会議室

コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/11/18)

仏ルノー暫定CEO、正式就任に名乗り

【注目ポイント】仏の自動車大手ルノーは、現在暫定最高経営責任者(CEO)を務めるクロチルド・デルボス氏が、正式なCEO就任に名乗り出たことが関係者の話で明らかになったとのこと。ルノーは社外からの候補者を次期CEO起用に検討している模様。

【コメント】先日解任されたボロレ氏の後任として暫定CEOを務めるデルボス氏が、正式なCEO就任に向けて立候補したようだ。現在、同社のCEO選びは外部候補者を軸に進められているとのことだが、一般的に海外でもいきなり外部候補者をCEOに就任させても失敗するケースの方が多い。今回誰がCEOになるにしても日産との関係性構築やFCAとの統合等、課題は山積であり、かなり困難な経営の舵取りが求められる。


アクティビスト襲来!株価と経営者を揺さぶる「黒船」の正体

【注目ポイント】物言う株主、アクティビストが株式市場で存在感を増している。ソニーや東芝、オリンパス、JR九州などの大企業が次々とターゲットになっている

【コメント】あるコーポレートガバナンスの専門家は2018年を「アクティビスト元年」と評し、日本企業へのアクティビスト活動が強まることを予見していたが、まさにその影響が顕在化しているといえる。現在はまだまだ穏健な要求がほとんどだが、今後米国企業で見られるような苛烈なアクティビズム活動が本格化するかどうかが注目される。


膨張続ける米企業の役員報酬、株主や政治家から異議

【注目ポイント】大手エグゼクティブサーチ・ファームのスペンサー・スチュアートの調査によると、S&P総合500種株価指数企業で、代表権を持たない取締役の平均年間報酬は昨年に前年比2%増の30万4856ドルと過去最高を更新。これは10年前からは43%の増加となる。膨張を続ける米国企業の取締役報酬には厳しい目が注がれており、取締役の高額報酬に異議を唱える株主訴訟も増えており、取締役報酬の上限額を設定する企業も増えつつある。

【コメント】この記事で指摘されている取締役報酬は、いわゆる社長などの業務執行を兼ねている役員の報酬とは異なり、主に「社外取締役」を想定した取締役報酬と考えるべきである。日本の上場企業の社外取締役は平均でまだ1000万円に届かないレベルだが、米国企業では平均で30万ドル~40万ドルの間だろう。確かにこれを高額報酬として批判する意見は多いが、米国企業の社外取締役の多くは米国上場企業のCEO経験者であることが多く、彼らの現役時の報酬は数億~10億円以上であることがほとんどである。30万~40万ドルが欲しくて社外取締役に就任を希望しているというのは、稀なケースと思われる(中にはいるだろうが)。一方、社外取締役として監督すべき経営課題は年々複雑さを増し、時間的拘束が格段に多くなっていることや責任の重さを考えると、正直なところ30万~40万ドルでも安いと思うのは私だけだろうか?


地銀も狙われた!「物言う株主」が日本企業に突き付ける要求とは?

【注目ポイント】アクティビスト(物言う株主)から突然書簡が届き、経営改善や資本政策の見直しを求められるー 現実にこのようなケースに直面する日本企業が出始めている。ロンドンに本社を構えるアクティビストファンド、シルチェスター・インターナショナル・インベスターズは、滋賀銀行株式を9.1%保有しているとされており、今年8月に同行の高橋頭取宛に書簡を送っている。書簡では、「同銀のコーポレートガバナンスが不十分であり、配当などの資本政策が適切でない」ことを指摘。その上で、「取締役の一部交代や、普通配当の増配、自社株買いなど株主還元策の充実」を求めている。

【コメント】アクティビストの活動の多くは、メディアに出ずに水面下で行われるが、その中で最も多いのはこうした書簡を社長等の経営陣や取締役会に送付するという活動である。書簡では、株主としての要求が記載されるのが一般的だが、その多くは株主還元策の不十分さやコーポレートガバナンス体制の不備を指摘するものが現在は多くを占める。一方で、日本企業でもソニーに対するサードポイントの提案のように、事業ポートフォリオの見直しなど経営そのものに対する改善を株主からの要求として突き付けるケースも出始めており、本丸は、日本の多くの大企業が未だ手付かずの「儲からない事業からの撤退」にどのようにアクティビストが関与してくるかだろう。

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