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コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/11/20)

「和製アクティビスト」も始動!新型金融エリートになれるか

【注目ポイント】アクティビスト元年――。日本でアクティビスト(物言う株主)の存在感が高まっている。こうした中、従来日本企業に対してアクティビズム活動を行ってきた外資系アクティビストは2割程度とされてきたが、ここにきて、日本人が新たなアクティビストファンドを立ち上げる動きが出始めてきている。

【コメント】ユニゾの取日系のアクティビストファンドとしては、旧村上ファンド系の「レノ」、「オフィスサポート」、「南青山不動産」や同じく村上ファンドの主要メンバーであった丸木強氏が代表を務めるストラテジックキャピタルが有名である。記事でも触れているように、ここに来てマネックスグループの松本CEOもアクティビストファンドの設立を模索する動きがあるなど、裾野が広がっており、これから数年間の間に日系アクティビストの数は一気に増えそうだ。


物言う株主のAVI、政策保有株「見直さないと日本は弱体化」

【注目ポイント】イギリスのアクティビスト(物言う株主)のアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)が帝国繊維やTBSホールディングス(HD)に対し、政策保有株の縮減を求めるとのこと。ジョー・バウエルンフロイントCEO(最高経営責任者)によると、「政策保有株の慣習を見直さないと、日本の株式市場が弱体化する」と訴えっているとのこと。

【コメント】政策保有株の縮減は、現在のコーポレート・ガバナンスコード(CGコード)でも明確に規定されており、コードでは「取り扱いを検討する」レベルではなく「資本コストに見合わなければ減らす(または保有しない)」ことが求められている。こうした中で、CGコードの第一の原則である「株主平等の原則」を徹底する観点からいうと、記事にもあるように「特別な株主関係における暗黙の駆け引き、これまでの取引関係を維持するために経営陣の命令に従って議決権を行使すること」は会社法120条に反するというのはその通りだろう(筆者は弁護士ではないので最終的な法解釈には責任は取れないが)。こうした動きに対して、AVI社の投資先である帝国繊維やTBSがどのような対応を取るかは要注目である。


英投資ファンドAVI、パソナG株を5%超取得 目的「純投資」

【注目ポイント】英のアクティビスト(物言う株主)、アセット・バリュー・インベスターズ(AVI)がパソナグループ株を大量保有していた。AVIが関東財務局に提出した大量保有報告書によると、パソナG株を5.08%取得しているとのこと。

【コメント】上の記事にあるAVIがパソナ株も5%超保有しているとのこと。最近のアクティビストの例はこのように10%未満の保有に留まることが多く、そのために同時に複数の企業に対してアクティビズムを行うことが出来る。ただし、企業分析や改善提案を検討するためのチームもそれほど大規模でないことがほとんどのため、一度に投資できるのはやはり10数社程度が限界ではないだろうか。そのため、より大きなリターンを目指すことを目的とすると基本的に大企業こそが狙われる(または中堅でも割安さが目立つところ)。


経営者のガバナンス検証

【注目ポイント】世界的な低金利傾向でスタートアップへの資金需要は旺盛だが、一方で、WeWorkに代表されるように新規株式公開(IPO)を1~2年後に先延ばしする例も出てきた。これまでベンチャーキャピタル(VC)などの投資家側には投資先の企業に対して、将来の成長が見込めれば良しとするという風潮があったが、今後はスタートアップであったとしても経営者のガバナンスについて検証していく方向になるだろうとのこと。

【コメント】WiLの伊佐山CEOが語るように、従来スタートアップにガバナンスということはほとんど求められてこず、基本的に成長性だけが注目されてきていたというのが実態だろう。ただし、WeWorkやUberなどユニコーン企業でも創業者をはじめとした経営者の暴走が企業価値を著しく棄損する例が出てきており、今後は日本でも一定程度、スタートアップ企業に対するコーポレートガバナンスの強化が求められるはずである。

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