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コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/12/19)

英スタンダードチャータード、石炭依存企業への融資縮小

【注目ポイント】イギリスのスタンダードチャータードは17日、石炭への利益依存度が高い企業への投融資を2021年から段階的に取りやめる方針を発表した。世界中で気候変動リスクへの意識が強まるなか、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭の使用を抑える取り組みを金融面から促す。具体的には、企業のEBITDA(償却前営業利益)に占める石炭関連の比率が高い顧客への投融資を取りやめる方針。まず21年から、石炭への依存度が100%の企業を投融資先から外し、25年には60%超、27年に40%超と基準を徐々に厳しくしていく方針だ。今回の取組みの背景には、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資に関心が高まるなか、これらへの対応という側面がみられる。

【コメント】いわゆるダイベストメント(投資撤退)の動きだが、スタンダードチャータードというイギリスを代表する金融機関がこうした方針を打ち出す意味は大きい。今後、他のグローバルの金融機関も同様の動きを打ち出すことだろう。日本企業は、エネルギー産業だけでなく自動車などの大量に二酸化炭素を排出する事業を行う企業が多いため、こうした動きが本格化すると企業側が自社の事業内容を見直す契機にもなるはずだ。


タイヨウ・パシフィック・パートナーズ、ヤマシンフィルタ( 6240 )株式を 5 %超取得

【注目ポイント】アクティビスト(物言う株主)のタイヨウ・パシフィック・パートナーズは、ヤマシンフィルタ株式会社の発行済株式総数の5%超を取得した事を発表。タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、経営陣と協働し、企業価値の向上を目指す協力的な投資スタイルを持つことで知られている。現在ワシントン州カークランド市に拠点を置くタイヨウ・パシフィック・パートナーズは、日本やアジアにおける友好的アクティビスト投資を行うことを目的に、2003年に設立された。同社の日本に特化したファンドの運用資産残高は24 億ドル超。全てのファンドで友好的エンゲージメント投資を行っている。

【コメント】アクティビストにも色々なスタイルが存在するが、タイヨウ・パシフィック・パートナーズのように現経営陣と協働して企業価値向上を目指すと公言し、実行しているファンドはまだ少数だ。恐らく経営陣からの受けは良いだろうが、経営改善やコーポレートガバナンス改革は、状況によっては企業側にも痛みを伴う取組みにもなるので、投資先企業の経営陣と考えが合わなくなった際に、どのように協調体制を築くかが気になる。


中計の達成度重視の投信 独立系、企業と定期的に対話

【注目ポイント】独立系運用会社のシンプレクス・アセット・マネジメントは、上場企業の中期経営計画の達成確度に注目して投資判断する投信「中期経営計画ファンド」を立ち上げたと発表した。企業との対話を重視し、中計達成を後押しすることが狙いとみられる。中計を基に投資先を選ぶと明示する投信は珍しいが、コーポレートガバナンス・コードの導入以降、上場企業の中計を対外的な「約束」ととらえて注目する投資家が増えており、今後同様の投信が広がる可能性がある。

【コメント】確かにCGコードの導入以降、「ROE8%」や「資本コスト」などが注目されるようになった。これまで一部の先進的企業を除いて、大多数の上場企業は仮に中計が予想通り達成できなかったとしても、経営者の経営責任を問うことはなかった。今年、アサヒグループホールディングスが、ROEが経営目標から一定期間下回った場合には、CEOを解任する要件とすると発表しているが、経営目標というのは本来はそれだけ重いものである。そう考えると、本来のあるべき形に近づいているといった方が良く、今回の中計ファンドもその流れを加速されるものとなるだろう。

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