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#016「GreenLushの心の根」8月11日 日ソ中立条約破棄と千島侵攻にあたって思う事


皆さん、こんにちは。

78年前の本日、8月11日から25日にかけて旧ソ連軍が南樺太・千島列島に侵攻しました。

今回は終戦間際、破れかぶれになった日本に襲い掛かり、日本の敗戦を決定付けたと言われるソ連の行動について、一般に知られていない事実に触れながら今日の日本について思う事をつらつらと書いてみたいと思います。


ソビエト連邦=ロシア連邦か?

今なお続いているウクライナに対するロシアの特別軍事作戦に重ね合わせて、旧ソ連の満州、樺太、千島侵攻もまた日本におけるロシア批判に拍車をかける歴史的出来事であることに間違いないでしょう。

と言うのも、昨今の「反ロシア的風潮」は、単に「2022年2月24日に国際秩序を乱しロシアがウクライナに一方的に侵攻した」という直近の事象のみに留まらず、多くの日本人が現ロシア連邦共和国が共産ソ連の系譜を受け継いでいると思い込んでいる事に由来しているように思います。

例えば、反ロシア的な人に「何故、ロシアを批判するのか?」と問うてみると、大体は「レーニン」「スターリン」「日ソ中立破棄」「非民主的」「独裁政治」という紋切り型のワードをベースにして感情的に批判している事が多いように見受けられます。

しかし、現ロシア体制を支えるプーチン大統領自身はと言うと、そもそもソ連の一国社会主義体制、共産主義を批判していますし、何よりも物事に対して画一的な枠組みを無理やりはめ込んで一方的に統制するグローバリズムを真っ向から否定しています。故にアメリカの一極支配体制を支える介入主義者達を強く否定している訳です。

プーチン大統領は、ロシアは多民族国家として各民族の伝統や文化を尊重しそれぞれに繁栄していくことを望み、それを実現する為、国家としてのロシアの一体性が重要だと繰り返し述べています。

もちろん、人種的にソ連と現代ロシアは共に大多数はスラブ系民族なのでDNAや伝統文化的には系譜を受け継いでいないとは言えません。あとで述べますがウクライナも旧ソ連の構成地域ですが。

また、具体的な批判としては、「ソ連は日本にひどい事をした」→「だからロシアもひどい国」→「現に今、北方領土を返さないではないか!!」と、このような論拠でロシア批判をする方もいます。

ソ連が日本にひどいことをしたのは事実ですが、旧大日本帝国に対しては前回の記事で書いた原爆がそうであったように、「野蛮な侵略国家の大日本帝国を正気に戻してくれた正当な行為として」何をしても許されるというのが戦後日本人の精神構造だったはずです。

もちろん筆者は全くそう思いませんし、大日本帝国が野蛮な侵略国家だとも思っていません。

善悪だけを言いたい訳ではありませんが、アメリカはもっとずっと日本に対してひどい事をしましたし、今現在においても日本本土を軍事占領してます。サンフランシスコ講和条約以後もずっとです。(沖縄を始めとする米軍基地や協定等)

それなのにソ連=悪で、アメリカ=善というのはダブルスタンダードだと思います。

更に北方領土の件に関して言えば、アメリカに軍事占領された従属国(あるいは植民地)である日本に対して、領土の返還をまともに協議なんてできませんし、宗主国であるアメリカがそれを許しません。余談ですが二島返還協議がご破算になったのはそのような背景からだとも言われています。

また、旧ソ連についてもう少し補足すると、まず主要な構成地域は現在のロシア、ベラルーシ、ウズベキスタン、カザフスタン、グルジア、アゼルバイジャン、そして・・・ウクライナです。ここが重要なポイントですが、今、「自由と民主主義」という旗を掲げてアメリカの代理戦争を”させられている”ウクライナもまた旧ソ連邦でした。

話を千島侵攻に戻します。

実はまだ一般的には認知されていませんが千島侵攻の背景には大きな真実がある事が近年明るみに出始めています。


千島侵攻の真実 ~プロジェクト・フラ~

プロジェクト・フラ (出典:Wikipedia)


「プロジェクト・フラ」(Project Hula)と言う軍事作戦はご存じでしょうか?

実は、千島侵攻は「プロジェクト・フラ」と言う軍事作戦の元、アメリカの支援によって実行された米ソの共同作戦だったのです。
 

プロジェクト・フラ英語: Project Hula)は、太平洋戦争末期、ソ連対日参戦に備えてアメリカ合衆国(米国)とソビエト連邦(ソ連)とが合同で実施した極秘軍事作戦である。
 1945年5月から9月にわたって、米国はソ連に対し掃海艇55隻・上陸用舟艇30隻・護衛艦(タコマ級フリゲート)28隻など計145隻の艦船を無償貸与[1]。この時期、アラスカ準州コールドベイアメリカ軍(米軍)基地に米軍スタッフ約1500人が常駐、ソ連兵約12000人が集められ艦船やレーダーなどの習熟訓練が施された。
~中略~
貸与された艦船は樺太南部千島列島への侵攻で使用された。

引用:Wikipedia

 
上記の通りアメリカが軍事支援をしていたという事が記録に残っています。

確かに、冷静に考えたら大陸国家であるソ連が海上戦ではなく宗谷海峡、千島海峡を渡って上陸作戦を展開する為には、艦船や上陸舟艇、あるいは海兵隊の支援が不可欠である訳ですが、当時のソ連にそれらが豊富にあり、適切なタイミングで機動的に展開できたかと言うと、普通に考えたら難しいだろうという事が分かります。

米ソの共同作戦と言いましたが、勿論、日本は1945年8月15日にポツダム宣言を受諾しアメリカに対して無条件降伏をしています。
 
しかし、今まさに終戦交渉をしようとしている相手国のアメリカが他国と共謀して(百歩譲って支援して)日本侵攻したという事実はアメリカのとんでもない裏切り行為に他ありません。

もちろん、スターリンを始めとしたソ連の領土的野心が前提にあった事は事実だと思いますし、実際に侵攻を実行したのはソ連で間違いありません。

しかし、それ自体がアメリカの働きかけや誘導があったとも解釈する事ができますので、やはりこの真実は全日本人がしっかりと知っておく必要があると思います。

日本の反省点としては、1945年2月のヤルタ会談では既に日本の分割協議がされていたにも関わらず、日本は日ソ中立条約を信じソ連に対して講和の仲介を期待したり等、北方方面の警戒を怠り手薄な軍備であった事や、まさかアメリカと共謀して侵攻してくる等とは思ってもいなかったでしょう。

この辺り等の視野の狭さや、性善説での思考、どこか楽観的で詰めが甘い部分が今日にも通じる日本人の反省する部分だと思います。

世界と言うのはそれほどまでに苛烈で、邪悪で残酷である事を、現代を生きる我々は理解する事が重要です。


お花畑学級会は止めよう~残酷な世界を前に本当に必要な反省を~

毎年この時期になると「戦争の反省と平和への誓い」と言ったように、まるで学級会のように綺麗ごとを並べて、占領軍が刷り込んだ歴史観に基づいた見当違いな反省、あるいは枝葉末節な議論をしているテレビ、新聞、その他メディア報道を目にし、本当にいい加減うんざりします。


我々に必要なのはそうではなく、明治開国以後の苛烈な世界線に立たされた日本が、自国の自主存立をかけて苦心惨憺し、膨大な血を流さなければならなかった原因は何か、その結果どうなったのか本質を冷静に精査した上で、今日の世界情勢と照らし合わせて「本当に必要な反省や教訓について自分達の言葉で紡ぎ出す」必要があるのです。

以前から申してますが、日本人はこのような行為が本当に苦手なんだと思います。多分民族的な地理的、あるいは歴史的背景が起因していると思います。

直近の事象で言えば新型コロナウィルス騒動について総括できているでしょうか?発生起源は何だったのか?次同じことが起きたらどうするのか?医薬品、予防方法は何が有効で何が間違いだったのか?果たして総括したのでしょうか?

「だんだん収まってきたから・・・」「過ぎた事だから・・・」「国がこう言っているし・・・」と思って自分自身、あるいは身近な人達の間でもキチンと考えずにいる人がきっと多いはずです。



脱線しましたが、防衛軍事について話を戻します。

つい先日、麻生副総理が台湾を訪問しました。

一部新聞では「台湾に対して防衛力を使う」と発言したと報道されています。

これは今後の日本の運命を決める重大な発言だと思っています。

よく「今日のウクライナが明日の日本」と言われますが、邪悪で残酷な世界の渦に飲み込まれないように、我々の子供達が悲惨な目に合わないように、過去の歴史を振り返り、今、日本のとるべき行動を本気で考えてみては如何でしょうか。

そうすれば、現在ロシアがなぜ戦っているのか、ウクライナがなぜ戦わされているのか真実が見えてくるはずです。


今年ももうすぐ8月15日がやってきます。

最後に、千島列島最北端の占守島での戦いでポツダム宣言受諾後の日本にも関わらず必死になってソ連の侵攻を阻止し、結果的に現在の北海道を命がけで守ってくれた樋口季一郎中将を始めとする英霊の皆様には本当に心から感謝したいと思います。


今日はここまでです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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