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ママパパにも知ってほしい!第1回「原始反射統合プログラムと栄養の関係」

こんにちは。医師の本間龍介です。私は神奈川県川崎市に “スクエアクリニック”という医療機関を夫婦で開設しています。

もともと、慢性疲労の方や自閉症のお子さんの治療やサポートをしておりましたが、運動がその治療過程に重要であることから、原始反射統合のトレーニングをプログラムに組み込んできました。

私自身のスペシャリティは、栄養やその環境整備ですが、
私の持ちうる最新の知識と培った経験を提供できればと思っています。

“発育を木に例えるなら、幹は栄養、根っこは原始反射”

今回は、本講習のベース、「原始反射統合プログラムと栄養の関係」についてお話します。子ども運動教室LUMO(ルーモ)のスタッフは、原始反射やその運動プログラムについて学びながら、日々の指導へ生かしています。

原始反射は、脳幹の成長が未熟であるが故に、感覚過敏や怯えなどさまざまなトラブルとなって表出するものです。本来は、胎児期から2歳頃までに消失すると考えられてきました。しかし現在では、自らを守るために一定残り続けたり、何かの拍子に過度に表出してトラブルになることがわかってきました。残存することが、思うように動いたり考えたりすることを難しくしているということです。

お子さんの発育を木に例えるなら、一番太い幹は栄養です。原始反射を統合する神経、体を動かす筋肉や骨はすべて、食べ物からできています。ですから、正しい食べ物をとらなければ、体を動かす過程にある神経、骨、筋肉は正しく動かすことが難しくなります
 
例えばLUMOで運動をしてもうまく原始反射が統合しない原因に、食事の問題があるのではないかと少し考えていただきたいです。正しい食事についは今後お話しさせていただきますが、正しい食事によって正しい体ができている前提で原始反射をととのえていただきたいのです。

また、ママパパには太陽のように、心地よくて安全な環境をつくっていただきたいと思います。栄養とは少し離れますが、原始反射は身の危険を感じた場合に現れやすくなります。ママパパの言葉や態度にも、身の危険を感じたりします。あるいはおじいちゃんおばあちゃん、ごきょうだいかもしれません。ご家族が温かく身守ることで、発達の幹はすくすく伸びていくのです。そのかたちが、お子さんの土台とお考えください。

そして原始反射はすなわち、木の根っこ、人間の根っこの部分です。
何があっても脳と体が正しく機能できるようにするため、幹が太くなるよう栄養を与えて環境整備をしていただきたいのです。


“原始反射統合トレーニングとは、脳と神経をととのえること”

発育上一番大切なことは、生活習慣や食生活、幹にあたる栄養です。私自身がクリニックで行うバイオロジカル検査や遺伝子検査、サプリメントの処方などは、発育の木の小枝部分にあたります。

そしてLUMOが担う運動プログラムとは、私の専門分野より太い枝の部分だと考えてください。この枝とは、運動、ワクチン、歯科治療、メンタルサポートなど、子どもたちの発育を取り巻くさまざまな要素であり、どれも幹を太くする大事な枝です。
 
よく、ママパパからは「我が子を賢く育てたい」「できることを増やしたい」などとお聞きします。これはつまり脳をととのえることになります。実は、脳だけではなく指先の末梢神経までが大事です。司令塔である中枢神経が脳であることから、頭のよさは脳だけだと勘違いされますが、指先までととのえることが重要です。
 
LUMOの原始反射トレーニングは、脳幹、中脳、延髄をととのえることと同時に、末梢神経や大脳皮質の先までととのえる作業です。

ただ、この脳も正しい栄養が入っていないとうまく動かないことがわかっています。例えば、食品添加物、有害重金属、農薬、殺虫剤、プラスチックなどは脳機能を下げることがわかっています。こういった毒を入れない正しい食事と食習慣が重要です

“動的平衡”の観点から”考える、栄養と体の変化

脳をうまく動かすために、正しい栄養が必要であることについて、詳しくご説明します。
 
例えばiPhoneの初期モデルと最新モデルを比べてみてください。皆さんもスマートフォンをお持ちだと思いますが、15年以上も前の端末を持つ方は少ないでしょう。アップデートされた端末のほうが、より快適で利便性も高くなります。

正しい食事をとらないと、中身が初期のiPhoneの状態であるとお考えください。外見は基本的に進化しませんが、その中身である脳は進化するのです。つまり、正しい食事をとらないと、中身は初期のスマホと同じ。いくら素晴らしい原始反射統合トレーニングを提供しても、中身がととのっていなければマスターできません。

“動的平衡”という言葉をご存知でしょうか。もう15年以上前になりますが、福岡伸一先生(分子生物学者)の著書の題名にもありました(『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』木楽舎、2009年)。

人間は絶えず変わらぬようで、中身はものすごく変わっていきます。その過程で、常にいい情報、いい運動、いいものをインストールするには、絶えず脳をいい状態へもっていくことが大事です。

“正しい食事をとらないと、原始反射は統合しない”

トレーニングによって、「モロー反射やバビンスキー反射が統合した」「椅子に座って勉強できるようになった」「運動パフォーマンスが上がった」という結果が出れば素晴らしいことです。

ただ、一番注意すべきなのは、うまく結果が出ないケースです。何が問題か、しっかり検証する必要があります。もしかしたらトレーニング以前に、食生活が芳しくない可能性を考えなくてはなりません。
 
例えば、私が副院長を務めるスクエアクリニックでは、問診票の一つに、1週間の食事記録があります。それを元に食事の提案をするのですが、私は、良いものを食べましょうと伝えるよりも、悪いものを引く方が取りかかりやすいように思います。

日本人は食生活に関する情報量が多く、運動部に属していた方などは特に知識が豊富です。いい食品を増やそうとすると、どんどん増えて、何を食べたらいいのかわからなくなります。“このお菓子は週3回食べているから週1回に減らしましょう”という風に、足し算ではなく引き算で考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

まとめ

人間は一見変わっていないようで、神経、骨、筋肉といった全ての物質が一年で入れ替わります。去年の私も、一昨年の私も、私という概念は同じですが、中身が全く別のものになるのです。

それほど人間の体は変わるものなので、食事を日々コツコツ変えていけば、一見同じ個体であっても全く違う反応を示すようになります。それは神経であり、考え方であり、動きについても言えます。

今後、さまざまな切り口で、原始反射をととのえる食習慣や環境について詳しくご紹介していきます。お子さんの発育発達のために、よりよいアプローチを一緒に考えていきましょう。

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