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カウンセリングでは治らなかった

カウンセリングに通っていた時期がある。
20代後半の頃だ。

転職した会社を、受け付けられなかった。
入社初日、派遣社員の顔についてブツクサ言う50過ぎの男性と、彼女を採用したのは間違いだった、顔と性格は比例するからと笑う同世代の男性とのランチは気まずさしか感じなかった。その男性たちの後ろにはその当人である派遣社員の女性がランチを食べているという地獄さながらの光景は今でも忘れられない。
すぐに異動して、そこでもまたうまくいかなかった。

すぐに転んでしまう。
ちょっと気を抜けば、今まで普通にできていたことが、なぜかできなくなっていた。
眠れない、朝起きられない、食べ物が喉につまる、、、

心療内科に行くと、薬を渡され、カウンセリングに通うことになった。
なかなか治らずに、色々な病院を渡り歩いた。
そのときに、ADHDだとかアダルトチルドレンだとか愛着障害だとかHSPだとか毒親とか機能不全家族とか、色々な言葉を知る。
すべてが自分に当てはまるような気がした。

カウンセリング、を受けなくてはいけないと思った。
根本的に治すには、自分の中にある何かをどうにかしなくてはいけない。

けれど、カウンセリングに通っても治らなかった。
結局わたしは、わたしを自分で治した。

それについて、今日は書いてみる。

カウンセリングでは治らない理由

それは、自分の中の傷を安心してカウンセラーにはさらけ出せないからだ。

カウンセリングに通うようなひとは、何かしらの傷を内側に抱えている。
そして、それを誰にも言えなかった、あるいは言ったけれど誰にもわかってもらえなかったりした経験がある。
大抵の場合、その傷は当人にとっては恥ずかしく、容易に誰にでも見せられるものではない。

傷は、自分にもどのようなものかわからないのではないだろうか。
傷は、できたその瞬間のまま冷凍されたわけではなく、その後にも攻撃を受け、さらなる傷を負い、膿み続けたはずだ。
そして、わたしは日常を生きるために、その傷から目を背けて、嘘をつき続けて生きてきた。

そんな傷を初対面の人間に曝すことができるだろうか。

カウンセリングはもう、その時点でハードルが高すぎるのだ。
大きすぎる傷ほど、治せないはずだ。
そんなに簡単に人に言えることなら、ここに来ていない。
” 恥の文化 ” は日本特有のものらしいから、かもしれない。

【欧米】「罪の文化」:欧米では内面の良心を重視する文化
【日本】「恥の文化」:世間体や外聞といった他人の視線を気にする文化

どちらが美徳?日本人に根づく「恥の文化」と諸外国の「罪の文化」)より引用
https://u-note.me/note/47506034#post-index-1


当時20代後半だったわたしは、必死でカウンセリングに立ち向かった。
相手はプロだ、ただの壁だ、必死で自分に言い聞かせた。

けれど、結局挫折した。
一番大きな理由は、治らなかったからだ。
一旦酷くなるのは好転反応のようなものだ、そう言われても、一向によくならず財布は軽くなり、日常が壊れ、会社に行けなくなり、何もかも立ち行かなくなった。
そうなると、自信が余計になくなり、追い詰められ、判断力も失う。
悪循環でしかなかった。

カウンセリングに足りないところ

治らなかった理由を深掘りすると、カウンセリングに足りないところが見えてくる。

自分の傷を癒すには、その傷を表に出さなくてはいけない。
その点で、カウンセリングという手法は正しい。
けれど、徹底的に足りない点がいくつかあるとわたしは思う。

一般的に、プロが正しいと思い込んでいる。
でも、自分のことに関して、一番のプロは自分なのだ。
だから、自分が一番正しい。
そこからスタートしなくてはいけない。

そして、この「傷を癒す」過程において、必要なのはプロの知識より、誰かの温もりだったり優しさだったりするのだ。
そして、最も必要なその誰かは自分である。

自分の中の一番柔らかい、誰にも入れないところに傷は眠っている。
そこから外気に触れるところに出すのは、誰だって怖い。
だから、自分だけは、それをジャッジしてはいけない。
ただただ、自分を受け入れてあげないといけない。

もちろんそれに同意してくれるカウンセラーの方は世の中にいるだろう。
けれど、カウンセラーのひとはその傷が自分の内側に影響しないように一線を置く。プロだから、当たり前だ。
そして、その傷を離れたところから冷静に眺め、ジャッジする。
どのように治そうか考えるんだろうと思う。
わかっていてなお、その視線や姿勢に、わたしは何度も傷ついた。
安全な高みから冷静に観察される、そのことに耐えられなかった。

だから、そういう敏感なひとやプライドが高いひとにカウンセリングは向かないと思う。

長くなってしまったので、次回に続きます。


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