【独学精神医学#2】覚醒レベルと精神障害の関係性
今回は、精神医学の基礎として必要不可欠な覚醒レベルと精神障害についてまとめてみました。
先に述べておきますが、この記事は睡眠などの覚醒レベルが精神障害にどう影響するかなどではなく、医学的な症状としての覚醒レベルの低下がどのような疾患で多くみられるかをまとめておりますので、ご了承ください。
覚醒レベルの判断|JCSとGCS
まず「覚醒レベル」とは、患者がどのくらい意識を保ち、どのくらい外部からの刺激に反応できるかの度合いを言います。
病院での診断においては、脳機能の異常を早期に発見するための重要な手がかりとなります。また、急性疾患や外傷を負った患者の経過観察では、覚醒レベルの変化が病状の悪化や回復の兆候を示すため、治療方針を決定する際に欠かせません。
では、この覚醒レベルは具体的にどんな指標で判断されているのでしょうか?調べてみると、2種類の代表的な指標が見つかりました。
➀ JCS(Japan Coma Scale)
JCS(Japan Coma Scale)は覚醒度合いを刺激と開眼(目を開けること)の関係をもとに9段階で表す指標です。
表にある数値(10,20,30など)が大きくなるほど、意識障害が重度であることを示しています。医療現場では「JCS100」や「JCS3桁」といった表現をするそうです。
また、意識障害の程度を表す用語として、「傾眠」「嗜眠(しみん)」「昏眠」といった言葉がありますが、これらをJCSの表に当てはめると次のようになります。
この指標は、日本の医療現場で多く使用されているそうです。
➁ GCS(Glasgow Coma Scale)
GCS(Glasgow Coma Scale)は 「E:開眼」「V:言語応答」「M:運動反応」の3つの要素を評価する指標です。国際的に広く使用されています。
一番右の列にある数字はスコアを表しており、そのスコアの合計点が低いほど(表でいうと赤→青の順に)意識障害が重度であることを示します。
「E4V5M6」などと表現され、その合計点によって次のように診断されます。
計14~15点:軽度
計9~13点:中等度
計3~8点:重度
中でも精神医学に深く関わりがあるのは、軽度な意識障害と診断された場合です。次の章では、2つの具体的な精神症状を紹介します。
覚醒レベルと関連のある精神障害
➀ せん妄|認知症・中枢神経疾患など
せん妄とは、覚醒レベルの低下に伴って様々な精神症状が出現した状態のことを言います。
具体的な症状はこちら。
「夜間せん妄」や「黄昏症候群」と呼ばれるように、夕方から夜間にかけて症状が悪化する事例が多いのが特徴で、「認知症」「中枢神経疾患」「アルコール・薬物依存症」などにより発症します。急性に発症し、症状が短期間で変動することが多く、特に老化や病気の進行状況に応じてリスクが高まります。
治療には原因の特定とその治療が最も重要で、適切な管理と環境の整備、医療スタッフによる注意深い観察が必要となります。
➁ 昏迷|統合失調症・うつ病・解離性障害など
昏迷は、外から見ると意識がないようでも実際は意識がある状態を言います。
昏迷状態では、患者は全く動かず、痛み刺激にも反応しません。すなわち、先ほど紹介した2つの覚醒レベル指標によると、「重度の意識障害」と診断されてしまします。しかし実際は、患者自身の意識ははっきりとしていて、周りで今何が起こっているかなどを判断できています。
すなわち自分の意志を表現する「意思の表出」ができない状態なのです。
これは重度の「統合失調症」「うつ病」「解離性障害」などの精神障害で見られることが多く、患者は自分の感覚や思考を外部に伝える手段を失ってしまいます。
この昏迷状態が続くと、さらに意識が低下して完全に外部の刺激に反応しなくなる昏睡状態に陥る可能性があります。昏睡状態では、患者は目を覚ますことがなく、痛みや音などの刺激にも一切反応を示しません。唯一存在していた「意識」までも、失ってしまうのです。
昏迷状態の治療は、早期の正確な診断と適切な介入にかかっています。回復には時間がかかることが多いため、周りのサポートも非常に重要です。
まとめ
今回は、覚醒レベルがどのような指標で判断されているのか、そしてそれらに関係のある精神障害をまとめました。
覚醒レベルの低下は重度な障害や放射線治療・薬の副作用などによって起こりますが、現在問題になっている統合失調症・うつ病・解離性障害などでも意識障害に似た状態に陥る可能性があるというのは、非常に恐ろしいですね…。
記事全体に関しては少し大雑把にまとめすぎた気もしますが、将来お医者さんになるわけではないので、今後も簡潔さを重視したわかりやすい記事が書けたらな、と思います。(笑)
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
これからも色々アウトプット事項をまとめていきますので、ぜひまた次の記事でお会いしましょう!
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