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2024年2月の記事一覧
【詩の翻訳】不幸なのはきっと/ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ
不幸なのはきっと
不幸なのはきっと
できることをせず、
理解していないことをあえてする者だ。
破滅しても不思議はない。
Johann Wolfgang Goethe: „Wohl unglückselig ist der Mann“, In: „Deutsche Gedichte für die Hauptschule”, Hrsg. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.]
【詩の翻訳】港の光景/へレーネ・フォークト=ディードリヒス
港の光景
一面にたちこめる白々と明るい霧が
夢うつつの港にかかっている。
ぎっしりと密集した家々の間は
カーテンのかかった窓とともに眠っている。
空に向かって迫るように聳え立っている、
工場の黒い煙突が。
朝には家に向かって漂う、
獲物を積んだ漁船が。
日々の仕事の騒々しいどよめきから
もはや他の音は響かない
船の巨大な肺から出る
蒸気を絞り出す呻き声のほかには。
Helene Voigt
【詩の翻訳】測量技師/ハインツ・ピオンテック
測量技師
いま棒が何本も立っている、地面に打ち込まれ、
白と赤で、尖った鉄の管がついている。
男たちの目は観察のせいですりむけたように赤くなっており、
喉は命令を叫ぶせいでしゃがれている。
一人は地図を広げて持ち、
その間にもう一人がレンズを回す。
十字線を通ってヤギの放牧場が滑り込む
それから消失点へと向かう助手が。
三人目は計算尺を掴むに違いなく、
四人目は臨時工を急き立てている。
だら
【詩の翻訳】左官たち/クルト・エーリヒ・モイラー
左官たち
レンガは太陽の熱の中で踊っている
左官たちの左側の平らな部分では、
そしてレンガはすんなりと仲間たちに馴染んでおり、
左官たちの右手にはきらきらと
素早く動くこてが輝いている。
彼らは塗り付け、上手に平らにする
モルタルを層の中へと。
レンガの灼熱が彼らの顔に照りつけた、
彼らが壁の守りの強さを
叩いて調べ、強めるときには。
ツバメが飛び立ち、飛び込んだ、
骨組みの境目を抜けて、
【詩の翻訳】種蒔く人の辞/コンラート・フェルディナント・マイヤー
種蒔く人の辞
一歩の距離を測れ!一蒔きの量を測れ!
大地はまだまだ若い!
そこに死んで永遠の眠りについた穀粒が落ちている。
眠りは甘美だ。穀粒はそれを十分に感受している。
ここに一つ、土塊を割って出てきた穀粒がある。
穀粒はそれを十分に感受している。甘美なのは光だ。
そしてこの世界からこぼれ落ちるものは誰もおらず、
誰もが神の御心にかなうように死んでいくのだ。
Conrad Ferdinan
【詩の翻訳】帰宅/アグネス・ミーゲル
帰宅
私たちはもう一度視線を
ごく高いところのマイルストーンに向け、
村の方を振り返った、
沈みかけの夕日の中にある村を。
真紅の雲の扉が
森の上でぱっと開き、
墓地は、野は、荒野の沼地は
すでに青い黄昏の中にある。
一人の農夫が道を下っていく、
背中に
金髪の小さな娘をおぶって——
娘は大喜びして叫び笑う。
父親は歌った——夕凪が
二人の笑い声を私たちの耳に運んだ——、
それで父親は子供
【詩の翻訳】おやすみ/テオドール・シュトルム
おやすみ
静かな通りに
澄んだ鐘の音が響きょーる。
おやすみ!おめえの心も寝るじゃろ、
明日はまた別の日じゃ。
おめえの子供はゆりかごの中で寝とる。
わしもおめえのそばにおる。
おめえの心配は、おめえの人生は
みんな周りに、そばにある。
もっかい言わして、
こんばんは、おやすみ!
夜は屋根みてえ、
神さまがわしらを見とってくださる。
Theodor Storm: „Gode Nacht“,
【詩の翻訳】大事/アルフォンス・ペツォールト
大事
あることが君の心に残っているに違いない、
君は今叩いているのだろうか、旦那、鋼鉄と石で、
槌を掴んで深みへ降りているのだろうか、
火の明るさを制しているのだろうか、
耕地に種子を恵み、
土地と土地を銅線で結び付けているのだろうか——
どこかに仲間の一人がいて
同じものを同じ無口な力で創造しているのだから、
どこかで仲間の一人が君のように
激しい憧れを抱いて太陽の輝く時間を目指しているのだか
【詩の翻訳】立坑での死/ゲリット・エンゲルケ
立坑での死
二百人の人々が立坑に落ちた。
母親たちは上の方で群れをなして押し合いへし合いしている。
煙が立坑から上がる。
石炭の山は夜も下で燃え、
原始の太陽の火がほとばしる。
煙が立坑から上がる。
救助隊が降りていき、
戻ってこなかった、彼らはずっと下にいる。
煙が立坑から上がる。
燃え盛る大口が犠牲者を貪り——待ち構えている。
焼けた坑道は壁となって立ち塞がる。
煙が立坑から上