ニトリ会長に松下幸之助を見た話
カンブリア宮殿というテレビ東京の番組が結構好きでちょこちょこ観ているのだが、年末放送分でニトリが出ていた。
ニトリのNクールはダメ元で生まれた
内容としては、Nクールが生まれるプロセスにて社内では「無理です」「過去に例がありません」「世界にもないです」といった声が出たが、「いや無理をするのが仕事だからダメ元でメーカーに言ってみろ」として進めた結果新素材が出てきてNクールが生まれたという話があった。
これ言われている社員の立場に目線を移すと、やはり過去の延長線で物事をみてしまっていて、少し改善したところで求めるものはできないと判断しているというところなのだと思う。一方で、トップは過去の延長線で物事をみないというのが癖づいていて、役割/視座の違いが出ている良いエピソードだなと思った。このエピソードを観ていて思い出したのが、松下幸之助氏のエピソード。
松下幸之助の”値引き”についての逸話
松下幸之助は社外から値引きを求められた社内の担当者と会話するときも、社外に値引きを求めるときにも、5-10%程度の金額の値引きは行わない/要求しないというスタンスだった。どうなるかというと、50%値引きという桁違いの値引きをしよう/してくれというスタンスだったという。言われた方はたまったものではないだろう。
松下幸之助氏の考えはこうだ。
”5-10%程度の値引きをやるとなったら、今までの延長線上では多く働くだとか利幅を少なくするなどしてただ苦しい道を選ぶことになる。”
”しかし、50%などとすると今までの延長線上で考えていては、到底実現は不可能。すると機械化したり材料を変えたり新しいやり方に挑戦をする。”
”そうして生み出されたものは、従前の商品とは全く異なるものになり、仮に30%引きなどに落ち着いたとて、以前より利益が大きくなる”
ニトリのNクールは値引きの話ではなく商品開発の話なので全く同じ話ではないが、「ちょっとした改善ではなく桁違いを目指す」ことで、事業や会社を違うステージに引き上げるという点では、松下幸之助氏がやっていたこともニトリ会長がやっていることも本質的には同じなのだろうと思う。
いま風にいうと「10X」とか「OKR」というワーディングなのだろう。自分の仕事を進める上でも現場をつぶさにみる虫の目のような見方は大事にしつつも、こうした野心的な、ある種無理じゃない?というものに取り組んでいきたいと改めて思った放送回であった。