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ビジネスにおけるコミュニケーション円滑化を志向する。株式会社インゲージ代表取締役和田哲也氏インタビュー<前編―インゲージの製品Re:lationについて―>

今回私は、メールやLINE等の一元管理システムRe:lation(https://ingage.jp/relation/)を提供する、株式会社インゲージ(本社:大阪府大阪市 https://ingage.co.jp )に伺い、和田哲也社長に取材させていただきました。当社製品であるRe:lationや会社の立ち上げ、今後の展望に至るまで熱く、深く、お話し頂きました。

現代社会でメールシステムの再発明は不可欠

――情報の一元管理という機能を思いついたきっかけを教えていただけますか。

 私が20年ほど前にアメリカにいた頃の話です。当時アメリカでは、ドットコムバブル(1990年代前期から2000 年代初期にかけてアメリカ合衆国の市場を中心に起った、インターネット関連企業の実需投資や株式投資の異常な高潮)が崩壊し、その中で唯一アマゾンが生き残ったという状態でした。そんな中、私が年末にアマゾンの商品を購入したのですが商品が届かず、その後アマゾンに問い合わせて「すぐ送ります」との返事は受けるけれども、一向に届かない、そんなやりとりが3、4回繰り返されたことがありました。私はアメリカに実際住んでみて、アメリカ人が真面目な性格であることを承知していたので、アメリカ人の怠慢で商品が届かないのだとは考えませんでした。商品が届かなかったのは、私の注文が年末商戦の最中であり、アマゾン側が注文や商品の問い合わせ連絡を十分にさばききれず、誰が何の対応をしているかがわからない状況に陥っていたからだったんです。人ではない、ツールのせいでこのような状況が生じたのだとわかってから、私はメール等の情報伝達手段をビジネス向けに再発明する必要があると考えました。
 また、かつて勤めていたコナミではゲームを作っていて、ゼロからモノを作るという経験をしていたので、こんなものがあったらもっと便利だな、ということを常に考えていましたし、それを考えるのが楽しいと感じていました。まだないものを生み出していこうという自分の考えとアマゾンの体験がミックスされて、メールの再発明をしていこう、と考えたのがRe:lationの原点ですね。それから10年くらい構想を温めて、Re:lationという製品の開発に至りました。

――ベンチャー企業が事業を成長させていく中で何度もピボットすると聞きますが、和田社長は、Re:lation以外のサービスは考えなかったのですか。

 もちろん、Re:lation以外にも、こんなシステムがあったらいいな、と考えて、構想を温めているものもありました。だからこそ、「株式会社Re:lation」にはせず、「株式会社インゲージ」として、企業にとって利便性のある様々なサービスを提供していこう、と考えました。そして、私自身の構想の中で、一番あったら便利だなと考えるものがRe:lationだったんです。
 企業と顧客のコミュニケーションはビジネスの上で絶対に不可欠なものです。そして、コミュニケーションは日々多様化していきますし、今後も多様化していくことが予想されます。そのため、それに対応したビジネスを成り立たせ、また多様なコミュニケーションの形態を尊重できる一元管理サービスを提供できたらいいなと思いました。
 以前別の会社で業務用システムを作っていた際、もともとお客様の声を聞くことは好きだったのですが、やはりその中でも「いろいろなコミュニケーションツールを開いて対応させていくのが面倒だ」という意見は多かったです。だから複数のメディアをワンストップで管理できるマルチプラットフォームは不可欠だな、と感じていました。

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Re:lationが求められる理由

――Re:lationの特徴として、顧客満足度が高く、結果として解約数が少ない製品だと思います。その理由は、インゲージの経験豊富な経営陣・開発チームによる、UI(ユーザインターフェース)の良さ、他のソフトウェアとの連携の多さ、セキュリティー技術の高さ等があると思います。

 挙げてもらった理由もそうなのですが、私が考える理由は主に2つあります。
1つ目は、お客様の生の声を聞けたという点です。インゲージはもともと3人で起業したのですが、私以外の2人(注:現取締役CTOの永田兆氏と現取締役CPOの石田悠氏)が開発担当だったので、その他の総務、経営、営業等は私が1人で対応していました。営業も私1人で行っていたため、その中でお客様の生の声を聞く機会が多く、それを自分の中で噛み砕いて、困っていることの理由・背景を理解することに努めました。そうすることで、お客様が求めているベストなタイミングでベストなサービスを提供することが可能になったのではないかと思います。
2つ目としては、お客様にとって、使いやすい、わかりやすいサービスを提供することで、お客様に効率のよさを提供できたという点です。「使いやすさ」は、画面の色彩や大きさや各人の使用頻度など、様々なファクターによって決まるものですが、そういった「使いやすさ」につながるファクターを長期間追求し、ノウハウを積み上げてきました。その背景には、先述したゲーム作りに携わっていた経験も影響しています。U Iの良さ、というと、色使い、デザイン、音、演出、そういったものの良さを指すこともありますが、それにとどまらない、「使いやすさ」を追求しています。

試行錯誤の末に今のRe:lationができあがった

――2014年にRe:lationをリリースしてから、どのように成長を遂げてきたのでしょうか。苦労話も含めてお聞かせください。

リリースしてから1、2年の売り上げはずっと低空飛行で、月に1件の契約が取れる月もあれば1件も契約が取れない月が2ヶ月続いて……といった調子でした。しかも契約が取れたとしても、1件につき3万円ですから、給料なんて出ませんし、当然赤字です。システムに興味があるという方がいれば、全国どこでも「いきます!」と即返事をして、でもお金がないので夜行バスで直接足を運び、私自身がシステムを紹介して営業をしていました。しかし、システムを紹介した後に決まって聞かれるのが、Re:lationの導入社数でした。当時は立ち上げから日が浅くまだまだ導入社数が少ない状態だったので、そのこと告げると、「システムが広まったらまた教えてくれ」と断られる、そんなパターンばかりでした。肩を落として、帰路に着く中でたくさんの人を見て、「ああ、俺だけが稼いでないんや」と思う瞬間は本当に辛かったですね。
たまに起業の苦労は最高だ!とか言っている人がいますけど、私は二度とあの辛さは経験したくないです。(笑)

――そんな中でも心が折れなかったのはなぜですか。

何度か心が折れかけたこともあります。製品が売れないのに月に100万くらいずつお金は減っていきますから、共同創業した2人も不安だったと思います。本当にダメかもしれないと思った時には、冷静に考えるように努めていました。
ビジネスの中でコミュニケーションって絶対いるよな?
コミュニケーションの方法は多様化していってるよな?
それに対応しているコミュニケーションツールはRe:lationの他にはないよな?
よし行けるぞ!
と自分を鼓舞して、なんとかやってきました。

――リリース後売り上げが伸び悩んでいたにもかかわらず、3年後あたりからの売り上げが急上昇した理由は何だと思いますか。

よく聞かれますが、これといった理由はないんです。本当に細かいことの積み重ねによって売れ出したんじゃないかな、と思います。お客様の声を聞いて使いにくい部分を改良していく、製品のウェブサイトもわかりやすいように改良していく、いろんな場所に登壇して製品の良さを伝えていく、製品のプレゼンテーション方法を改善していく、そうやって様々な側面において改良に改良を重ねてきた結果が、売り上げに表れたのだと思います。

あ


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