては元も子もない。


そんなわけで、この時期でも「新物」でない、普通の「男爵」を置いてある所を探して、あちこちのスーパーや八百屋、デパートなどを走り回ることになる


しかし、これが長年やっていると、なんとなく何処のスーパーにどの時期、「新物」でない普通の「男爵」が置いてあるかが読めてくる。

それを狙って行って、見事的中したときは、ちょっと「してやったり」である。


今年も少し見つけた。


仕入れの担当者とはきっと気が合うかもしれない(笑。


「ベイクドマッシュポテト」。


ちょっと時間がかかるメニューですが、


見つけたら、是非どうぞ。


神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。

ポテトサラダ」はしばらく「マカロニサラダ」に変わっております。

お待ちしております。


C'mon Now / Sundae Sauuce Music
Sundae Sauuce
2020

(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)

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