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絶賛取り憑かれ中の『ムーラン・ルージュ!・ザ・ミュージカル』、神席で召されてきた話(7/21 13時公演の感想)

7月21日 13時公演(産経新聞社半館貸切)の感想です。140字に区切ることを今回も諦めました。でも目次はつけたぞ!

号外ありがとうございました。そしてとんでもない神席をありがとうございました。見えないものを見ようとしたらオペラグラスを覗かない方が見えました。前方席は強い。でも1階後方も2階も大好きです。つまり全部好き。その時々で見える景色が違って全て宝物だ〜!


吸い込まれそうなほど近い

X◯列…までは届かないけど、そのすぐ後ろで『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』を観てきたよ。今までの観劇は、自分の席からあの煌びやかな舞台までは物理的な距離感があって、(特に2階のてっぺんから観た時に感じたけど)暗闇の中で遠くに光るネオンのような位置付けが、華やかだけど仄暗くもあるムーランルージュの劇場そのもののようにも感じで好きだった。本舞台を四角く囲う電飾の中で物語を観ているような、いわばその電飾が現実と虚構の境目のように感じていたのだけど、昨日座った席は、あまりにも近くてほぼ舞台を見上げるような形だったので、本舞台を囲う電飾は、運動の前の準備体操のように首を回さないと視界に入らないレベル。虚構との境目を越えて、物語の中に入り込んでしまったような没入感がとにかく凄かった。

容赦ない紙吹雪

紙吹雪を思いっきり浴びたことも凄く思い出になったな。最初の「みんなでCAN CAN!」でジドラーがステッキから放つ紙吹雪がまっすぐ自分のところに届いた時点で、あ、これはもう物理的にめちゃくちゃ近いと証明されたんだなとなぜか冷静に把握した瞬間。フィナーレの大量の紙吹雪は、浴びるというよりも打ち上げられたものが上から降ってきたものをゆっくり浴びるような、なんというか衝撃で時間の流れがすごくゆっくりに感じる瞬間があって、これが走馬灯か…??ってなった。号泣も良いところである。いやもう無理もないというか、大好きなムーランルージュだし、大好きな望海さんと芳雄さんの回だし、心という心を使い尽くした3時間を過ごしたので。

目が…合ってますよね…??

主にプレショーとカンカンで、Lady Msを初め、劇中のムーランルージュでダンサーとして生きるキャストの皆さんがごりごりに目線をくださるというか、思いっきり挑発された。(と、幸福なおたくなので勝手に思い込んでおきます…)いや、たとえ目が合ってなかったとしても、こんなに客席にギラついた視線を飛ばしてくださっていたなんて。心臓撃ち抜かれまくりでした。正面に藤森蓮華さんのニニがいらっしゃることが多くて、その鋭い眼差しと凜とした美しさ、芸術的な体の使い方、しなやかな動き、全てに心持っていかれました。何度見ても、蓮華さんのニニが素敵すぎて大好きだ〜!サティーンと張り合う存在としてのカリスマ性の説得力。皆んなが憧れるお姉さん。そして、中井さん演じるサンティアゴの深い声に包まれたかと思えば、拮抗し合うような愛のパワーの強さが好き。

みんなでCANCAN!パトロンを挑発しまくるLady Msとダンサー達に栄光あれ

冒頭のこの場面で実はめちゃめちゃ泣いた。思いっきり足を上げてステップを踏むダンサー役の皆さんから溢れるエネルギーに、自己解放そして自己実現を感じてなぜか超泣いた。多分、観劇前に芳雄さんのこちらのコラムを読んでいたから、というのもあるかな。https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00752/00015/

ムーランルージュに出演されてるキャストの皆さんって、オーディションで勝ち抜かれた方ばかりだから、出演が決まるまでの過程もまるっと含めて、全てを自身とプライドに換えて舞台に立っているのかなと感じさせられたカンカン。キャストの皆さんのSNSを拝見してると、この作品に出演できることに誇りを感じてるんだなとすごく思うので、とても重ねてしまった。
誇り高く、そしてしたたかなLady Msとダンサー達。この構図が本当に素晴らしいな。パトロンに従順になるんじゃない。みんな挑発してるもん。パトロンを利用してやれー!って応援したくなる。カンカン終盤でスカートで下手テーブルのパトロンを惑わす蓮華ニニが好きだ〜!

新たに見えた景色(アンサンブルキャストの皆さんから目が離せない)

エッッここでこんな動きがあったの気づかなかった、っていうことが凄く沢山あったので書くね。本当に、当たり前だけどオペラ使わないと視野が広くなることを知り(今更)、とはいえ今までどれだけ視野が狭かったんかい、っていう反省。

ピエール!!あなたって人は!!!

まずShut Up and Dance With Me。ピエールは最初からジドラーとべったりなことに今更気づき、ダンスする二人をすごい微笑ましく見てた。なのに2幕の劇中劇稽古シーンでは公爵とつるんでる…あれ…?ってなった。かと思えば、激昂する公爵にハットを差し出すも見向きもされず乱暴に剥ぎ取られ、雑な扱いを受けて可哀想に。なのに結局ピエールがムーランルージュの“家族”を裏切って公爵に情報を売ることで物語が大きく動く。ピエール…目が離せないよ…!!

愛の矢を引くキューピッドがいた!

次にElephant Love Medley。もうほんとにほんとに大好きすぎて、1幕終わりは嗚咽です。
象の部屋から、エッフェル塔がそびえる夜空のシーンに転換した後。ここはクリスチャンがサティーンに言った「星を見に行こう」のセリフから繋がる、クリスチャンがサティーンに見せたい景色なんだなと考えながら見てるのでより泣いちゃうんだよ…。結ばれた二人を祝福するように女性キャストの方が紙吹雪をふわっと投げるシーンも大好きなんだけど、この紙吹雪の前に、愛の矢を引くキューピッドが後ろにいるのね!アンサンブルとして出演されてる男性キャストの方!細かすぎる演出ですごい!全ての振りに意味があるのだなとアンサンブルキャストの方々を見ていて感嘆のため息が出る。プリンシパル、アンサンブルという分けはあるけど、もはや全員が主役と言っていいくらいの舞台だよ…。

見えなくなる光景(クリスチャンどこ…?)

これはもう座高の問題なんだけど、やっぱり前方席は傾斜がないよね〜、ということでCrazy Rolling冒頭の舞台奥に座り込むクリスチャンは芳雄さんのお顔がギリ見えるかな…くらいの思い出でした。実はX列のチケットも持っているので、今度はどんな没入感を味わえるのか楽しみなのと並行して、きっとこのシーンでは芳雄さん見えないんだろうな…でも舞台にいるのに声だけで芳雄さんを感じるなんて貴重な経験だしそれも楽しみだな…という謎感情でわくわくしてます。あと傾斜がないから、座席ガチャ感も高まりそうでそわそわ。身長が高くない人間なので、こればかりは仕方ないね!笑

忘れたくない光景

眩しすぎて目が眩むよ、“輝くダイヤモンド”な望海サティーン

Sparkling Diamondが好きすぎて気が狂うレベルなのでもう息を止めてずっと見てた。望海さんの一挙一動に自分の感性を撫でられる感じがたまらない。キラッキラなアクセサリーに負けない輝きを放つ望海さん。この後に悲劇が待ってるとは思わせないほどのショースターっぷりを存分に見せつけるサティーン。望海さんもサティーン、どちらも“プロ”なんだな…と改めて平伏したい。大好きがすぎる。

サティクリのキスが濃厚すぎて参りましたのYour Song

Your Songラストの望海サティーンと芳雄クリスチャンのキス、濃厚すぎませんか…?「この距離で見て良いんですか…//」となるほど、自分の記憶以上に濃厚だったので直視して良いか一瞬悩んだ。いや悩んだのは一瞬で終わらせてガン見してしまったけど。望海さんの身を引き寄せて背中をまさぐる芳雄さんの力強さに客席のおたくは赤面であった。ちょっと忘れられない…しかし望海さんも芳雄さんも、心の勢いに任せて引力に身を任せるのが潔くて大変かっこいいのです。

ロクサーヌのラスト、闇堕ちの芳雄クリスチャン

先述したとおり沼底席のような位置でもあったので、クリスチャンが舞台奥に行くと全身は見えなかった。でも、それを逆手に取ったような効果があって凄く鳥肌立ったのが、El Tango de Roxanneのラスト。白いモヤの中に沈んでいくかのように、両手をあげ天を仰ぐ芳雄クリスチャンに容赦せず、シーン転換のために降りてくる幕。クリスチャンにとってはあまりにも地獄のような酷な演出だけど、それがめちゃくちゃ刺さった。可哀想が上手すぎておたくは燃える。

「可哀想」が上手すぎる望海さんと芳雄さん

可哀想であればあるほど客席で燃えてしまうんだけど、芳雄さんも望海さんも可哀想が上手。望海さんは、血を吐くのも、亡くなるのも、本当に上手くて、リアリティがあるという意味ではなく、こちらの心を鷲掴みにするような悲劇的な見せ方が巧みすぎて唸ります。しんどそう。可哀想。でも凄く心を持ってかれてしまう。それはサティーンの“輝くダイヤモンド”としての華々しく活動する姿やしたたかに生きる眩さとのギャップから感じる魅力というのもあると思うし、宝塚時代のお役から通じるものもあると思うけど、被虐的な魅力をなんと形容したら良いのか。舞台上だけど、舞台袖ぎりぎりくらいの位置で苦しむ望海サティーン…薄暗い照明の当たり方も相まって、儚くて綺麗な光景だなと思ってしまうほど。Crazy Rollingが心の底から大好きなんです。

Your Songのリプライズがもたらす効果

1幕のYour Songは、サティーンの心を溶かすクリスチャンの歌という構図が描かれているものの、この時点では彼女は彼のことを公爵だと勘違いしてるわけで。「私が彼を手に入れる、ムーランルージュのために」という決意のようなものも、サティーンの心の中では薄れては無いと思うの。お金の色に眩む気持ちが消えていないサティーン、っていうことを改めて意識すると、また味方変わるのかなと思って。これは次の観劇の時のお楽しみにしたい!
そして2幕ラストのYour Songリプライズでは、1幕とは逆で、サティーンからクリスチャンに歌いかける構図なのが本ッッッ当に好き。「自慢していいんだよ 君の歌だって」。このタイミングでこんな相応しい歌詞ある…?サティーンが彼の曲と彼自身を肯定してくれたことでクリスチャンにもたらされる喜びと安堵感、そしてサティーンがようやく素直にクリスチャンに愛を伝えられた清々しさにもう泣くしかないよ。

喜怒哀楽が進化し続ける井上芳雄さん

初めてムーランルージュに来たクリスチャンが客席を見て言葉を失うシーン、表情が驚きから感動へみるみるうちに変わっていくのが可愛すぎるので大好きなんだけど、昨日は両手で頭抱えるようにしてはしゃいでて、何なの?5歳なの?って思ってしまった。あまりにも可愛いのでお菓子をあげたいし、お酒を飲むお金がないなら差し出したい。サティーンの分も丸ごと奢らせてください。
そして特筆したいのは、昨日は2幕ラストの劇中劇の「僕を見て?サティーン…」に続くセリフの部分。もう完全に心を殺してて、こんな声聞いたことないと思うほど本当にびっくりした。井上芳雄さんの表現の振り幅、恐ろしいよ…ますます目が離せない。あと芳雄さんのリップ音が帝劇中に響く瞬間が好き。何度もあって好き(笑)

Kさん演じる公爵の独占欲

公爵の苛立ち具合が、初めて拝見した時からかなり激しくなってるのに実はとても注目してます。この怒りといやらしさ、公演を重ねるにつれてどこまで行くんだろう。
K公爵がサティーンを「俺のモノ」だと言う時のいやらしさがたまらない。全てを持つ男としての説得力。そりゃあクリスチャンも怒って楽譜を床に叩きつけるよね。
K公爵の独占欲が酷くなるほど、ムーランルージュの“家族”感が際立つのですごく良いなぁ。ジドラーも、サティーンに公爵と繋がるように指示するけど、それはサティーンを売るというよりも、ムーランルージュの家族のためにという気持ちが強いのだから、幼い頃に彼女に身体を売らせていた父親とは違うのだと信じたい。でも、いずれにしろ、みんながみんなサティーンに負荷をかけすぎではある。その部分は悲劇の象徴として、ファンタジーとして割り切ることとしても。
それにしても公爵のフルネームが長すぎて覚えられなくてつらい(笑)「アンドレ・なんとか・なんとか・なんとか・モンロスだ!」覚えられん!ついでに言うと、公爵家の長椅子も、サティーンやクリスチャンが使ってるものの倍の長さはあるので笑ってしまう。名前も長椅子も、長ければ長いほど権力の象徴のようにも思ってしまう。ロートレックがSo Excitingでかます「資本主義の権化だ!」を思い出す(笑)超好き!
あとKさんってめちゃくちゃお茶目な方だな〜といつもフィナーレで思うんだけど、ご自分の挨拶のタイミングでステップ踏んでダンスしながら出てきたり、凝ってくれるそのお気持ちが嬉しいなぁ。昨日も、蓮華ニニが思いっきり脚上げした後の出番だから、真似して脚上げして決まっちゃうし、次の上川さんと脚上げしちゃうし、脚上げの伝播楽しすぎた。松村さんにも脚上げ期待しちゃった私です。(笑)

ロートレックの告白(「僕のミューズ」「僕は君を不滅にする」)

サティーンに愛を伝えられなかったことが心残りになっていたロートレックは、自分のことを“欠陥品”だと嘲るけど、芸術家としての彼なりのサティーンへの告白の形がこの言葉なんだなと胸がとても熱くなるよ。ロートレックが1番初めに公爵に刃向かうけど、いやいや公爵がお金を出してくれることになったんだからあなたの演劇が上演できることになったんだし落ち着いてよ〜と思ってしまう私もいる。そんなことも忘れ、自分は芸術家だ、敬え、と主張できてしまう向こう見ずな勢いも、クリスチャンに重なるなぁ。ロートレックにとって、昔の自分を見ているような気持ちでクリスチャンを見守ってるんだろうな。
上川一哉さんのロートレック。勢いと照れと哀愁と、甘酸っぱい気持ちが詰まってて凄く素敵。

以上です。今日も観ます!こんなに夢中になれる日々を送れて幸せだ〜!

この公演関係のnoteももう3投稿。ようやくタイトルの正式名称を間違えずにかけた気がします(笑)おわり。

①ビックリマークの位置!間違い!

②ムーランのあとの「・」がない!忘れてる!


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