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宿題:「Queen」を熱唱すること!

夢に見たT大学の講座、「観光ガイド人材育成プログラム」が始まった。

どんな気分だったかな~、ちょっと初日がどんな気分だったかは覚えていないが、すごくワクワク参加したと思う。

この授業は平日五日間、朝10時から12時過ぎまで、各授業は1時間ずつだった。

月曜はK先生の英語の授業2時間。火曜は大学先生、瓦の研究がご専門で、地域の古代史や歴史事象を習い、2時間目は仏教や仏像、寺社仏閣の建築様式、和食など日本文化事象全般に渡る授業、時には英語で講義いただき。水曜はネィティブ先生授業、時事問題ディスカッションや洋楽のリスニングなど。木曜は地域のガイディング内容をほぼ英語で勉強、2時間目は峠や歌碑研究の先生講義で、歌人会津八一の事などを良く習った。

金曜は実地ガイディング授業。やはりこの曜日が一応この講座の基本、醍醐味だったのではないかと思う。月曜から木曜までの知識習得は、最終的には地域の良い英語ガイディングができるため。

以上これらの授業を平日毎日2時間×4か月間、じっくりと学んだ。

K先生は月曜の担当で、名前は「観光英語」であったが、実際は英語の基礎勉強から雑誌「TIME」「Newsweek」のリーディング、観光にまつわる英語など、非常に広範かつ中身の濃い勉強であった。

1時間目の授業では、当時Eテレ人気の観光英語番組「トラッドジャパン」のスクリプトを用いてシャドーイング、あの時初めて、文字を見ずに耳だけで英語を追いかけることを経験した。今はもうシャドーイングは勉強の日課でどんな教材を使ってでも時間があればトライできるが、あの時は文字を見ずでは全然ついていけず。そんなこと一つ一つがすごく新鮮だった。

K先生は、この地域で、いや日本でトップランクの大学理系のご出身、英語の道に進まれなかったらエンジニアだったのでは、と思うのだが、英語を極められるという事で、これも英語を志すものなら皆門を叩きたい有名大学、そしてその後アメリカで本格的に英語を。故に、俗に言う古い形の英語指導だけを考えておられる先生ではなく、実用的な、最先端の英語を学ぼう、そういうお気持ちを強く持っておられる先生だと思う。

「TIME」は英語学習者なら誰もが一度はサラっと読めるようになってみたい雑誌。昔、単語だけ調べたら読めると思って、図書館で借りてきて愕然とした、まーったく読めない。そう、多分ネィティブでも、一定知識の無い人なら完全に書き手の言いたいことを理解できないのではないだろうか。

reading授業、正直宿題は大変であった。どこが当たるか分からないから皆必死。私は当たった時よくトンチンカンな訳を言った。そういう時先生は決まって「うーん、言ってる日本語の意味が分からん」と言われ。そう、きちっとした訳になってはいなくても、何を書き手が言いたいかが掴めていたら大きく原意は外れない。それができると複数の意味を持つ単語の、正しい訳語が選べる。

世界情勢にも通じていないとTIMEは読めない。そこを勉強するのもまた興味深く。何回勉強しても中東問題だけは未だに馴染まない。

readingでの先生の文法解釈は絶対にずれなかった。その上で背景に応じた模範訳を私たちに示してくださり。正直日本の大学英語教授の中で、自信を持って先生のようにTIME readingを指導できる先生が果たして何人おられるだろうか。探してもあまりこの類の講座は無い。先生はアメリカでの生活経験も長いので、感覚は本当にネイティブに近く。

本当に英語の勉強が楽しい、心からそう思える授業だった。

他にも有名な「英語構文150」の本を使った勉強、日本文化事象を扱った教材、発音の勉強もあった。

そう、発音で、面白い?えー、そんなん無理~と思った勉強が洋楽を使った勉強。先生は音楽、洋楽も大変お詳しく、講座後の単発の講座でも色んな曲を教えてくださったが、この講座で先生が取り上げられたのは、フレディ・マーキュリー、そう「Queen」だった。

CMとかで聴いた事あるけど~、くらいで、私は正直Queenはあまり馴染みがなかった。先生の教えの狙いは、「リエゾン」を体、口?で感じること。

リエゾンは英語音声学?に入るのかな、「語を単独で読む場合には発音されない語末の子音字が、直後に母音と続く場合発音される現象を言う」と小難しく書けばこうだが、要は例えば、and it~のような場合、「ア(エ)ンド イット」とは発音しないし、したら英語っぽくない。「ア(エ)ンディット」こういう風に、前の単語の子音と次の単語の頭の母音を引っ付けて発音する。

余談だが、今の仕事は外国人の相談を公的部門にお繋げする仕事だが、Liaison Interpreter というらしい。確かにこの語を使って自己紹介するとオンライン英会話先生が仕事を早く理解してくれる。「連絡役」という感じで、英語音声学?のリエゾンもそういう意味、「繋げる」からきていると思う。

「I Was Born To Love You」これは何回聞いたかな・・。私たちの期では、まだ皆で歌うくらいだったが、初期の頃の期の方々は本当に独唱だったようで、皆でカラオケボックスに行って練習されたらしい。

「I Was Born To Love You」はまだそんなに難しくないと思うのだが、「Don't Stop Me Now 」はかなり難しい。早いので本当に上手くリエゾンを使って発声しないと全然音楽の中に自分の英語を落とし込め切れない。この2曲をよく授業で聴いた。

正直音痴なので、そんな簡単には歌えなかった。でも先生は、それくらいの感覚で英語を発することの大切さを伝えてくださったと思う。

結局歌だけでなく、普通の会話でもリエゾンでつぶれている音は本当に聞き取れず、それがリスニングの妨げになる。洋楽での勉強は、単に参考書を使って勉強するだけでは得られない学習効果があった。忘れてはいけないのは、英語は学問でもあるだろうが、生きている「言葉」だということ。

本当に色んなアクセスの仕方で先生は私たちに英語の勉強の極め方を教えてくださった。

そしてメインでもあったガイディング実地授業。前半は二人の超ベテランガイドの先生が、半分の15人ずつを一グループとしモデルガイディングを見せてくださった。お二人の先生が交互に二つのクラスを教えてくださる。それは見事なガイディングであった。

後半からは、それぞれの生徒に分担が当たり、私たちが皆の前でガイディングをすると言う授業に。全部は記憶していないが、あるお寺では、日本一?有名な大仏様が当たってしまい。

原稿も一から作り、自分が何を伝えたいのかをまとめ。でもこの原稿づくりの作業、昨年度も散々通訳案内士試験の時にしたのだが、何故だろう、大好き。問題は覚えるのが苦手。(あかんがな)

この時も覚えた~~。前日は一日中つぶやき、お風呂でも言えるまでずーっとブツブツ言ってたら、溺れて死んでるんじゃないかと家族が見に来たくらい。完全に暗記するまでやった。分量的にはノート3ページビッシリあったくらいだと思う。

聖徳太子の建立した有名なお寺では、飛鳥様式の釈迦三尊像と四天王像のガイディングが当たった。これも覚えた~~。archaic smile、almond shaped eyes、など。どちらも重要な箇所で、意を決して完全暗記した。

そんな経験を通じて、この地域の主要な寺社仏閣は当時相当勉強した。それがやはり今の自分の、まだ始まってもいないガイド業だが、基盤になっていると思う。少なくとも2回は実地で訪れたから、かなり詳しくなり。そしてその後も何かと、もう今では何回行ったかそれぞれ分からないくらい。

この地域の文化は仏教とともに栄えた。寺の伽藍配置、仏像、塔、その時代の文化を大きく映し出している。勉強不足なんだろうけど、近隣の超観光都市は未だ全然苦手。(禅がよく分からない。庭や襖絵、やたらと龍が出てくる・・・。禅の苦手なガイドなんて無いわ~・・・。)

それとこの講座のすごかったことは、皆さんの向上心が半端なく、この本がいいよ、とか先週の疑問のとこね、と継続して勉強されてたり。クラスメート自体がとても良かった。夢のように楽しい時間が過ぎていった。

もう既に通訳案内士資格を持っている人もまぁまぁいたし、その年に受かった人、その後皆ドンドン受けていき、2019年度に受かったなんて、本当に私は末っ子で、その時のガイドの先生方の団体で今後仕事をするが、「まだ受けてたん?」が第一声だった。諦めはしないのだが、時間がかかり過ぎる・・・。

思えば今の私は全てここから始まっている。K先生とは今でも指導を受け賜われる関係で、やはり先生に英語を習うと、そのevery momentから(ルー大柴みたい)大切なエッセンスが習える。やはりそれは私の中で大切な大切な事である。

K先生が、授業の最初の方に、「英検1級TOEIC900通訳案内士、これ3つ取ってやっとスタートラインなんやで!」と仰った。まだ一つしか叶っていない。それも最近やっとこさ、である。情けない、本当に情けない、もうちょっとしっかりしないといけない。

最後の授業で先生は英語学習について、お薦め本の提示と合わせて持論を語られた。

もちろん色々な方法や具体策を仰ったが、最後に仰ったことを私はずっと忘れていない。

「要はな、続けることや、とにかく続けてやることしか上達の方法は無いんや」と。

先生はほとんど壁にぶつからずに、大学時代に通訳案内士も軽く取られ、英検なんてもちろん、TOEICは「あんなんだけで全部の英語の力測れへん、まぁそやけど、900くらいは取らんとな。」と。そのオール楽勝の先生を持ってしても、やはり英語上達の鍵は、「とにかく続けてやること」なのである。簡単に英語が上達する魔法なんて無い。

そしてそれは、もう私もそろそろ体感してきている。本当にその通りなのである。

あー、この講座の事、振り返って書いて良かった。この時の熱い気持ちを忘れたらあかん。その後子どもの受験があったりで、自分より子どもたちの進学にかなり注力した。別に恩は着せないが、もうすっかり私より賢くなった(と自分らは思っているようだが、まだ英語は負けへん)、親はもう必要ない、って感じ。まぁそんなもんだし、それでいいと思う。

この後の人生をどう生きていけばいいのか。そんなの今すぐにズラーっと候補を並べられないが、少なくとも、英検1級TOEIC900は早く取ろう、そしてガイドとして最低限の仕事はできるようになろう。本当にそう思う。それをちゃんと先生に報告したい。

全国通訳案内士に受かったことを先生にご報告した時、「これで authentic interpreter guideになれますね。」と私の大好きな単語と共に賛辞をくださった。先生を騙すわけにだけは絶対にいかない。

何故なら先生は「私の運命の英語の先生」だからである。

出来は、皆の中でダントツで一番悪い・・・。これからも頑張るのだけは絶対に頑張ります!!(先生だけで一話書けたような・・・。)

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