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ルシンダ・ウィリアムスの音楽の道程『Ramblin' on My Mind』から『Car Wheels on a Gravel Road』、そしてその先へ

ルシンダ・ウィリアムスの生い立ち
ルシンダ・ウィリアムスは1953年1月26日、アメリカ合衆国ルイジアナ州レイクチャールズで生まれました。彼女の父、ミラー・ウィリアムスは著名な詩人であり、母、ルシール・デイはピアニストでした。ルシンダは子供の頃から音楽に囲まれた環境で育ち、音楽的センスと表現力は早い段階で育まれました。父親の影響で詩や文学にも親しみ、彼女の歌詞作りに大きな影響を与えました。


ルシンダ・ウィリアムスはブルース、フォーク、カントリー、ロックなど、さまざまな音楽ジャンルに影響を受けて育ちました。ルシンダ・ウィリアムスの音楽はこれらのジャンルを融合させた独自のスタイルを持ち、彼女の作品はジャンルを超えて広く評価されています。ルシンダ・ウィリアムスが特に影響を受けたアーティストには、ボブ・ディラン、ジョニ・ミッチェル、ジョン・プラインなどが挙げられます。ルシンダ・ウィリアムスは早くから楽器に興味を示し、12歳でギターを始めました。17歳の時にメキシコシティで最初のライブパフォーマンスを行い、その後オースティンやヒューストンなどで演奏活動を続けました


初期の活動

ルシンダ・ウィリアムスは1970年代後半から本格的に音楽活動を開始しました。彼女はルイジアナ州レイクチャールズで生まれ、父親は詩人で文学教授のミラー・ウィリアムス、母親はピアニストのルシール・ファーン・デイでした。父親の仕事の関係でアメリカ南部を転々とし、メキシコやチリでも過ごしました​​​​。

1978年、ルシンダ・ウィリアムスはミシシッピ州ジャクソンに移り、スミソニアン・フォークウェイズ・レコードからデビューアルバム『Ramblin' on My Mind』をリリースしました。このアルバムは、ロバート・ジョンソンやメンフィス・ミニーなどのカバー曲で構成されており、彼女のブルースやカントリーのルーツを強調したものでした​ 。

デビューアルバム『Ramblin' on My Mind』


1980年には、ルシンダ・ウィリアムス自身のオリジナル曲を収録した『Happy Woman Blues』をリリースしました。このアルバムは前作よりもロック寄りで、個性的なスタイルをさらに発展させました。しかしこれらのアルバムは商業的な成功を収めることはできませんでした。


自身のオリジナル曲を収録した『Happy Woman Blues』


1980年代にウィリアムスはロサンゼルスに移り、ロックバンドのフロントを務めたり、アコースティックセットで演奏したりして、カルト的な支持と批評家からの評価を築きました。1988年ルシンダ・ウィリアムスはラフ・トレード・レコードからセルフタイトルアルバム『Lucinda Williams』をリリースしました。このアルバムは「Changed the Locks」などのシングルを含み、彼女の名を広めるきっかけとなりました​。



『Lucinda Williams』(1988)


制作背景
『Lucinda Williams』は、1988年にリリースされたルシンダ・ウィリアムスのセルフタイトルアルバムであり、彼女の音楽キャリアの中で重要な転機となった作品です。このアルバムはルシンダがロサンゼルスに拠点を移し、ロックバンドのフロントとして活動しながら、アコースティックセットでも演奏する中で培った経験を反映しています。アルバムのプロデュースには、ルシンダ・ウィリアムス自身と共に、ガーフ・モーリックスとダスティ・ウェイクマンが関わりました。

アルバムは、ラフ・トレード・レコードからリリースされました。このレーベルは主にパンクやスカのアーティストを扱っていたため、カントリーのルシンダ・ウィリアムスとは異色のコラボのように思えます。この異色の組み合わせにより、アルバムは独特のサウンドと魅力を持つこととなりました​​。ラフ・トレード・レコードはスミスの「The Queen Is Dead」やストロークスの「Is This It」で有名なレーベルです。


主要楽曲

「I Just Wanted to See You So Bad」
アルバムのオープニングを飾るこの曲は、切迫感と渇望感を持つ歌詞が印象的です。アップテンポなロックサウンドでとてもキャッチーです。

I drove my car in the middle of the night
深夜に車を走らせた
I just wanted to see you so bad
君に会いたくてたまらなかった
The road was dark but the stars were bright
道は暗かったけど星は輝いていた
I just wanted to see you so bad
君に会いたくてたまらなかった
It didn't matter what my friends would say
友達が何を言おうと気にしなかった
I was gonna see you anyway
どうしても君に会いたかった

[verse 1]


「Passionate Kisses

この曲は、愛と承認を求める感情を率直に表現した曲です。メアリー・チェイピン・カーペンターによってカバーされ、1992年にグラミー賞を受賞しました​ 。

Do I want too much?
求めすぎかな?
Am I going overboard to want that touch?
その触れ合いを求めるのはやりすぎ?
I'll shout it out to the night
夜に向かって叫ぶ
"Give me what I deserve 'cause it's my right"
「私が当然得るべきものをちょうだい、だってそれが私の権利だから」

[verse 3]


「Changed the Locks」 
強烈なリリックとダークなトーンが特徴のこの曲は、関係の終焉をテーマにしています。トム・ペティによってカバーされ、彼のライブでもよく演奏されました。

I changed the lock on my front door
前のドアの鍵を変えた
So you can't see me any more
もう君には会えないように
And you can't come inside my house
家に入ることもできない
And you can't lie down on my couch
ソファに横たわることもできない
I changed the lock on my front door
前のドアの鍵を変えた

[verse 1]


「Crescent City」

「Crescent City(クレセントシティ)」はニューオーリンズの愛称です。この曲はルイジアナ州ニューオーリンズへの賛歌で、ルシンダのルーツへの愛情が表現されています。また、この曲はアルバム全体の中で特にフォーク色が強く出ています。「Crescent City」をリリースした時期、ルシンダ・ウィリアムスはロサンゼルスに住んでいました。

Mama lives in Mandeville
ママはマンデヴィルに住んでいる
I can hardly wait until
早くそこに行きたい
I can hear my zydeco
ザディコを聴いて
And laissez le bon temps rouler
「良い時を楽しもう」と言いながら
And take rides in open cars
オープンカーでドライブして
My brother knows where the best bars are
兄は最高のバーを知っている
Let's see how these blues'll do
このブルースがどう響くか見てみよう
In the town where the good times stay
楽しい時が続くこの町で

[verse 2]

歌詞に登場するマンデヴィルはニューオーリンズの北、ポンチャートレイン湖の北岸に位置する町です。クレセントシティ(ニューオーリンズ)とは長い歴史的な繋がりがあり、湖を挟んで車で渡れる距離にあります​ 。

具体的には、マンデヴィルはニューオーリンズの郊外にあり、ポンチャートレイン湖を渡る世界最長の連続橋である「レイクポンチャートレイン・コーズウェイ」を通じてアクセスできます。この橋を渡ることで、マンデヴィルからニューオーリンズまで車で簡単に行き来することができます​。

「レイクポンチャートレイン・コーズウェイ」


アルバムの評価
「Lucinda Williams」はリリース当初から批評家の間で高く評価されました。アルバムは「ビレッジ・ヴォイス」の年間批評家投票「Pazz & Jop」で第16位にランクインし、音楽業界における彼女の地位を確固たるものとしました。このアルバムは、アメリカーナの先駆的な作品と見なされ、今日のアメリカーナムーブメントの基盤を築いたとされています​ 。

「Pazz & Jop」とは
「Pazz & Jop」の投票は、音楽評論家やジャーナリストによる年間ベストアルバムとベストシングルを評価するもので、1971年に初めて開始されました。この投票は、音楽業界における権威ある評価の一つとされています。

具体的には、Pazz & Jopの投票には、アメリカ全土の音楽評論家やジャーナリストが参加します。そこで年間で最も優れたアルバムとシングルを選び、ポイントを付けて投票します。この投票結果は音楽業界におけるその年のトレンドや重要な作品を反映するものとして広く認識されています。またアーティストやアルバムの評価に大きな影響を与えるため、多くのミュージシャンやプロデューサーが注目する指標にもなっています。


このアルバムの成功により、ウィリアムスは1992年に『Sweet Old World』をリリースし、さらに1998年の『Car Wheels on a Gravel Road』で大きな成功を収めました。



『Sweet Old World』(1992)


制作背景
ルシンダ・ウィリアムスの1992年のアルバム『Sweet Old World』は、彼女のキャリアにおける重要なステップとなった作品です。このアルバムは前作『Lucinda Williams』の成功を受けて制作され、彼女のプロデュースにより完成されました。ガーフ・モーリックスが共同プロデューサーを務め、アルバム全体にわたってフォーク、カントリー、ロックの要素を融合させたサウンドが特徴です。

このアルバムも前作と同じで個人的な体験や観察に基づくストーリーを中心に展開されており、ルシンダのリリカルな才能が遺憾なく発揮されています。特に喪失や再生といったテーマがアルバム全体を貫いており、自身の経験が色濃く反映された作品になっていて、少し暗い曲が多めです。


主要楽曲

「Six Blocks Away」
この曲は、都会の生活と孤独をテーマにしています。シンプルなメロディとルシンダの力強いボーカルが特徴です。歌詞に出てくる男が毎日彼女のことを思いながら過ごす辛さが描かれており、彼女の存在が男の生活の中心にあり続けていることが表現されています。

[verse 1]
He sleeps all alone on Second Street
彼はセカンドストリートで一人で眠る
With a roof over his head and food to eat
屋根があり、食べ物もあるけど
But he can hardly make it day to day
毎日をなんとか過ごしている
'Cause everything he wants is six blocks away
彼が望むものはすべて6ブロック先にあるから
Six blocks away
6ブロック先に

[verse 1]


「Sweet Old World」

タイトル曲であり、アルバムの中心的なテーマを反映しています。喪失と再生をテーマにした感動的なバラードで、ルシンダのリリカルな才能が光ります。この曲は、亡くなった友人や家族への追悼の意を込めたものです​ 。

See what you lost when you left this world
この世界を去ったときに失ったものを見てごらん
This sweet old world
この愛しい古い世界
What you lost when you left this world
この世界を去ったときに失ったものを見てごらん
This sweet old world
この愛しい古い世界

[Chorus]


「Little Angel, Little Brother」

この曲は弟に捧げられたものです。シンプルなギターの伴奏が、歌詞の深さを引き立てます。弟の早すぎる死に対する悲しみと、その思い出への愛情が綴られています​。ルシンダ・ウィリアムスの弟、ロバート・ミラー・ウィリアムスは、若い年齢でオートバイ事故により亡くなりました。ルシンダは多くの曲で弟への愛情と喪失感を表現しています​。この曲もその中の一つです。

Your R&B records, your music books
君のR&Bレコードや音楽の本
Your sense of humor and your rugged good looks
君のユーモアのセンスと魅力的な外見
I see you now at the piano
今、ピアノの前にいる君が見える
Your back a slow curve
背中をゆっくりと丸めて
Playin' Ray Charles and Fats Domino
レイ・チャールズやファッツ・ドミノを弾いている
While I sang all the words
私はその歌詞を全部歌っていた

[Verse 1]


「Pineola」

詩人でルシンダの友人のフランク・スタンフォードの自殺をテーマにした曲で、ルシンダの個人的な体験が反映されています。この曲はアルバム全体の中でも特に感情的で深い曲です。フランク・スタンフォードはアメリカ南部出身の詩人で、1978年に自殺により29歳で亡くなりました

[Verse 1]
When Daddy told me what happened
パパが何が起こったか教えてくれた時
I couldn't believe what he just said
彼の言葉が信じられなかった
Sonny shot himself with a .44
サニーが自分を.44で撃ったんだ
And they found him lyin' on his bed
そして彼はベッドに横たわっていた

[Verse 2]
I could not speak a single word
一言も話せなかった
No tears streamed down my face
涙は一滴も流れなかった
I just sat there on the living room couch
ただリビングのソファに座って
Starin' off into space
空を見つめていた

[Verse 1] [Verse 2]

ここにに出てくる「サニー(Sonny)」はスタンフォードのことです。


評価
『Sweet Old World』
はリリース当初から批評家の間で高く評価されました。このアルバムは、音楽業界におけるルシンダの地位をさらに確固たるものとし、彼女の才能が広く認知されるきっかけとなりました。アルバムは「ビレッジ・ヴォイス」の年間批評家投票「Pazz & Jop」で第11位にランクインし、音楽評論家たちから絶賛されました​ ​。



『Car Wheels on a Gravel Road』(1998)


時間をかけた大傑作アルバム

制作背景
『Car Wheels on a Gravel Road』の制作は、1990年代初頭から始まり、完成までに6年以上を要した困難なプロセスでした。ルシンダ・ウィリアムスは、自身の音楽ビジョンを追求するために、多くの挑戦を乗り越えなければなりませんでした。

制作はテネシー州ナッシュビルでスティーヴ・アールと共に開始されました。彼らは1995年に最初のバージョンを録音しましたが、ルシンダはこのセッションに満足せず、最終的にプロジェクトを棚上げしました。スティーヴ・アールは、アルバムの方向性に関するビジョンの違いから、プロジェクトを離れることになりました​。

その後、ルシンダはエンジニアのマーク・ホワードと共にテキサス州オースティンで再録音を行いました。この時点で彼女は、スタジオの選定から機材の使用法まで、すべての面で完全なコントロールを求めました。しかし依然として音楽的な方向性についての意見の相違があり、またしても録音は中断されました​ 。

最終的に、ロイ・ビットンとレイ・ケネディがプロダクションに加わり、アルバムの完成を目指しました。ロイ・ビットンはブルース・スプリングスティーンのEストリート・バンドのメンバーであり、レイ・ケネディはリック・ルービンの推薦を受けたプロデューサーです。彼らの経験と技術が、ルシンダの音楽的ビジョンを具現化する助けとなりました。

録音方法
『Car Wheels on a Gravel Road』では特別な古い録音機材を使用して録音されました。1962年製のTelefunken V76sというドイツの古い機材や、MCI JH16という24トラックの大きなテープレコーダーを使用しました。これらの機材は、現代のデジタル機器とは異なり、音に温かみを加える特性があります。これにより音が柔らかく、自然な感じになり、心地よいサウンドになります。録音には1930年代のヴィンテージLeedyドラムセットやRCA Varacousticという特殊なマイクも使用されました。これらの古い機材を使用することで、アルバムには他の作品にはない独特の音響効果が加わりました。

ルシンダ・ウィリアムスは、プロデューサーのレイ・ケネディの提案により、アルバムの録音を一部ライブで行いました。通常の録音では、ボーカルや楽器を別々に録音することが一般的ですが、このアルバムではルシンダがバンドと一緒にライブで歌うことで、より一体感のあるパフォーマンスを収めることができました。この方法により、演奏全体にエネルギーが加わり、自然で臨場感のあるサウンドが実現しました。ケネディはルシンダの好きな過去の名作もライブ録音されたことを伝えることによって納得させました。その結果として、アルバムは非常にエモーショナルでダイナミックな作品に仕上がりました。そしてジム・スコットが最終ミックスを担当しました。



『Car Wheels on a Gravel Road』のサウンドは、アメリカーナ、カントリー、ブルース、ロックの要素を巧みに融合させたものです。アルバム全体を通して、ルシンダの独特のボーカルスタイルと深い感情を込めた歌詞が際立っています。彼女の歌詞はアメリカ南部の生活や風景を描写し、個人的な経験と感情が色濃く反映されています。

主要楽曲

「Right in Time」
アルバムのオープニングトラックで、ルシンダのエモーショナルなボーカルが印象的です。この曲は​彼女の過去の恋愛について歌ったものです。

Not a day goes by I don't think about you
君のことを考えない日はない
You left your mark on me, it's permanent, a tattoo
君の印が刻まれ、消えないタトゥーのように
Pierce the skin and the blood runs through
肌に刺さり、血が流れる
Oh my baby

[verse 1]


「Car Wheels on a Gravel Road」
タイトル曲であり、アルバム全体の中心的なテーマを象徴しています。この曲では、ルシンダの子供時代の思い出や家族との旅行の記憶が描かれています。歌詞は、アメリカ南部の田舎道を走る車の音や、そこに広がる風景を鮮やかに描写しています。

Cotton fields stretching miles and miles
延々と続く綿花畑
Hank's voice on the radio
ラジオから流れるハンクの声
The telephone poles, trees, and wires fly on by
電話線、木々、電線が次々と過ぎ去る
Car wheels on a gravel road
砂利道を走る車の音

[Verse 6]

「2 Kool 2 Be 4-Gotten」
この曲は、失われた青春とその記憶をテーマにしています。曲のタイトルは、若者のスプレーペイントによる落書きから取られたものです。歌詞には過去の出来事や人々との関係が描かれており、ルシンダの個人的な体験が反映されています​ 。

Leaning against the railing of a Lake Charles bridge
レイクチャールズの橋の手すりに寄りかかって
Overlooking the river, leaning over the edge
川を見下ろしながら、端に身を乗り出して
He asked me: Would you jump into the water with me
彼が「一緒に川に飛び込まないか?」と聞いた
I told him: No way, baby, that's your own death you see
私は「無理よ、それは自分を死に追いやることよ」と答えた

[Pre-Chorus]

「Drunken Angel」
この曲は、ルシンダの友人であるシンガーソングライター、ブレイズ・フォーリーに捧げられたもので、その波乱に満ちた人生と悲劇的な死を描いています。ブレイズ・フォーリーは才能に恵まれながらも、アルコール依存に苦しみました。

Some kind of savior singin' the blues
ブルースを歌う救い主のような君
A derelict in your duct tape shoes
ガムテープで補修した靴を履いた放浪者の君
Your orphan clothes and your long dark hair
孤児のような服と長い黒髪の君
Looking like you didn't care
何も気にしていないように見える君
Drunken angel
酔いどれ天使よ

[Verse 5]


「Concrete and Barbed Wire」

この曲では、物理的な障壁と感情的な障壁のメタファーが描かれています。アメリカとメキシコの国境の壁に対する批判が込められています​ ​。

Somewhere in Louisiana my sugar's doing time
ルイジアナのどこかで私の恋人は服役中
But he can't spend time with me
でも彼は私と過ごせない
If he could get over this wall he'd see
もしこの壁を越えられたら分かるだろう
That it's only made of concrete and barbed wire
それがただのコンクリートと有刺鉄線でできているだけだと

[Verse 4]

「Lake Charles」
この曲は、ルシンダの元恋人であるクライド・ジョセフ・ウッドワード3世に捧げられています。クライドは東テキサスのナコドーチェス出身でしたが、ルイジアナ州レイクチャールズが本当の故郷だと感じていました。歌詞の中で彼の死とその後に残された感情を描写しており、彼の人生と彼が愛した場所への愛着を表現しています。

We used to drive through Lafayette to Baton Rouge
ラファイエットからバトンルージュまでドライブした
In a yellow El Camino, listening to Howlin' Wolf
黄色のエルカミーノで、ハウリン・ウルフを聴きながら
He liked to stop in Lake Charles because that's the place he loved
彼はレイクチャールズが好きで、よくそこで止まった
Did you run about as far as you could go?
君は行けるところまで走ったのか?
Down the Louisiana highway, across Lake Pontchartrain?
ルイジアナのハイウェイを越えて、ポンチャートレイン湖を渡って
Now your soul is in Lake Charles, no matter what they say
君の魂は今もレイクチャールズにある、誰が何と言おうと

[verse 2]


「Can't Let Go」
アップテンポのブルースロック曲で、恋愛における執着を描いています。この曲は、ルシンダのライブパフォーマンスでも人気の高い曲であり、エネルギッシュな演奏が特徴です​ 。

He won't take me back when I come around
戻っても彼は受け入れてくれない
Says he's sorry then he pulls me out
謝ってくれるけど、結局は遠ざけられる
I got a big chain around my neck
首には重い鎖が巻かれていて
And I'm broken down like a train wreck
壊れた列車のように打ちのめされている
Well, it's over, I know it but I can't let go
もう終わったのはわかってる、でも諦められない

[Chorus]


「Jackson」
この曲はカントリーとアメリカーナの要素を取り入れており、シンプルなギターのリフとリズムが特徴です。歌詞の内容はファイエットやバトンルージュ、ビックスバーグなどの都市を通り過ぎながら、過去の恋人への思いを徐々に手放そうとしているとしていることを描いています。

All the way to Jackson
ジャクソンまでの道のりで
I don't think I'll miss you much
君のことはそんなに恋しくないだろう
All the way to Jackson
ジャクソンまでの道のりで
I don't think I'll miss you much
君のことはそんなに恋しくないだろう

[Chorus]


評価
『Car Wheels on a Gravel Road』はリリース直後から批評家から絶賛されました。このアルバムは、ルシンダにとって初のグラミー賞をもたらし、ベスト・コンテンポラリー・フォーク・アルバム部門を受賞しました。他にもビルボードのトップカントリーアルバムチャートでも高く評価され、ルシンダのキャリアにおける一番重要な作品になりました。



インタビュー

ルシンダ・ウィリアムス
This album was incredibly personal for me. It’s a reflection of my life, my experiences, and my emotions. The long process of making it allowed me to really delve into each song and ensure it was exactly how I envisioned it. Working with multiple producers brought different perspectives, but ultimately, it helped shape the album into what it became.

スティーヴ・アール
Lucinda was determined to get this record right. She wanted to capture the raw emotion and the true essence of her songs. There were times when we butted heads, but it was all part of the process. The end result was something truly special.


ルシンダ・ウィリアムス
「このアルバムは私にとって非常に個人的なもので、私の人生や経験、感情を反映しています。制作には長い時間がかかりましたが、そのおかげで各曲に深く取り組み、私の思い描いた通りに仕上げることができました。複数のプロデューサーと仕事をすることでさまざまな視点が加わり、最終的にはアルバムが現在の形になりました。」

スティーヴ・アール
「ルシンダはこのレコードを完璧に仕上げることに非常にこだわっていました。彼女は曲の生の感情と本質を捉えたかったのです。意見が対立することもありましたが、それもプロセスの一部でした。最終的には本当に特別なものが完成しました。」

「Car Wheels on a Gravel Road」20周年記念記事



その後のキャリア

『Essence』(2001)
1998年の成功を受けて、ルシンダは2001年に『Essence』をリリースしました。このアルバムは前作とは異なるより内省的で静かなトーンを持ち、リリース当初から高い評価を受けました。シングル「Get Right with God」は、グラミー賞のベスト・フィメール・ロック・ボーカル・パフォーマンス部門を受賞し、ルシンダの評価をさらに高めました。


『World Without Tears』(2003)

『World Without Tears』


2003年にリリースされた『World Without Tears』は、ルシンダの感情的な深みをさらに発展させた作品です。このアルバムは彼女の作品の中でも特に暗く、音楽的にもブルース、ロック、カントリー、ジャズが取り入れられています。特に「American Dream」では、ジャズ的な要素を取り入れたトーキングブルーススタイルで、アメリカン・ドリームに対する批判的な視点が描かれています。またこのアルバムにはルシンダ・ウィリアムスのキャリアの中で特に人気の高い「Fruits of My Labor」が収録されています。アルバムは商業的にも成功し、ビルボード200チャートで18位にランクインしました。


『West』(2007)
2007年には『West』をリリースしました。このアルバムは母親の死と長年の恋人との別れに触発された作品で、深い悲しみと癒しの過程が描かれています。


『Blessed』(2011)

ルシンダ・ウィリアムスのアルバム『Blessed』は、2011年にリリースされ、キャリアの中で特に成熟した作品とされています。『Blessed』は自身の感情の奥深さが見事に表現された作品です。アルバム全体を通して、失われた愛、喪失感、そして希望といったテーマが描かれています。他に注目すべきはエルヴィス・コステロが「Seeing Black」にゲスト出演していることです。

アルバムは、「Buttercup」や「Seeing Black」などの力強い曲から、より内省的な「Copenhagen」や「Born to Be Loved」といった曲まで、多様な感情と音楽スタイルが融合しています。特に「Seeing Black」は、彼女の友人であるヴィック・チェスナットの自殺に触発されて書かれたもので、深い悲しみと怒りが込められています​。

How did you come up with a day and time?
君はどうやってその日と時間を決めたの?
You did not tell me you'd changed your mind
気が変わったなんて言わなかったよね
How could I have been so blind?
どうしてこんなに見落としていたんだろう?
I didn't know you had changed your mind
君が気持ちを変えたなんて知らなかった

When you made the decision to get off this ride
君がこの人生から降りる決断をしたとき
Did you run out of places to go and hide?
隠れる場所がなくなったの?
Did you know everybody would be surprised
みんなが驚くことを知っていた?
When you made your decision to get off this ride?
君がその決断をしたときに

「Seeing Black」


『Down Where the Spirit Meets the Bone』(2014)

2014年にリリースされた『Down Where the Spirit Meets the Bone』は、ルシンダ・ウィリアムスの11枚目のスタジオアルバムで、2枚組の大作となっています。父親で詩人のミラー・ウィリアムスの詩に基づいた「Compassion」をはじめ、社会問題や個人的な痛みをテーマにした楽曲が多く収録されています。


『The Ghosts of Highway 20』(2016)と『Good Souls Better Angels』(2020)
2016年には『The Ghosts of Highway 20』をリリースし、さらに音楽的な探求を続けました。このアルバムでは過去の経験や旅をテーマにした楽曲が多く収録されています。2020年には『Good Souls Better Angels』をリリースし、社会的なテーマや個人的な葛藤を深く掘り下げた作品で、2つのグラミー賞にノミネートされました。



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