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月を隠して プロローグ

月を隠して 「地球照」(プロローグ)

あらすじ

デビューから電撃の速さで作品を生み出し、映像化までされたSF作家の小日向薫(こひなたかおる)。この小説はそんな小日向薫の記念すべき二十作目にあたる。素性の知れない彼は読者からあれこれと聞かれることが多かったため、彼はいっそのことそれを一つの作品にしてしまおうと自分の過去のことやそれに関わる一つながりの話を書き上げた。
月は太陽がないと輝けない。しかし夜は月でないと照らせない。
これは過去も未来も変わることなく関わり続ける彼らに寄り添い、思いをはせる少年少女たちの少しの間のお話。

本文

月を隠して             逆倉青海

プロローグ『地球照』                        
                  小日向薫

 まずは日頃から私の作品を手に取ってくれている読者の皆様に心からの感謝を申し上げたいと思います。
 本当にありがとうございます。

 本作で私の作品は記念すべき二十作目となり、同時に私はデビューから十年を迎えます。ここまで執筆を続けてこれたのは、家族友人の支えや編集の方、出版社の方はもちろんのこと、普段から私の作品を読んでくださっている読者の皆さまの存在があったからです。本当に感謝しております。誰かに届けるということがどれほどの勇気と元気を貰えるのか、その大きさはここでは記せないほどです。

 さて、なぜあとがきではなく冒頭にこのような文章を綴っているのかと申しますと、本作の主人公が私自身だからであります。
 もう少し細かく言いますと、本作ではこの後に続く章と最後の章は私自身が主人公となる話となっております。
 なぜこのような変な形をとったのか?

 というのも、記念すべきニ十作品目の執筆になにを書こうかと考えた時、かねてより出版社さんや読者の方から言われていた私自身のエッセイを書いてみようと思い立ったわけです。そしてこの作品を私自身の節目、さらには大きなけじめにしたいと考え、執筆を始めました。
 しかしながら私はデビューしてから今までSFやファンタジーなど非現実的なものを多く書いてきましたので、いきなりこのようなリアル思考の作品を書くというのは難しいわけです。
 しかも私が小説家になるきっかけはとある一人の女性によるところが強く、言ってしまえば本作は必然的に恋愛小説の色が強くなってしまうのが明白であったため、プロットの段階からどうしたものかと躓きました。単純に赤裸々にするのも恥ずかしいですし。

 そこで、ただ自分の過去の話、そして小説家になるきっかけとなった話を書くのではなく、それらを自分なりにアレンジして一つの作品にしてみようと思い立ったわけです。

 そのアイデアが浮かんでからの筆は早く、あっという間に初稿まで走り抜けてしました。個人的にも満足のいくものになったかと思います。
 というわけで、本作は私自身の経験、考えを含んだエッセイ的パートと私が勝手に考えたフィクションパートがございます。あらかじめご了承ください。
 ちなみに総じてフィクション強めであり、出てくる人名は大半が実際の人とは異なります。

 さらに、私は、昔から夜空を眺めるのが好きだったので、この作品のテーマの一つに「天文」の要素を取り入れてみました。美しい景色にロマンを感じてもらえたら、是非今日は夜空を見上げてみてください。きっと月があなたも見守っております。

 ちなみにこの章のタイトルである「地球照」という現象は、月の書けている部分、影となっている部分が地球に反射した月の光でうっすらと見える現象のことを言います。
 月の明かりは太陽の明かりの反射、そしてそれを地球が反射して月の暗い部分が見える。
 普段織りなされている月と太陽の関係に地球が干渉する現象で、なんだか地球が二人を見守っている感じがして好きな言葉です。
 というわけで、私と一緒に、これから展開される物語を見守りましょう。
 それでは、いつもよりも数段恥ずかしいのですが、高校二年生の春、新しいクラスに馴染めないころの私にバトンを渡したいと思います。
 それでは。


第一章:月を隠して 第一章「月白」前編|逆倉青海 (note.com)
月を隠して 第一章「月白」中編|逆倉青海 (note.com)
月を隠して 第一章「月白」後編|逆倉青海 (note.com)
第二章:月を隠して 第二章「十六夜」|逆倉青海 (note.com)
第三章:月を隠して 第三章「名残の月」|逆倉青海 (note.com)
最終章:月を隠して 最終章「ムーンリバー・サイド・ムーン」|逆倉青海 (note.com)

総文字数:108029文字(タイトルとか込み)

ぐんぐんどんどん成長していつか誰かに届く小説を書きたいです・・・! そのために頑張ります!