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Werk und Tag/労働と一日

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【詩の翻訳】街/ゲリット・エンゲルケ

【詩の翻訳】街/ゲリット・エンゲルケ



一万の堅いブロックが谷に届いた、
石から成り、石の上へと、木と鉄の格子をめぐって高く積み上げられ、
スチームパイプ、塔、鉄道によってさらに橋渡しされる、
網から網へと張り巡らされた導線によって。
多くの溝によって深く掘り返された山。
それは巨大なラビリンスだ、
それによって運命は人間を人々の周囲へと押し流す。

五十万の大いなる生命が円を描いて転がっていく、
途方もない努力ですべての溝を抜け

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【詩の翻訳】さすらいの歌/ユルゲン・ブランド

【詩の翻訳】さすらいの歌/ユルゲン・ブランド

さすらいの歌

僕らは若く、世界は開かれている、
おお汝、広く美しき世界よ!
僕らの憧憬、僕らの望みは
森に、野に出ていく。
兄弟よ、首を垂れるな、
星が見えないだろう。
上を見よ、前へ進め!
僕らは若い、それは素晴らしい!

そこのあの森の向こうには
遥かな、見知らぬ国があるのではないか?
緑の山腹には
見知らぬ花が咲いているのではないか?
田舎をさまよい歩こう、
谷を越え、丘を越えて!
道がど

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【詩の翻訳】朝の扉/クルト・エーリヒ・モイラー

【詩の翻訳】朝の扉/クルト・エーリヒ・モイラー

朝の扉

灌木と納屋の向こうの太陽のきらめきから
最初の一閃がひろびろと畑を駆け抜ける。
そこが冒険へと通じる通りで、
輝く軌道というまっすぐな轍だ。

不安は熱に浮かされた蜂とともに音をたて、
風と鳥の歌声の内へとせき立て誘い、
照らされたレールの上で轟音を立て進んでいく、
まだ夜の暗さで、朝の扉を抜けていく一本の電車が。

Kurt Erich Meurer: „Morgentor“, In:

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【詩の翻訳】労働の歌/カール・ブレーガー

【詩の翻訳】労働の歌/カール・ブレーガー

労働の歌

数え切れないほどの手がもう準備万端で、
僕たちの時間を支え、高め、もたらしている。
鉄床を打つすべての腕が、
地上を支える一人のアトラスなのだ。

そこでブーン、シュルシュル、カチャカチャ、ドッドっと音を立て、
煙突から灼熱に燃え上がり煙を立てるもの、
歯車の金属音と機械の音は
労働の力強い歌なのだ。

千の歯車がうなりをあげて進み、
千の心棒がぐるぐる回り、
ハンマーが次々と打ち下ろ

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【詩の翻訳】不幸なのはきっと/ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ

【詩の翻訳】不幸なのはきっと/ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ

不幸なのはきっと

不幸なのはきっと
できることをせず、
理解していないことをあえてする者だ。
破滅しても不思議はない。

Johann Wolfgang Goethe: „Wohl unglückselig ist der Mann“, In: „Deutsche Gedichte für die Hauptschule”, Hrsg. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.]

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【詩の翻訳】労働の声/ベーレンド・デ・フリース

【詩の翻訳】労働の声/ベーレンド・デ・フリース

労働の声

颯は倉庫に沿って鳴り響き、
雨は窓ガラスを流れ落ちる。
黄昏は沈み、夕が近づく——
しかしそれでも労働の声は残っている。

光は港から上へと瞬く。
港の男たちはこう喚く——
「揚げろ!」——「降ろせ!」休みも憩いもなく、
お前たちは骨に油をささねばなるまい!

風が唸り、鎖が音を立て、
デリックは取り憑かれたように揺れる。
「揚げろ!」——「降ろせ!」休みも憩いもなく、
昇降口は人々を

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【詩の翻訳】港の光景/へレーネ・フォークト=ディードリヒス

【詩の翻訳】港の光景/へレーネ・フォークト=ディードリヒス

港の光景

一面にたちこめる白々と明るい霧が
夢うつつの港にかかっている。
ぎっしりと密集した家々の間は
カーテンのかかった窓とともに眠っている。

空に向かって迫るように聳え立っている、
工場の黒い煙突が。
朝には家に向かって漂う、
獲物を積んだ漁船が。

日々の仕事の騒々しいどよめきから
もはや他の音は響かない
船の巨大な肺から出る
蒸気を絞り出す呻き声のほかには。

Helene Voigt

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【詩の翻訳】日曜午前/カール・クローロ

【詩の翻訳】日曜午前/カール・クローロ

日曜午前

予期せず
静かになった。
バイクは眠っている
飲み屋の木の下で、
自転車は夢見ている
コカコーラのそばで
インを攻めるであろう
次のカーブを。
ライオンの牙のようなものが
それらをグラスの中へと駆り立てる。
日曜日の午後は
細毛に影を刺されぬ
アイリスのように明るい。
立ち去りたいものは誰もいない。
人は引き続き集まって
青い庭椅子に座っている。
それから極めてゆっくりと午後には
風景

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【詩の翻訳】測量技師/ハインツ・ピオンテック

【詩の翻訳】測量技師/ハインツ・ピオンテック

測量技師

いま棒が何本も立っている、地面に打ち込まれ、
白と赤で、尖った鉄の管がついている。
男たちの目は観察のせいですりむけたように赤くなっており、
喉は命令を叫ぶせいでしゃがれている。

一人は地図を広げて持ち、
その間にもう一人がレンズを回す。
十字線を通ってヤギの放牧場が滑り込む
それから消失点へと向かう助手が。

三人目は計算尺を掴むに違いなく、
四人目は臨時工を急き立てている。
だら

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【詩の翻訳】僕らが一本の木を切り倒したとき/ホルスト・ランゲ

【詩の翻訳】僕らが一本の木を切り倒したとき/ホルスト・ランゲ

僕らが一本の木を切り倒したとき

のこぎりのきついきしみが
年老いた木を食い破り、
君は斜めに切った線の中で
浅はかな誇りが消え去るのを見ている。
年月はうめき、きしみ、
すぐに担架の上に倒れる。

風に抱かれた枝々は、
ああ、すべて下へ、足下へ落ちねばならず、
陽気なものたちは
倒したものの同情を誘う、——彼は自分の墓を見つめている。
彼は鋸で切り、斧で叩き、鋸で切る、
時がいつ彼に打ち当たるか

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【詩の翻訳】左官たち/クルト・エーリヒ・モイラー

【詩の翻訳】左官たち/クルト・エーリヒ・モイラー

左官たち

レンガは太陽の熱の中で踊っている
左官たちの左側の平らな部分では、
そしてレンガはすんなりと仲間たちに馴染んでおり、
左官たちの右手にはきらきらと
素早く動くこてが輝いている。

彼らは塗り付け、上手に平らにする
モルタルを層の中へと。
レンガの灼熱が彼らの顔に照りつけた、
彼らが壁の守りの強さを
叩いて調べ、強めるときには。

ツバメが飛び立ち、飛び込んだ、
骨組みの境目を抜けて、

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【詩の翻訳】マイスターになるべき者

【詩の翻訳】マイスターになるべき者

マイスターになるべき者

マイスターになるべき人は?
考え出した者。
職人になるべき人は?
それが出来る者。
徒弟となるべき人は?
我々みんな——誰もが。

Alter Handwerksspruch: „Wer soll Meister sein“, In: „Deutsche Gedichte für die Hauptschule”, Hrsg. von Ernst Meyer-Herman

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【詩の翻訳】種蒔く人の辞/コンラート・フェルディナント・マイヤー

【詩の翻訳】種蒔く人の辞/コンラート・フェルディナント・マイヤー

種蒔く人の辞

一歩の距離を測れ!一蒔きの量を測れ!
大地はまだまだ若い!
そこに死んで永遠の眠りについた穀粒が落ちている。
眠りは甘美だ。穀粒はそれを十分に感受している。

ここに一つ、土塊を割って出てきた穀粒がある。
穀粒はそれを十分に感受している。甘美なのは光だ。
そしてこの世界からこぼれ落ちるものは誰もおらず、
誰もが神の御心にかなうように死んでいくのだ。

Conrad Ferdinan

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【詩の翻訳】夕方の老農夫/ヨーアヒム・ランゲ

【詩の翻訳】夕方の老農夫/ヨーアヒム・ランゲ

夕方の老農夫

一人で黙って座っている、
これが彼の夕方の過ごし方だ。
煙がどんよりとして白い髭からたなびく。
激しい日だった。辛い日だった。
一日が終わった。

家は静かに立っている。裏庭はがらんとしている。
草地から
女の子のちいさな笑い声が飛んできて
次第に消え、静かになった。それだけだった。
一番星。

鶏小屋では一匹のニワトリがまだガサゴソしている。
一頭の子馬が怯えていななく。
老人は

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