コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/12/16)
強欲経営者は改心したのか
【注目ポイント】米国の主要経営者団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が今年の8月に、株主以外の幅広いステークホルダーに配慮した経営の重要性を訴えたことは、今年の米国経済における代表的な話題だ。著名経営者ら181人が署名した声明では、「企業の目的を再定義する」として顧客への価値提供や従業員に対する投資、地域社会への支援など5項目を列挙している。その最後に株主への長期的価値の提供を掲げ、従来の株主重視の経営を見直す姿勢を示した。これが本当なら「株主偏重」だった米国経営の大きな転換を意味する。利益の追求を優先し、株主に対して高い配当を提供しながら経営者自身も高額な報酬を得る。そんな米国式経営が変化する動きと受け止める向きもある。だが、果たして本当に強欲な経営者たちは改心したのだろうか。今回の声明に対し、米国では「たとえ株主第一主義を見直しても、経営者自身の高額報酬を改革しなければ意味はない」との批判も根強く、改革の本気度が問われている。
【コメント】米国のビジネスラウンドテーブルが発表した株主第一主義からの脱却は、2018年に改訂されたイギリスのCGコードと同じように従業員や取引先など、株主以外のステークホルダーにも配慮した経営への転換と捉えられており、今年大きな話題をさらった。既にいくつかの企業では経営者報酬を決定する際のKPIに、業績指標とは別の指標を設ける動きも広がっている。例えば、ESG指標などがその代表例だ。一方で、そもそも経営者と一般従業員との報酬格差の広がりについて根強い批判があるため、報酬水準自体の見直しもどこかのタイミングで見直す動きが出てくるかもしれない。
関電、経営刷新も持ち越し 金品受領、深まるダメージ
【注目ポイント】関西電力の経営幹部の金品受領問題で、第三者委員会の最終的な調査報告が越年する見通しとのこと。岩根茂樹社長は第三者委員会からの調査報告を受け取った時点で辞任すると表明しており、経営体制の刷新も持ち越される見通しだ。信頼回復とコーポレートガバナンス体制の再構築が遅れれば、経営にも大きな打撃となる可能性がある。
【コメント】本来は社長は問題発覚後、即辞任すべきである。関電は立派な上場企業であり、こうしている間にも経営状態は傷んでいる。本当であれば、有無を言わさず取締役会で社長の解任決議が議論されてしかるべきだが、第三者報告を受け取るまでは社長で居続けるというのは株主の立場からすると到底許容できないはずだが...
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