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中国企業と仕事して気づいた3つの驚き

はじめまして、グランドデザインでプロデューサーをやっている藤原です。デザインと格闘技と山が大好き。最近の社会情勢的に山は今年1回しか登れず、悶々とした日々を送っています。 さて、今日はブログ1発目。クリエイティブに携わる僕の自己紹介がてら、突然中国案件のディレクターを努めることになったら、驚きの連続だった。そんなお話です。

突然の辞令「藤原くん、上海よろしくね」

忘れもしない、2018年も年の瀬、会社の忘年会に僕は毎度の如く、遅れて参加した。宴もたけなわ、みんないい感じに酩酊状態で一年のがんばりを癒していた。僕は代表の西さんの隣に座り、みんなのテンションに負けるまいとお酒や食事を放りこむ。どれくらいの時間が経過したころだろう。急に西さんから「藤原くん、来年から上海よろしくね」と言われた。一瞬、なんのことかわからなかった。西さん酔っぱらってる?いいえ、西さんは何を隠そう下戸なので酔っぱらうなんてありえない。至極真っ当に言っている。

ギャグ?そういうギャグなのか。

だって、グランドデザイン上海といえば、パッケージデザインをメインに事業展開をしている。グランドデザインは当時、東京のほか上海と香港にグループ会社があって、それぞれが独立していて同じ会社のようで、同じ会社ではないような距離感。基本、社員研修ぐらいで会う程度で、西さん以外が絡むことは滅多にないものだった。なのに「藤原くん、来年から上海よろしくね」だ。思わず「いや、僕、中国語も喋れないし、広告しかやって来なかったんでパッケージとかちょっと・・・」と切り返した。間髪入れず西さんは「全然、だいじょぶ」と。この瞬間、これは決定事項だと悟り、腹を決める。お正月休みを挟んで全部忘れちゃえばいいのにと期待して。

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お正月のおせち効果も力およばず、中国案件のディレクターに就任することになった2019年。といっても、上海に赴任するのではなく、リモートでデザインディレクションをし、プレゼンのタイミングで現地入りするというスタイルです。もちろん、日本や東京の外資系デザインを求められてグランドデザインに発注があるわけなので、東京のデザイナーも多くのプロジェクトに参加してもらっています。

さて、上海スタッフともはじめてのやり取り。藤原?誰?という人が急にやってきてデザインディレクションをはじめるわけだ。グランドデザイン上海のスタッフは1人が韓国人で8人が中国ローカル。男女比1:8の女子校状態で毎日わいわい賑やか。それにみんな優秀で日本語がペラペラなので、僕が中国語も英語もしゃべれなくても大丈夫。みんなに助けられながらデザイン業務を日々進めています。


1. デザインは言葉の壁を越える

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中国案件をはじめて早一年半になるが、もう30案件以上こなしている。2〜3週間に1案件のタスクをクリアしてきた計算だ。はじめての仕事はたしか雲南省のお土産「月餅」。歴史ある伝統菓子のパッケージリニューアル依頼。

デザイナーのみんなが頑張ったデザインを抱えて、いざ中国へ。しかも雲南!もはやミャンマー!未開の地へ飛行機を乗り継ぎ、到着。嘉华集団オフィスに入り社長プレゼン開始。もちろん、你好と謝謝しか喋れない僕は、日本語で企画説明〜通訳、質疑応答〜通訳の流れ。概ねプレゼン30分、質疑応答30〜60分くらいだが、この質疑応答が結果を左右することが多い。通訳を通してのディスカッションとなるが、デザインという共通言語があるから、言葉の壁があっても割とコミュニケーションはスムーズにいく。これが1つ目の驚き。デザインて主観的な部分が大きくて、国が違えば文化も違うので、中々こちらの思いは正しく伝わらないものと思っていた。けれど、デザインの根底にあるものはコンセプトだったり、設計だったりするのでノンバーバルでも伝わるんだなと知ることができた。デザインは言葉の壁を越える。これからも、喋れないままでいこう。本当は喋れるようになりたいけど。


2. 巨大企業がひしめく中国の圧倒的スケール。

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中国企業と仕事をしていると、そのスケールの大きさに驚かせられる。ひとつはご存知の通り国土がとんでもなくデカい。空港もデカい。駐車場には見たこともない数のタクシーが止まって待機している。北は北京、東は上海、西は雲南、南に広州や深圳。あらゆるところにクライアントがいてデザイン発注してくる。僕は東京から行くのでプレゼン時間よりも圧倒的に移動時間。めちゃくちゃ大変だ。そして、中国国内にはモンスター級の金持ち企業がゴロゴロある。国営企業、民間企業みんなデカい。建物もデカければ、会議室も超ビッグサイズ。日本ではお目にかかれない20名がけくらいの円卓もある。売り上げだってハンパじゃない。一つの商品の売り上げが100億円超えなんていうのもザラ。内需だけでこれは凄すぎるぞ。中国は日本の10倍以上14億人もの国民が居るのだから、それもそのはずか。日本からしてみたら圧倒的にスケールが違うのだ。


3.中国と日本の仕事習慣の違い

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日本からは想像もつかない国土を誇る中国は、当たり前だけど色々な風土や文化、習慣があって企業の特色も千差万別。その多くの中国企業には長い歴史があり、今の時代にあったデザインを模索したがっている。国が経済的に潤っているいま、世界の一流に仲間入りしたいムード。新しくなりたい、グローバルブランドになりたい、世界のデザインアワードを獲りたい。などの欲求は極めて高い。なので、中国ローカルのデザイン会社だけではなく、外資系のデザインを求めて日系や欧米のデザイン会社によるピッチなんてのも日常茶飯事にやってくる。この機を逃さずに、どうやったらポジティブな解を出せるかがデザイナーの腕の見せ所。一筋縄にはいかないのだけれど、上手にお付き合いができれば新しいものを創造したり、デザインアワードにもたどり着ける環境がそこにある。

中国は進化を続けている。いまではデジタル先進国として君臨し、先のコロナを抑え込んだことは記憶に新しい。アリババやテンセントといった世界に誇るメガ企業も存在する。旧態依然、変わらぬ仕事のやり方を推進してきた日本は、いつの間にか置いていかれていた。これが、3つ目の驚き。中国に行くとまざまざと凄さを感じるのだ。まだ荒削りの部分も多いけれど、中国の仕事はダントツのスピード感と実行力で出来ている。決断が早い。近い将来、中国から新たに世界へ躍り出る企業はたくさん増えるだろう。

僕ら日本も今までの仕事のやり方、あり方を見直す時期にきているように感じている。この中国式のビジネススタイルに学び、毎回どうやって中国のクライアントを驚かそうかと虎視淡々とする日々を続けている。負けるもんかの精神で。

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