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2023年2月広島旅行記
もう半年以上も前のことになりますが、今年2月、文学フリマ広島5への出店を口実として、広島・宮島を旅行しました。これはその旅行記になります。
2023年2月広島旅行記2022年12月、本業に忙殺されながら、2023年1月開催の文学フリマ京都の新刊が無事入稿出来たら、その新刊を持って2月の広島にも出てみよう、旅費は高くつくけれど、思い切って休暇と観光を兼ねて…と朦朧としながら夢見るように申し込んだ文
【旅の記憶】ウィーン・プラハ6日間⑧(5日目・最終日)
プラハの締めくくりはムハ・ミュージアム。ミュシャをきちんと観る初めての機会がここになったことは、特別な経験になったのかもしれなかった。美術館にしては自然光が気持ちよく採り入れられた白い施設。わたしは絵は描けないけれど、ミュシャがモティーフにするものはわたしも好むものが多く、その創造性には強く惹きつけられる。特に連作ものの前からはなかなか離れられなかったことを覚えている。アール・ヌーヴォーの配色と線
もっとみる【旅の記憶】ウィーン・プラハ6日間⑦(4日目後編)
昼過ぎのカレル橋は人通りが増えていて、絵やアクセサリーを売っている小さな出店でにぎわっていた。マリオネットのパフォーマンスのおじさんもいて、それらを名前も知らぬ30人の聖人の石像が見守っていた。
そのまま旧市街広場へ歩き、庁舎の天文時計を眺める。大きく、美しく、神秘的だった。煩悩を表すという男の持っている楽器がマンドリンのようでうれしくなるが、他に死や虚栄、欲を表す人形を配置するとはなんと意味深
【旅の記憶】ウィーン・プラハ6日間⑥(4日目前編)
朝からプラハ城へ出発。ブルダバ川を渡ると小高くなっていて、城門までたどりつくと街が一望できた。曇り空の下のオレンジ色の屋根。
すこし雪がちらついている。聖ヴィート大聖堂に圧倒され、厳格な衛兵を物珍しく眺めながら、まずは錬金術師が住んでいたといわれる黄金小路へ。カラフルで小さなおうちの中に当時の暮らしを再現したり、土産物屋になっていたりして楽しい一画。
フランツ・カフカの仕事場も見物した。カフカ
【旅の記憶】ウィーン・プラハ6日間⑤(3日目後編)
じつは、当時の旅行記はマイドリング駅で東洋人のおばさんに笑いかけられたところで終わっている。卒業を控えなにかと忙しくしたり、人生最後の春休みは引っ越しをしたり社会人になることを憂いて過ごしているうちに、この旅のことを振り返らなくなってしまったのだった。もったいないことをしたと思う。
そして9年の歳月ののち、当時のチケットやガイドブックをひっくり返しながらここに続きを書こうと試みる。
マイドリング
【旅の記憶】ウィーン・プラハ6日間④(3日目前編)
やけに早い時間に目覚ましが鳴った――と思ったらなんと内定先から電話がかかってきていた。着信音と目覚ましを同じにしている理由は、電話だと思えば焦って目覚めやすいからだったが、ここでは裏目に出た。目覚ましだと思って切ってしまっていたのを、目覚めてからの着信履歴で気づいた。なんてことだ。夜中の3時にかけてくるなんて。旅行に出ることは伝えていたのに、時差を考えてくれたっていいじゃないか?かけなおすとべら
もっとみる【旅の記憶】ウィーン・プラハ6日間③(2日目)
朝食はありふれたビュッフェ式で、典型的なコンチネンタルだった。幾種類かずつ存在するパンとチーズとハムを食べるとおなかがいっぱいになる。
ところで我々の目下の心配事は、今日の予定のシェーンブルン宮殿よりも週末に控えたプラハのための換金だった。土日は銀行が使えないと思ってよい。我々は京都銀行の本店で250EUR分のトラベラーズ・チェックを買い、関空で2万円分のEURを買っていた(紙幣のみの扱いのた
【旅の記憶】ウィーン・プラハ6日間②(1日目)
何が怖いって、寝坊→遅刻が一番怖い。そういうわけで恐怖に震えながら徹夜し、日中に乾ききらなかった洗濯物をせっせと乾かしてパッキングした。真新しいキャリー・ケース。運ぶのは楽そうだがたぶんお土産が入らない。相棒のキャリー・ケースが大きいと聞いていたので入れてもらうことにする。
パックに残っていた最後の玉子をオムレツにし、明け方5時に家を出る。地下鉄の始発で京都駅へ、八条口からバスで関空へ。相棒の
【旅の記憶】ウィーン・プラハ6日間①(201X.2.15:出立前)
大学の卒業旅行のお話です。
去年のトルコ行きもばたばたしていた。部活の合宿数日後に出国したのだ。
今回は春休みだし、卒論も諮問も終えて余裕があるだろうかと思ったら見当違いだった。
出発二日前の日付が変わる前に課題レポートをようやく終え、ダウンジャケットを買ったのが三日前ならトラベラーズチェックを買ったのも二日前。内定先の研修が三日前にあるというのも最初から不吉だった、そういえば。
今は