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なぜ日本に香水文化が根付かないのか

ということについてはいろいろと言われている。
しばしば言われるのは、体臭の違い、入浴文化の有無、気候の違い…

先日、手首につけていた香水をたまたま肘の内側5cm程度のところにつけていた。別に何の気なしにである。
トップからミドルに移る、そこであることに気がついた。
香りが違うのである。
いつもならトップを引き摺るように尖り感のある香りがほぼずっと感じられるのに、なんだかとてもまろやかなのである。
これが調香師が想定した本来の香りなのだと思った。

理由はすぐにわかった。
体温の違いだった。
私は平熱そのものはいたって普通の36.5度前後だが、障害特性上血行が悪く、かなりの末端冷え性だ。
冬はセンサー式の体温計が反応せず「L」と表示されてしまい、飲食店や劇場のスタッフを焦らせてしまう。

温度が高い方がより多くの香りの成分が空中に飛ぶ性質がある。
手首に香水を纏わせるのは、脈打つところは皮膚温が高いからとよく言われる。
(香水のプロではないので想像だけど、手首って実はそれほど体温が高いわけではなくて、よく動かすところ=周囲に香りが拡散し自分も気づきやすい場所なのではないかと思っている。その点、ウェストに纏うのが最適らしいけど、私の事情的に難しい)
私の場合、その部分の体温が異常なくらい低いすぎて、調香師やブランドが意図した香りにはならないのだと思った。

そこで香水大国フランス人達の平均体温はどれくらいなのだろうかと調べてみた。
白人の(もちろんフランスは白人だけではない)平熱は37度という情報。
欧米人の平均体温は筋量の違いから日本人より少し高いらしい。
しかしながらこの情報、元ネタが1851年と古く、最近の研究ではイギリス人の平均体温は36.6度だというデータもある。
また、昔よく見られた炎症を伴う病気が減ったことや生活習慣の変化で体温が下がっているという話もある。結局のところよくわからないというのが結論。

仮に、日本人より平均体温が高く、湿度のない乾燥した地フランスで作られた香水を低体温の人が湿気の多い日本で纏ったとしたら、その香水は果たして本来の香り方をするだろうか。
体温や気候に関して「想定外」に使われたとしても、香水そのものが嫌な臭いに変化するわけではないけど、もしかするとフランスで(もしくは日本人より体温が高く乾燥した土地で)作られた香水が日本では受け入れられにくいのはこんな理由もあるのではないかとふと思った。

ところで、最近「香水を嗅いでみる」を「香水を香ってみる」とか「香ってみてください」という言い方がされるのだけど、おばさん的にはちょっと違和感あるんだなぁ笑

このビル、香水とは何の関係もありません^^


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