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親を捨てる、とひとに言えるかどうか。

またウケが悪そうなタイトルにしてしまった💦
別に本当に捨てなくてもいいし、病気の親を捨てることを推奨しているわけでもない。
けれど、「離れる」とかそういう柔らかい言葉ではダメなのだ。

自分の中は意外と自分じゃない不純物(親の価値観や世間体、常識なんかの同調圧力や思い込み)で埋め尽くされている。
自分を癒そうとすると必ずそういうのを捨て去っていく過程を通る。

そういうものを取り去る、というのはどういうことか。
「考える」のではなく「感じる」ことにシフトするということだ。
ここでいう「考える」は一般的な論理的思考とは異なる。

わたしは「いい子だ」とよく言われた。
成績もよかったし、苦手なものにも前向きに取り組んだ。
自分の中にいる自分じゃないひとたちでも書いたけれど、自己肯定感の低さというのは家庭の中で育まれることがおそらく多い。
それは、「いい子」にならざるを得ないということだ。

” 周囲にどういう風に見えるか ” だけを常に「考える」。
嫌われないためにどうしたらいいか、人から見られる自分の演出を考えることで脳はフル回転している。
「今は笑ってよかったんだろうか。」
「喜んではいけない、いい気にならないようにしないと。」
「この服だと目立ちすぎだ。暑いけどカーディガンを羽織っておこう。」
外からは普通に見えるだろう。
けれど、笑っているわたしは本当は全然楽しくなんてない。

24時間、演技している。
自分しかいなくても続いている。
こんなことを考えるなんてなんてイヤな人間なんだろう、自己嫌悪に陥る。
こういう方が女の子は可愛いよね、も同じ。
天然の感情は生まれると同時に正しく補正され、人工のそれにすり替わる。
そのことに自分自身ですら気づかない。

「考える」のではなく、「感じる」ことにシフトしてください。

それが難しいのは、必要なステップがふたつあって、つまずくからだ。
① 自分から生まれた天然の一次感情を正しくキャッチアップする
② ①をそのまま(善悪をジャッジしたり周囲の反応を気にせず)表現する

以前「カウンセリングでは治らなかった」と書いたけれど、カウンセリングは常に①と②を同時に要求され、しかも②は言語化が必要だ。
フォーカシングやひとりで自分と向き合うことで②のハードルが確実に下げられる。だから、わたしはカウンセリングではダメだった。

痴漢にあったときのこと
その話をカウンセリングではできなかった。
「痴漢にあった」とは言えても、どんな風に触られてそのときにどう感じたのかまでは言えない。
そのとき必要なのは、冷静に整理された大人の頭ではなく、当時の何もできなかったこどもだけれど、そのひとが誰かの前に姿を現すことはなかった。

意識しなくても、わたしは目の前の誰かに母を投影してしまうし、母との関係はいつも誰とでも再現される。

母は、わたしの気持ちを考えたことはなかった。
わたしが誰かを困らせないかどうか、今の状況に都合がいいかどうかばかりを気にしていた。
母を愛していたわたしは、悲しいことにその空気を読んで忖度した。

「感じる」ことが難しいのは、こういうことも関係するのかなと思う。

過去にトリップしたとき、自分の生の感情はだいたい、楽しさや嬉しさより苦しさや悲しさが先行してくる。

そこを乗り越えても、同調圧力というものが襲ってくる。

わたしは母親から逃げ続けて、母に「もう要らない」と手紙をかけるまで20年かかった。
「親を捨てるのか」と問われたら父や友人に「そうだね」と普通に答えた。

そこまでする必要があるのか、とかもっと穏やかに平和に解決できないのか、と言うひともいるだろう。
けれど、わたしは必要だと思っている。
穏やかに平和にできたらいいけれど、それは無理だ。

だって、相手がしてきたことが一見外から見たら平和に見えても「暴力」だからだ。
大人が小さな子どもの感情を封じ込めることは、家庭内のハラスメントだ。
その子のその子らしさを奪う、その理由は大人の都合だったり、未来への不安という親が自分で片付けるべきものだ。
それに対して ” 相手を傷つけないように ” と忖度すれば、相手はそれに漬け込んでくる。
一回殴り返さないと、同じ土俵には立てない。

そういうことを言わなくちゃいけないのは、すごく悲しい。
けれど、事実だから仕方ない。

わたしが愛だと思って縋り付いていたものが暴力で、親だと思っていたものがテイカーだったなんて。

「感じる」の奥には、だいたい知りたくもない事実があって、わたしの中のわたしはそれを知っているのだ。

けれど、それを超えれば。
ひとに阿らず、意に沿わないことでも口にすることができるようになる。

そして、それを思っているだけではなく、口に出すことが大事なのだ。

続きます。


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