見出し画像

雑記・ポピエモの身体表現の強さについて

上手くまとめられなかったのですが雑記として投稿しました。


先日、日比谷野音の対バンを観に行ったときのこと。

推しグループPOPPiNG EMO(以下ポピエモ)の前に「えのぐ」というグループが登場した。なんでもVRアイドルということで、画面の中でアバターの3人組が歌い踊っていた。生歌・生ダンスで、客席もバッチリ見えているんだとか。

で、いろいろ考えてみると面白かったので、当初は地下アイドルの「生身」要素(特典会とか含め)とVRアイドルの特異性を比較してあれこれ語ろうかと思ったのだが、リサーチ不足すぎてクソ薄っぺらい記事になりそうなのでやめることにした。

それよりもポピエモの話をしよう。



今回、VRアイドルの直後に彼女たちのステージを見たことで私が強く感じたのは、このグループの身体性の強さだ。あるいはライブ感と言ってもいいだろう。

ポピエモの無二の特徴として、メンバー全員が舞台経験者(女優)であることが挙げられる。私は最近のものしか見られていないが、特にナーナ・ポップとサヤカ・ロス.emo(両者舞台では別名義)の演技力には目を見張るものがあった。

また、ライブアイドルとして見ても別格なほどダンスに注力していることもポイントだ。容易には真似できない複雑なムーブやステップもあれば、それこそダンスというより表現といった方がふさわしい、感情を全面に表す動きも多く取り入れられている。

前述のナーナはこれらの振り付けも担当しているというのだから、その才能には驚く他ない。彼女はフロントに立つ機会が多い分、曲によって異なる魅せ方を要求されるが、どんなときも期待に必ず応える姿は手放しに信頼できる。

そしてそのナーナ以外の4人もまた、それぞれが異なる身体表現のスペシャリストだ。ここに、ポピエモのグループとしての最大の強みがある。

ダンスの専門学校に行っていたという193Rのスキルは、5人の中でもさらに群を抜いている。キレがあって体幹が強いのは当たり前。糸で動かされる操り人形のような動きも完璧にこなす様には、まさにパフォーマーという言葉が相応しい。

アイドル未経験で加入したユーナッテ・ユーナは、歌声に太くまっすぐな芯がある。小柄な体格から想像できない深みのある低音で、ときには憂いをも感じさせる彼女の歌唱法は、配信で見返しても全く音が粗くなることがない。おそらくは基礎トレーニングが半端じゃないためだと思われるが、己の武器を完璧に使いこなすその様子は頼もしいばかりだ。

サヤカのステージは、一言で表すなら「圧倒的」。Amazingという英単語がここまで似合う女性アイドルもそういないだろう。キュートな曲とハードな曲の振り幅は凄まじく、途中でメイクを変えたと錯覚するほど全く違う印象を与えてくる。ソロコンサートのときなどは、ダークな曲が終わるまで目の前の彼女がアクセサリをつけているのに気づかなかったほどだ。大げさな冗談のようだが本当の話である。

そして推しを超えた王、キング・ユリアの存在は、もはやスターという言葉では全くの不足。単にビジュアルが中性的な超美形というだけではない。爆発的な発声と儚げなファルセットを自在に切り替え、不敵な笑みを浮かべたかと思えばしなやかに舞ってみせたりと、男性・女性どちらの強みも併せ持つその様はまさに唯一無二だ。



個々のストーリー性が際立って強い楽曲群を、表現のスペシャリストであるメンバー5人が舞台のように「演じる」ポピエモのスタイル。

そのエンターテイメントとしての完成度と説得力は、当然ではあるが彼女たちの鍛え抜かれた身体(歌声を含む)があって初めて成立する。

そんな当たり前のことが、VRアイドルと比較することでよりはっきりと感じられた。

たとえば、サヤカの激情を迸らせる歌唱。全身を意識的にこわばらせたり髪を振り乱したりといった様子から伝わる、呑み込まれそうになるほどの気迫と怖さは、アバター越しに感じることは難しいだろう。

また、ライダーの絶技に代表されるダンスパフォーマンスも別の理由で「生身ならでは」のように思える。これは個人的な感覚でしかないのだが、たとえ超絶技巧のムーブであっても、CGアバターを通じてしまうと、どうしてもリアルな人間の筋肉が動いているという印象が薄れ、ひとつのアニメーションのように感じてしまうのである。

生身の肉体から伝わる剥き出しの凄まじさ。

それこそ、私にとってのポピエモ最大の魅力である。



「鍛え方が違う」。ポピエモのステージを見るたびに浮かぶのはこの言葉だ。

もちろん、一人一人が素晴らしい才能の持ち主なのは間違いない。けれど上述したような身体表現の厚みは、やはり表には出さない鍛錬と創意工夫の賜物だろう。

多様化と玉石混淆を極めるライブアイドル界において、心から信頼できる本物の表現者たちと出会えたこと、その魅力を語れること。

全くもって、ファン冥利に尽きるという他ない。

上手くまとめられなかったので、ここまで。



この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?