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二つの香り

そこはちょっと路地裏の小さな喫茶店。

木目調のシンプルなテーブルと椅子、窓際に置かれた装飾品。まるで海外のお店に来たような不思議な雰囲気に包まれて、
私たちはただ静かにお茶を飲む。

なんだか言葉を発してこの空気を壊すのが惜しいから。

色違いのカップから、それぞれが頼んだそれぞれの香りが立ち上る。
そうしてそっと混ざり合う。

柔らかい湯気の向こうに微笑みかけると、同じように微笑みが浮かんでいる。

いつか、こんな風に。
あの憧れた空の下に行けたらいいね。

あの空の下で、こんな風に二つの香りを楽しめますように……


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