見出し画像

表現を極めたいデザイナーには、成長のジレンマがあると気づいた件。

こんにちは、グランドデザイン・西克徳です。
今日はデザイナーには成長のジレンマってあるなと前から思っていて、
それについてまとめてみると、いろんな意見を貰えるかもと思って書き始めることにします。

さて、みなさんにとって良い、あるいは凄いデザイナーってどんな人でしょうか?
あなたが感動したものの作者が目の前にいたら、凄いなぁと思うだろうし、
見たことのないすごいものを作る人、っていうのも凄いし、あの有名な◯◯のデザイナーっていうのも分かりやすい。又は、僕なんでも作れるよって笑う人が目の前にいたら、本当なの?神?とも思いますよね。

だとすると、、、

1:あなたが感動するものを作れる
2:あなたが見たことないものを作れる
3:有名な売れている商品を作っている
4:あなたが望むのもを自由自在に作れる

すごいデザイナーの基準としては、まずこの4つで良さそうですね。
ただ、あなたがこんなデザイナーになろうとしも、なかなか簡単にはいかない。特に『表現を極めていきたい』デザイナーにとっては、こんなはずじゃなかったという落とし穴も潜んでいます。

デザイナーの評価軸を4象限で表現するとこうなります。

画像1

上にあげた良いデザイナーの条件を分解すると『個性』と『表現スキル』になりそうなので、それで4象限を作ってみます。そしたら上の『あなたが感動するものを作れる』『あなたが見たことないものを作れる』ような人は『A』のゾーンに入り、『あなたが望むのもを自由自在に作れる』ような人は『B』のゾーンに入りそうですね。『有名な売れている商品を作っている』は運も左右しますから必ずしもBゾーンではなく、『AとBの間』に置きます。そこで、あなたにどっちのデザイナーになりたいかと問うた時、特に『A』のデザイナーになりたいと思う人に読んでほしいnoteです。個性的で且つ上手いデザイナーってかっこいいじゃないですか。僕がそうでした。そのうえで誰もが知ってるデザインも作ってみたい、そんな欲張りな若者でした。

画像2

僕は社会に出てから知ったのですが、デザインって、社会の中で『ソリューションツール』として存在しています。デザインを依頼するお客さんは、何かのソリューション目的でデザインを依頼してくれている中で『個性』というのは邪魔にも思えます。でも実際いるじゃないですか、個性的で活躍してる有名なデザイナー。
それはどう説明するんだ?という問題は後ほど説明しますが、いづれにせよ個性はあった方が素敵なわけです。一方WEBのように装置系のデザインをするデザイナーは概ね『B』方向がいいですね。装置系デザインにとって重要なのはUIですから、あなたの強い個性はほぼ邪魔になります。
一方横軸の『表現スキル』は、いろんな難題を解決していく中で、徐々に磨かれていきます。あなたが勤める会社がいろんな種類のデザイン表現を手掛けているならば、この技術はいろんな種類の表現課題の中で磨かれていきます。また装置系などUI系デザインを得意とする会社ならば、そのUI/UXの範囲でデザインは磨かれていきます。この『デザインスキル』というものは習得の早い遅いはあるものの、必ず一定の時間と量を必要とするもので、表現系なら3年で上手くなる人は相当レア。普通は5年必要とします。だから横軸は時間軸と思ってもらってもいいです。

でも、スキルと個性は両立しにくい。

概ね若い時はみんな個性があります。大学生の作品を見ているといつもそう思うんです。あぁこの人はこういうのが好きなんだなぁとか、面白いアイデア考えるのが好きなんだねとか。そしてその個性はほとんどの場合、技術的には未熟です。そりゃそうですね、大学でちょこっとデザインっぽいことをやっただけですから、未熟は仕方がありません。僕にもありました、好きな表現が。サイトウマコトさんや戸田正寿さんは僕の神様でした。そして広告の大貫卓也さん、グラフィックの葛西薫さんは僕にとって仏様でした。日本のグラフィックデザインが世界で最も輝いてた時代と言っても過言ではない、そんな時代に社会に出ました。
でもすぐ僕は気づいたんです。この個性と表現スキルは僕の足元では両立しづらい。なぜか?『個性』はソリューションの邪魔をしている。まして時代は広告が『表現』から『ソリューション』へ移り変わる時代でもありました。よって僕のちっぽけな個性など誰も必要としないのです。
だから若い時にあった未熟な個性は、技術を身に付けるに従い次の図のように消えて無くなるルートを辿り始めました。どーせ役に立たない個性なんですけどね。何だか、やるせなさや切なさと闘う日々でした。

画像3

僕が社会人になって最初の上司は、若いのにとても器用で優秀だと社内でも評判の先輩でした。この先輩はよく僕に話してくれたんです。「西、個性はいらん」と。「限りなく透明になれ」と言われました。『あーー、やっぱそうなのかなぁ~~でも、、なに?何となく泣けてくる。。』と思っていた若かりし僕は、優秀な上司の意に反してクセの強い企画ばかり考えて、あらゆる先輩から毎回ボツを食らうというなんとも華やかな時期を過ごしていました。だってデザイン力じゃ上司達に敵わない、企画だって採用される案が何かも分からない、それでも案出しをしなきゃいけないのならば、せめて会議の時に笑ってもらえることが、僕の生きがいだったのです。関西人ですからね、思い出しても悲しいなぁ、、喜びが哀愁まみれです。会社一優秀なデザイナーについたバカなアシスタントの僕は『B』の上手なデザイナーの凄さはよく理解しているけど、表現を目指した以上、なんとかして、笑われながらでも『A』タイプのデザイナーに近づけないものかと格闘していたのでした。

でも繰り返しますが、現実のデザイン依頼って『西の好きなようにアートしなよ』とは言わないのです。口が裂けても。『この商品をもっと知られるようにしたい』とか、『既存のブランドをもっと輝かせたい』とか、『こんな目的を果たすWEBサイトを作って欲しい』とか、そんな依頼があり、それに予算が準備されているんです。今思えば当たり前です。
そんなお客さんへのプレゼンで、僕の大好きな好きなデザインをして『これはどうですか?やばくないですか!?』と意気揚々と話しても、『それは俺が言ってた目的を果たすの?』『そんなんで知名度上がると思ってんの?』と聞き返され、残ったプレゼン時間はちっぽけな僕の公開処刑の場に生まれ変わります。上司が助けに入ってくれるものの、上司によって投げ込まれた浮き輪には陸に戻れるロープは結ばれてなく、ただ浮き輪を抱きしめ海にさまよったまま、プレゼン時間は終了します。こんな経験を何度かすると萎えるんです。今じゃこのレベルのデザイナーにプレゼンさせることはないですけどね。僕はバブル後だったので、まだ若手に任せていい仕事というものがあった時代でした。

『表現ステージ』と『ソリューションステージ』

僕のように「表現系」の夢を持つ若いデザイナーは、このような成長過程を辿ることになります。

■アシスタントデザイナー

デザイナーになりたい人って、かっこいいとか、可愛いとか、美しいとか、いろんな素晴らしい表現に憧れ、自分も作れるようになりたいとデザイナーを目指すことが多いはずです。だから自分が憧れてきたようなデザインを作れるようになることは、本人にとってとても大事なことです。でも真似をするだけでなく、自分なりのデザインが出来るようになるのだって相当な時間が必要です。そんなある日、自分でもこれは良いんじゃない?誰の真似にもなってないし、素敵じゃない?というデザインができたとします。僕が考える『アシスタントデザイナー』はこのあたりです。誰かの真似ではなく自分の頭から出てくるデザインを表現できる段階。でもそれが世に出た時、本当にクライアントの依頼の目的を果たせるのかは別問題で、世の中の人はあなたの様な美意識を持ってはいないし、あなたが考えるのとは違う考え方をするものです。でも自分が好き・いいと思えるものをなんとか自分の手で作れるようになる段階がファーストステージ。でも残念ながら、このステージで上司にあなたのデザインや企画がそのまま採用されることは、まだ少ないです。

■デザイナー

デザイナーはプロでなければいけません。であれば、課題に応じたいろんな種類のデザインを安定した高いクオリティで作れるようになる必要があります。それができるようになれば一人前です。デザイン課題を聞いた時、さらっと数パターンのデザインが高いクオリティでできるようになる。ここでは「高いクオリティ」も「さらっと」も大事です。早く作れたら考える余裕が生まれます。どれがいいんだろうかと?そしてもしそこに答えがなさそうだと感じたら、改めて新しいデザインを探しに行ける。こうなると辛いながらも少し楽しくなってきます。自分が試行錯誤して作ったデザイン案から、チームとして提案しても良さそうだというものが作れるレベルになっていますから、自分のデザインが世に出ることも経験できます。

■チーフデザイナー

次のステージはそのいろんなデザインの中から、一番いいと思えるデザイン案を優先的に作れるステージです。もちろんいろんなデザインは作れなくてはいけません。その前提でその中からこの辺じゃないかな?と思えるデザインを優先的にさくっと作れるようになる。こうなるとチーフデザイナーと言ってもいいレベルですね。手も早くなってデザイン案数も増えてきます。そしてここまでは『表現者』のステージと考えてください。

■アートディレクター

次はアートディレクターです。アートディレクターは自身でも得意範囲の表現を持ちながらも、数人のデザイナーの個性を見極めてデザインの指導をする立場になります。デザイナーとディレクターの違いは結構大きくて、『個人技から団体戦へ』移行した上で『表現からソリューションへ』ゲームチェンジをしなければいけません。これって幼虫がセミになったり、マラソン選手からサッカー選手へ移籍するくらいの生まれ変わりですから、結構な変容であります。クライアントと話す機会も増えますから、お客さんが求めているものを瞬時に見極められる会話力が重要なスキルとして加わります。
デザイナー向きの人ほどディレクターへの変更には時間がかかってしまうし、ディレクター向きの人はデザイナー時代に苦労してきたから『気づけば春の訪れ』のようにも思えるでしょう。この変容は本質的に『表現』から『ソリューション』への変化です。だから全ての人がこの先に進みたいとも限りません。『表現こそ我が命』ならば、むしろこの辺りに止まったほうがいいと思います。実際とてもキャリアがあるのに『グラフィックデザイナー』を名乗り続ける大先輩がいます。この方達はADもしくはDの役割を大事にしているのです。


■シニアアートディレクター

ここまで仕事をしてきている人は本当にたくさんのデザインを作ってきているので、お客さんと話しながらその段階でお客さんの求めているものを具体的なイメージとして頭の中に思い描くことができるようになっています。お客さんの頭の中のイメージを覗き見れる能力と言ってもいいです。(気持ち悪い)このステージからはソリューション・ステージ感が強まっていきます。

■クリエイティブディレクター

クリエイティブディレクターになるとお客さんと話しながら、こんなこと考えています。『あー、お客さんが求めているのは、こういうものなんだな、、でもそれで解決するんだろうか?そうやって失敗している企業は多いんじゃないかな。なんでだろう?ちょっと調べてみるか』とまだ出来てもいない成果物を頭に思い描きながら、でもなぜそれが華やかな結果を残さないのか?先に調べたりします。(みんなそうなのかな?)この辺りからは、もう個人差が目に見えて大きくなります。お金の管理が得意な人もいれば、作る現場に固執する人、社内外のスタッフの管理がうまい人、クライアントと飲み歩く人、いろんな人が現れます。デザイナー時代はなかなかそうはいかないのですが、アートディレクターになった辺りから個性の差は開き始め、クリエイティブディレクターになるともう、それぞれ何してる人?っていうほど違う職業に見えてきます。全人格的なものが問われるポジションです。だからこそ、この人に頼みたいなという人になっていないと務まらないと言えます。

■シニアクリエイティブディレクター

このステージはクリエイターとしては『上がり』です。むしろ完全に経営ステージにいるはずです。クリエイターでありプロデューサーであり経営者。そんなマルチなところにいます。

こうやってデザイナーのステージを振り返ると、最初は苦しいものの、自分らしく成長していき、成りたいようになる、という点ではクリエイティブって素敵な仕事なのかもしれません。もちろんその成長はあなた次第なのですが。

どうやってその下降線カーブを避けるか?

さて『表現系』を目指すデザイナーは上のような成長過程で、どうやって個性的でスキルの高い『A』デザイナーになれるのでしょう?僕が考え続けた答えは以下の2つ。

1)デザイナー時代からアートディレクター時代に『デザイン賞』を取る。

画像4

なんだよそんなことかよと思うかもしれません。でも同じ業界のエグゼブティブからあなたのデザインはいいデザインだと評価されることにはやはり、一定の価値があります。しばらくの間良い気分に浸れるし、自分の肩書きとしても残るし。何より自分なりの『突き抜け方の経験値』を持っていることはあなたのデザインの『引き出しとして』強い武器となります。そしてこれは若い頃の『表現者ステージ』の総仕上げとして獲得してください。その先はソリューション力を磨くステージに入ります。このステージに入って時間が経つと、デザイン賞獲得には関心もなくなってしまいます。最近はデザイナーでもデザイン賞獲得に興味を持たなくなりましたね。それは仕方ないと思います。日本のデザイン賞の世界って物凄くクローズドで、同じ人ばかり受賞します。実際その方達は良いものを作れるのは確かなんだけど、プレーヤー(=出品者)の更新を何十年もしてこなかったツケが回って、今では毎回同じ会員(=審査員)の『作品カタログ』になってしまいました。毎年同じ顔ぶれで同じ作風のデザイン年鑑を毎年買う動機ってどこにあるんでしょう?もしあなたがデザイン賞に出品するなら海外のをお勧めします。海外は審査員が毎回変わるのが常識ですから。別に仕事は日本のものでなくていいはずです。あなたを最も必要としてくれる国を探せるでしょう。

2)好きなことをずっと続け、極める。

画像5

あなたにはこの世界に入った『動機』があります。誰かのようなデザインができるようになりたいとか、こんな世界観が大好きで、自分の手で作り出せるようになりたいとか、このようの人は(1)の手段が有効ですが、コマドリのアニメーションが好きで、時間があったら作っていたとか、カッコいい雑誌が大好きで、そんなのを作れるようになりたかったとか。千代紙など和風のデザインがすごく好き、など何でもいいんです。このような人は(2)の好きなことを育て続けてください。それがあなたの『個性の種』だと思うのです。例えば和菓子が好きな女性が表現系デザイナーを目指したとします。その人は仕事でデザインスキルを磨いていくこととは別に、大好きな和菓子を扱って何かをやった方がいい。デザインのできなかったころとは違って、ある程度のデザインスキルが身についた時にはできることの可能性が広がっているはずです。学生時代自転車レースをずっとやっていた若者がいるとします。自転車レースで良い成績を目指すことと、デザイナーになることは、その時点で交わらない平行する二本線です。でもデザインスキルを身につけた後なら、自分で自転車チームのグッズを手がけることや、そのグッズを販売するECサイトを作ることができるようにもなる。

この上記2つの道はどっちも、あなたにしか出来ない仕事を作っていく道です。ちなみに弊社の会社公認『個人プロジェクト』はこの『好きなことをずっと続け、極める』ことで『(2)のルートでA』の道を辿るプロジェクトです。もちろんデザイン賞への応募も若手の自身につながるのでどんどんしていますけど、それが全てじゃつまらないのです。(1)の道はひたすた極め続ければ、デザイン業界でNo.1になれるかも知れません。お笑い界の明石家さんまへの道と言ってもいい。
でも『No.1』はその業界が健康的であれば入れ替わるのが宿命です。それに贖い『No.1』で居続けるのは相当な事だし、運の良さも必要です。それにそれを達成できるのはその世界で1人だけです。それに対して(2)の道は、ビートたけし(北野武)路線だと思ってください。ビートたけしとしてお笑い、北野武として映画、この2つの成功は彼の個性を決定づける重要因子です。

1万時間の法則

画像6

以上の様に2つの優れた特技を持てば、あなたは間違いなく個性的な存在になれます。デザインスキルを磨きつつ、好きなことを極めて下さい。またこの特技はどんどん増やしていきましょう。プロと言えるほどの特技が2つあれば、その乗算であなたは個性的になれます。でももしその特技と言えるものが3つあれば、それこそ『Only1』です。ビートたけしさんは、お笑いと映画以外に『歌』があって、紅白にも出ていますから、3つ目の特技として申し分ないですね。それ以外にも『小説』や『絵』も描くわけですから、5つくらい秀でたものがあります。すごいですね。明石家さんまさんもNo.1であり続けてるって特異点と言えるほどすごいですけど。
いづれにせよ、こうやって本人にしか無い『個性』って作っていくのだと思います。その前にまず、みんな2つ以上の特技(=プロレベル)を持ちましょう。そうすれば、あなたは安心です。もし3つ持てたとしたら、一生それだけで暮らしていけると僕は断言します。どうやって好きなことをプロレベルに持っていくかならば、『1万時間の法則』を調べてみてください。いろんな意見がありますが一定時間没入してみればいいのです。それには好きなことが一番いいです。

画像7

テレワークによる偶然性の低下

最後になりますが、ちょっと最近僕が気になっている話を。
テレワークって成長(変化)の偶然性を下げやすいと思っていまして。
グランドデザインも出勤は自由、家でも会社でもどこでも仕事してもいいという状態にして4ヶ月が経ちます。もともと出勤時間もまぁまぁ自由にしていましたから、それはそんなにストレスのあることではありませんが、この4ヶ月テレワークで若手はどのように成長するのかと心配をしています。そもそもテレワークって『効率的』ですが、それを『生産的』と捉えていいのかには、ちょっと疑問を持っています。なぜなら『生産性』に『偶然性』というのは大事な要素だと思っていて、効率的に分割された作業から思いもよらぬ面白さが生まれるんだろうかと疑問に思っています。
例えば、ある女性向けの企画を考えるとします。その時にAさんとBさんとC君、男女3人が入れば、数日で何十案と作れて、会議して方向決めて、そのうちの誰かがデザインしていけばいいと考えている僕がいるとします。そこにちょっと暇してそうな若手のD君が通りかかります。

僕『Dくんヒマなの?』
D『はい、なんかありますか?』
僕『こんなのあるんだけど、考えてみてくれる?女性向けなんだけどさ』
D『はい、やってみます』
僕『ありがとう、気楽に考えてみて』

数日後、4人で集まって会議をします。
最初にアサインされた3人はプロですので、考えてくれた案はどれも一定の高水準にあります。そこに、期待はしていなかったものの、ジュニアのD君の持ってきた案が『あれ?ちょっとそれ面白いかも』となることがあります。

『なんか目線が新鮮だね、どーして?』
『前に漫画の中で、女の子がそんなこと言ってたのを思い出したんです』
『なるほどなぁ、、あるかもね』
『ほんとっすか?』

十分あり得ることです。
だって若手くて経験が浅い分、常識にも囚われていないですから、僕らにとって新鮮な『それはあるかもしれない』ということはあり得るのです。これを僕は『成長の偶然性』だと思っていまして。自分が思うより、上司が思うより、偶然あなたの得意なことは見つかるものです。この場合は『好きな漫画のセリフをよく覚えている』ってことか『漫画を通して学んだ専門性』かもしれないですが、こんなことが、仕事において役立つとは、本人も気づく訳もなく、上司だって気付きません。
『あなたがどう成長したいか』ということと、あなたの所属する『チームによって見つけられた小さな特技』の乗算によって、あなたは予想に反して成長します。『あなたがどう成長したいか』はあなたの意思ですが、『チームによって見つけられた小さな特技』は実際の成果でありますから、成果の積み上げは確実にあなたを成長させます。
翻ってテレワークは基本的に『その人にできること』を頼み、受け取って組み立てるような進行の仕方をしますから、偶然性を廃すことで効率を高めているとも言えます。だから『プロ』ばかりのチームならベネフィットを受けやすい。しかしジュニアにとっての『成長』、プロにとっての『変化』という点については、このままだと今までより個人の努力が必要になると考えています。自分から『偶然の何か』を探しにいかなければいけない。これは結果、成長の二極化・格差を生むと思う。だからこの『成長・変化の偶然性』をテレワークの中でいかに組み込むか?というのは今後のテーマになると思っている次第です。
思いのほか長いnoteになりました。同じようなこと思っている方、又『これはどうなんだろう?』と思う方などいたらコメントください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?