手をあげられる場所
授業で答えがわかっていても手があげられなかった。
間違えるのが恥ずかしかったわけじゃない。
手をあげて注目されること自体が恥ずかしかった。
人前で歌を歌っているのに変な話だと思う人もいるかもしれないけど僕の中ではつじつまが合っている。人前に出る勇気がないから歌にしているのだ。表現をする人の一定数はこの感じ分かってくれるんじゃないだろうか。
歌うときの僕と普段の僕は別人ではないかも知れないけど、完全に切り替わるスイッチがある。実は歌うと決めている時以外はギターを持っていてもカラオケでも恥ずかしくて歌えない。
外食すると店員さんは呼べないし、楽曲提供させてもらった方の物販へも緊張していけない。話しかけるかけない、手をあげるあげないに今までどれぐらいの時間を使ってきたんだろうか。目立ちたがりの人見知り。(なんと面倒臭い)
だけど思い返せば小学生の頃はガンガン手をあげて発言していた記憶がある。
一体僕はいつから人前に出ることが苦手になってしまったんだろうか。
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高校生の頃にはもうクラスメイトに喋りかけることすら緊張するようになっていた。クラスには馴染めなかった。と僕が思っているだけで本当は受け入れてくれている人もいたのかもしれない。わからないけど体育祭の打ち上げがあったことなどを後から知る感じではあった。
どっちかと言うといわゆるネクラ、陰キャラと呼ばれる属性の人間だったのだけどなぜか友達になるのは暴走族に入ってたりするちょっとヤンチャなタイプだった。
音楽やってるから独特の立ち位置だったのかもしれない。はみ出し者同士波長が合ったのだろうか。
そんな中のひとりのKくんとよく昼休みの教室で歌っていたのを思い出した。
今では考えられない。僕がみんながいる教室で気兼ねなく歌ってただと!?
専門学生の頃も発表がある授業はどんどん発表していた。ということは僕がこんな風になったのは20歳を超えてからということだ。世間知らずのまま来れた僕は20代に入っていきなり常識、普通というものにボコボコにされることになる。
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昔描いていた曲はラブソングばかりだったのにいつからか人間関係や自分がどうやったらマシに生きられるかという曲になっていた。23歳ぐらいの時からだと思う。
つまり社会に出て3年の間に僕は自分の存在価値を見失ってしまったのだ。だけどどんな歌はそんな歌で好きになってくれる人がいた。それだけが心の支えだったから無我夢中で音楽をやった。路上ライブ、ライブハウス、とにかく歌って会場をいっぱいにしたかった。
1発でかいイベントを頑張れてその時は最高に満たされた。そしてまたうまくいかない日々に戻りギャップでさらに落ちる。みたいなことを繰り返していくうちにどんどん自信は無くなっていった。
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いつしか僕はチャレンジする勇気を失っていた。それどころか友達に話しかけるのにもビクビクするようになっていた。自己肯定力が崩壊していた。
それからは何をするにも自分を奮い立たせることが必要になった。一瞬の怖がりを超えさえすれば進んでいけることに気づいてから「強がれ弱虫」をかかげて歌っている。
そして手をあげなきゃ何も始まらないと分かった今、挑戦をたくさんしようと思った。しかし実際に人を前にすると成功率は25%ぐらいだ。ところがネットなら80%ぐらいで手をあげられる。こんな風になってしまった僕でも思い切って「はい!」ということができる。
インターネットができてくれて本当によかった。ネットがなかったら僕は何も言えないやつのままだったと思う。そこでで頑張ったことが生身の僕にも影響して5%ぐらいだったものが25%ぐらいになったのだ。
媒体、コミュニティー、ジャンル、自分が手をあげやすい場所はきっとあるはずだ。そこで頑張ればいい。無理しなきゃいけないとこで頑張らなくてすむようにそんな場所をさがすのだ。
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