お買い得人材を考えてみる〜組織と個人の関係から〜
公務員ポートフォリオワーカーの島田正樹さんのnoteが面白かったです。
「お買い得人材」というワードが議論を呼びそうでいいなぁと思いました。
とても面白かったので刺激されて自分なりにも考えてみました。
この「お買い得」という言葉、人にくっつけるとなかなか多くの解釈ができそうです。
お買い得の3次元
はたらくというのは組織と個人の間での契約行為で売買みたいなものであるとも思います。
なので費用対効果もあるしその意味では「お買い得」という発想は組織としては当然にある。
では組織が個人のどういうことにお買い得感を感じるのか?という疑問が湧きます。
コンサルっぽく2次元とも思ったのですが、自分なりに考えてみると3次元かなと思いました。
「可変性」「コミットメント」「ネットワーク」の3つです。
1 組織のオーダーに合わせる「可変性」
「可変性」は組織からオーダーに頑張って応えることを指しています。
・来月から転勤して
・明日までにこの資料作っておいて(18時現在の指示)
・記事をたくさん書いて
のような組織からのオーダーにどの程度応えられるかというものです。
組織側からすれば人件費が同額であれば、
10の量をこなす人材よりも30の量をこなす人材のほうがお買い得です。
有限の人材の中で様々なことをやりくりしていかないといけないことを鑑みると
転勤や残業のようなプライベートに関わることも融通してくれる人材は、
そうでない人材に比べてお買い得と言えると思います。
可変性の特徴は
量に関わる内容で具体性が高い分野であって、
アウトプットの増加よりもインプットの減少に関わる、
ということかなと思います。
一言で言うと、組織にとって便利な人材であること、ですね。
2組織を変えていく「コミットメント」
「コミットメント」は組織からのオーダーに応えるのではなく、
仕事や組織を自分の方から変えていくことを指します。
・新規事業を提案して成功させる
・前例のない先進的な取り組みを進める
・組織内での情報共有のあり方を変える
のような(組織がオーダーしてないわけじゃないんだけど)
組織側が課題のみを持っていて答えを持っていないことを創っていくと言うものです。
組織側が課題に気付いていない場合に課題を見つけることもここに入りますね。
組織とすれば、課題を発見し解決してくれる人材は、そうでない人材に比べてお買い得ですね。
コミットメントの特徴は、
質に関わる内容で抽象性が高い分野であって、
どちらかと言うとインプットよりもアウトプットの向上に関わる、
という感じです。
3信頼関係などの「ネットワーク」
最初は以上2つかなと思ったのですが思い直して3つ目。
「ネットワーク」は組織との関係性にはあまり影響されず、
個人が持っている信頼関係などの関係資本を指します。
・有力なステークホルダーと信頼関係がある
・他部署の決裁者に顔が聞く
・地元に「お前が言うんだったらいいよ」と言ってもらえる
のような、何が「できる」ではなく「ある」タイプのものです。
あらゆる仕事には調整が伴うと考えると、
組織から見た場合に仕事に活用できる関係資本がある人はない人よりもお買い得だよねぇと言うことです。
ネットワークの特徴は
基本的には個人による資産であって、
インプットでもアウトプットでもなく調整に関わる、
という感じです。
量に関わる「可変性」と質に関わる「コミットメント」で分類したんですが、
関係資本はどちらにも入らないなということで加えました。
それぞれの買い方
以上3つに分類してみたわけですが、
お買い得というからには買い方があるわけです。
「可変性」→量に関わるものなので人件費で買える(=交換可能)
「コミットメント」→質に関わるものなので人の交換はやや難しいが外注(委託費)で買える
「ネットワーク」→関係性に関わるものなので基本は買えない。ただしヘッドハンティングや組織のM&Aで買うことはできる
代替可能性は、可変性>コミットメント>ネットワークの順ですね。
どうなっていきたいか
こうやって分析してみると、やっぱり可変性に頼るのは怖いし嫌だなぁと思います。
言ってみれば組織にとって便利でかつ使い捨てられやすい価値ですもんね。
一方でネットワークは代替性が低いので組織との関係では強いですが、
虎の威を借る狐的ないわゆる「コネ」の人になってしまうのも自分としては望ましくないなぁというところです。
理想的には
敵を作らない程度の最小限で可変性を発揮しつつ、
基本的にはコミットメントを高め、
その結果としてネットワークを築いて、
それをコミットメントの運用に活かしていく、
のが良いと感じます。
人によっては
責任をあまり負いたくないから可変性だけである程度行きたい、だったり
可変性とコミットメントは買えるからネットワークで頑張る、だったり
というスタンスもありそうです。
キャリアの構築にあたってこのバランスをどう考えるのか、
それぞれの視点がとても面白そうです!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?