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価値あるRestaurantであり続けるために 私達の挑戦。終わりと始まり。そして未来へ 【2020年6月 私達の出来事 】

私達、株式会社グリップセカンドは全国60以上の生産者が作る無農薬野菜、旬野菜、鮮魚、畜産を中心に都内で12店舗の業態が異なるレストランを運営しています。

4回目の投稿。
私達のコロナ禍での取組、今までのこと、これからのこと。
この場でつらつらと綴って行きます。前回投稿もお読み頂けると嬉しいです。

【2020年6月 私達の出来事】
 5月末の緊急事態宣言解除を受け、私達のrestaurantも6月1日から全店舗の営業を再開した。未だ世間のコロナに対する認識は様々で皆外出も自粛も周りを見渡し様子を見ている。ある程度の再会モードを期待する一面、新しい生活様式という訳もわからぬ設定を押しつけ未だに恐怖は消させない雰囲気だった。
 池袋エリアに8店舗のドミナントを展開する私達は商圏活動の再開は高水準であれば有るだけ良い。都内でも稀な立地を背景とする池袋、特に私達が店舗を展開する「南池袋」界隈は金融、中小企業、学校、住宅とあらゆる商圏が織り交ざり商業人口が多い。自粛期間中でもGRIP本店のランチには毎日120名以上のランチ顧客が来店していた。夜の集客に関しては未だモチベーションは上がらないもののランチ営業に対しての集客にはストレスを抱える事はなかった。しかし、中央区エリアは全くお客様の活動は低く日本橋、八丁堀、日比谷の店舗は企業のリモートワーク対応で就労人口は一向に回復せず苦しい営業を余儀なくされている。様々な施作はお客様を呼び戻すことが主ではあるがこのコロナという外的要因には太刀打ちできないこともあった。
 いくつかの店舗では今までの営業とのギャップの間で悩むスタッフも現れていた。シフトをカットし、緻密な原価コントロールを日々行って行くうちにポジティブな発想よりもストレスの方が大きかったのかも知れない。
 確かに目先の売り上げや客数に目を向ければ不安や閉塞感もあるだろう。3月の売り上げは前年対比でも上回っており非常に順調であった。しかしその支払いは4月末にやってくる。4月、5月の休業要請により半期の利益は飛んで行ったが足元の資金は確保できている。6月、7月の2ヶ月間はこの不安定な状況は続くであろう。また半年後の経済状況の中でV字回復は望めないと判断した。いかに私達の強みを「認識」し「体感」させるかを最優先することにした。

シンプルな言葉は一番浸透し易い。

 資金繰りだけの都合で営業する訳にはいかない。ここに私達特有の「何か」を真ん中に置かなくてはならないと考えた。私は社員スタッフ全員にメッセージを送ることにした。

今は毎日の営業の結果に対して落ち込むのではなく、
・自分の出来ることを精一杯やれたのか?
・お客様から逃げなかったか?
・他に出来ることは無かったか?
・今度はどんな風に驚かせようか?
・心は繋がったか?
・未来は築けたか?
・有難うと言って頂けたか?
・笑顔でいれたか?
・沢山笑ったか?
こんなことを本気で思える営業をしようぜ!

このシンプルな問いかけが店舗に沢山の笑顔をもたらした。難しく難解な説明を求めて「今日は勉強した!」と幻想を味わうより、シンプルで正しいことがこんな状況下において一番心に突き刺さる。乱れた心を整えるときは「シンプル」に伝えろとバスケットボールの指導者であった父や恩師に教わった。

より強く繋がる為に

 前回投稿でもお伝えした通り私達は食物販店舗をより充実すべく開発に取り組んだ。池袋という街に根付く「よろず屋」的な存在。自粛期間中のコミュニティーとして力強く機能した「街の舞台装置」。サードプレイスとは場所だけではなくコミュニティーなのだ。
 以前の昼業態「Ginger」(熟成寝かせ生姜:ポークジンジャー専門店)は非常に多くのお客様が訪れる人気店であったが、近隣の「〆蕎麦 フクロウ」の昼メニューとしてエントリーした。6月中この移行は非常にスムーズに行われ、この時期「夏蕎麦」と「ポークジンジャー」がお客様の利用動機を大きく広げてくれた。
 私達の周辺店舗の営業がスタートしたこともあり「GRIP PROVISIN」でのお弁当販売、お惣菜販売の売り上げは予想の範囲で少なくなっていった。しかし、自粛期間中この店舗を訪れ私達と繋がりを持ったお客様は膨大でSNSではなく実体験でのエンゲージメントが発生していた。ランチ、ディナー営業に捉われず多くのお客様にご来店頂くと同時に沢山の嬉しいお言葉を頂いた。また、これらの食材を根っこから支えてくれたのは他ならぬ全国の生産者の皆様だった。ある生産者仲間は「八百屋でも始めたの?」と連絡がくるほど私達の仕入れの量は通常営業時と比べても落ちなかった。この食材庫としての私達の取り組みは全国の生産地の皆様にも繋がっている。根拠のある食材への知識や調理法など幅広くスタッフ教育の幅も広がることになる。

さあ!始めよっか!

私達は新たなプロジェクトをいくつか同時に発進させることにした。まずは物販店舗での取り組み。同時に店舗リニューアルも行う。店名は「Racines Berad & Salad」沢山の焼きたてパンとサラダの専門店。池袋の大人気店「RACINES」にて販売していた「焼きたてパン」を全てこの店で販売する。毎日1,000個以上焼き上げ販売するパンの生産量をさらに上げていく。種類も70種類以上に拡大することにした。また私達はrestaurant営業や食物販販売の中であるお客様の変化を感じていた。自粛期間の過ごし方において「健康管理」や「体を整える」ことに多くの時間を使ったお客様が非常に多く見受けられた。ダイエットやカロリー、糖質制限など様々な考えがあるがこれを軸とせず「これからはカラダを整えませんか?」という少々抽象的な観点で様々なサラダランチボックスを作ることに取り組むことにした。これにより既存店restaurantで好評いただいている無農薬サラダランチも変更し、整える野菜を中心にメニュー化する。

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このプロジェクトの背景には私達のこれまでの様々な取り組みがある。今回の投稿では2つだけご紹介したい。

食材廃棄率 1%台

 私達のrestaurantでは全店舗(エリア別)同じ仕入れを行う。食材仕入れは毎日共有しその日に届く食材を使い料理を作る。食材に合わせその日のメニューが決定し毎日メニューは異なる。多くの業態を運営することで食材を共有しフードロスに取り組む。昨年の平均食材廃棄は1%台。この共有化や流動化をスムーズに行う為にドミナント展開してきた。それは食材にとどまらずスタッフの流動化、情報の共有化、技術、スキルの共有化もスムーズに行われる。様々な業態のシェフ達が調理法や相性を共有する。因みに黒毛和牛、銘柄豚、地鶏、地魚等も一頭買いや箱買いであり、余すところなく使い切る。
また、私達の食物販では時間帯別の商品構成が可能である。ランチの時間帯、アフタヌーンティー、ブランチの時間帯、翌朝の朝食需要、restaurantでの焼きたてのパンの提供など一日中変化させることができる。お客様の利用動機に合わせて、または私達の業態の利用時間に合わせて食材を使い切ることも私達の強みの一つである。このメリットを最大限に活用しフードロスに取組んでいきたいと考えている。

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女子の「チカラ」信じてます。

 私達の社員スタッフは半数以上が女性スタッフです。アルバイトスタッフは大半が女性。私達は彼女達の「チカラ」を信じている。社内には沢山の女性スタッフを中心とした取り組みがある。今回の食物販店のプロデュースも弊社の取締役であり女将でもある北奥京子が担う。非常に繊細であり大胆な女性の発想を私達男性は持ち得ない。それは母性から来るものなのか、優しさから来るものなのか男性とは物事のアプローチが異なる。商品としての確かな根拠やストーリー、意味を深く考察して商品化している。フードロスもrestaurantや飲食店の現場だけではなく地方の生産現場でも起こっていることも認識し直接リサーチしている。これらが自家製ジャム、手作りバター、コーディアル、クラフトビールとういう商品になり、その物の価値や生産現場の価値を生み出す。2月に彼女達が手掛けた宮崎県児湯郡の日向夏はクラフトビールに加工され1200ℓを商品化し多くのお客様の喉を潤した。私達の「天下の宝刀」自家製無添加の生ドレッシングもまた彼女達によって世に送り出した商品でありオンラインストアで絶大な人気を誇っている。2-3週間と賞味期限は短いものの無添加、非加熱にこだわり大葉と新玉ねぎの風味にとことんこだわった結果、他とは一線を画す価値や意味を持つ商品となった。restaurantの世界や外食産業の世界はやはり男っぽく勢いがある世界でもある。しかし私達のrestaurantの色気や艶っぽさはより日常に軸を傾け「普段の自分」や「等身大」といった大人カジュアルが生まれる。これはより女性的なアプローチであり、言葉にならない雰囲気は時には「お気に入りの空間」であり「自分らしさ」の基準でもあると考えている。お客様もお連れ様や目的、気分によって私達のrestaurantを回遊して頂く最大の要因はそこにあるのだろう。好きな人が喜ぶ姿、優しくなる瞬間、ついおしゃべりになる時間、1杯だけワインを多く召し上がる瞬間など、誰もが追い求める「普通の」幸せだ。私達はこのスタンダード=普通の基準をどんどん上げて行きたいと考えている

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 このnoteを始めた当初、何を綴っていこうかと迷うもあった。しかしいざ初めてみると伝えたいことが山ほどある。今まで必死で振り返る時間も少なかったがコロナ禍の中ではっきりと私達の「強み」が浮き彫りとなった。また次回からは私達の今を綴っていこうと思う。またお時間あるときにお付き合い下さい。

株式会社 グリップセカンド 代表取締役社長 金子信也

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