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楽天三木監督の改革成果を見る

皆さんこんばんは、ごしまです。

ようやくプロ野球シーズンが始まりましたね!!!
この月曜日に野球がなくてムズムズする感じも戻ってきました…!

試合の方はというと、三木新監督率いる楽天イーグルスは9試合を消化し、6勝3敗貯金2で2位と好スタートを切りました

もちろん成績が良いことも喜ばしいことですが、単純にプロ野球を観ることができることに喜びを感じますね。

さて本日は三木新監督の戦いぶりを打撃成績や投球成績ではなく、楽天イーグルスの長年の課題であった走塁や守備、ケースバッティングにオフの間にがっつり注力しそれがどのような変化をもたらしたのか、シーズンの序盤も序盤ですが検証していきたいと思います。



1. 楽天の昨年までの野球レベルを確認


昨シーズン終了後、平石監督が退任し三木監督が新たに就任しました。
石井GMが楽天の課題の1つに走塁を挙げており、アカウントを作りたての頃に「楽天の走塁について」と題したnoteを投稿いたしました。

記事の内容を要約すると、(時間があれば読んでみてください)

・石井GM「バントやサインプレー、走塁が長年の課題、意識改革が必要」「補強以前に組織としての1点を取る野球を学ぶ必要がある」→三木監督登用
・昨年の盗塁数はリーグ最小タイの48、成功率はぶっちぎり最下位の55.8%
・走塁指標(BsR)で3年連続ほぼ12球団ワースト
・BsRを構成する盗塁(wSB),盗塁以外の走塁(UBR)のどちらを取っても12球団ワーストレベル
・個人別に見ると脚を使える選手は茂木、辰己、オコエの3選手くらい

字面だけでも気分が悪くなるようなまとめですが、これほど拙い走塁しかできていない集団で、毎年走塁だけで多くの得点を損失していましたのが分かりますね。
三木監督が1軍監督に抜擢されたのもここが一因だったということですね。
一応参考までにnoteに掲載した走塁評価(BsR)の年次推移を再掲載しておきます。

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ひどい…


2. 課題解決に向けたオフの動向

このような体質を改善すべく、三木監督は秋季キャンプから徹底的に走塁や守備、ケースバッティングについて事細かな指導をしてきました。

記事中では

「自分は足が速くないから(走塁は)いいや、では余計に遠ざかってしまう。走塁はスピードと別。走力ではないから。意識と意欲がまずありき。選手が前向きに行けるような話ができれば」と意図を説明。

と走塁への意識を語っており、全体メニュー後に特守や特代ならぬ『特走』をするほど徹底的にやってきました。
走塁の良くない選手でパッと思い浮かぶのが銀次ですが、この銀次選手の走塁も(個人的なバイアスはあるかもしれませんが)良くなってるような気がしていますし、そう感じる楽天ファンも多いのではないかと思います。


3-1. 開幕9試合での走塁評価

では実際にこの効果が表れているのか検証してみたいと思います。

まずは分かりやすい盗塁から昨年と見比べてみたいと思います。

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現在、11企画9盗塁81.8%で12球団2位の盗塁数と高い盗塁成功率を保っています
昨年48盗塁はリーグワースト、盗塁成功率が55.8%とプロとしてよくこんな数字を叩き出せたなと言いたくなるほど酷い数字でしたが、今季は今のところ盗塁の失敗の損失を、成功の益が上回っています。
盗塁失敗の2つはいずれもエンドラン失敗(走者:銀次、浅村)であり、実質的には盗塁は全て成功しています。
このエンドラン失敗に関しては走者や投手、打者の力量を鑑みて私個人としてはかなり疑問だったんですが、

シーズン序盤は相手への意識付け的な要素もあるようでした。
ここまで10回ほどエンドラン/ランエンドヒットを実行しており、足を絡ませた作戦をしてくるのが三木采配の特徴の1つですね。


さて、次に1試合あたりの盗塁企画数の変化を昨年と比べてみました。

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盗塁企画数は、昨年1試合あたり0.60だったのに対し、今季は1.22と倍増していることが分かります。
盗塁を増やしつつ、質も高められている最高の状態と言えます。
今のところは、ですが。
これが今後どうなっていくか注目したいですね。

走塁革命の象徴とも言えるのが、6/25日ハム戦で見せた一三塁からのダブルスティールかもしれませんね

一塁ランナーが脚のある茂木で一三塁という盗塁が当然警戒される中、三塁ランナーが銀次選手ということもありこちらには全く意識を向けていませんでしたが、このような走塁を開幕から成功させることできたことは三木監督の言うところの「何かやるかも」という警戒感を他球団に植え付けることができたのではないでしょうか。

3-2. 開幕9試合での走塁評価②

次に盗塁以外の走塁に焦点を当てたいと思います。
因みにですが、昨年2019年の開幕より走塁評価(UBR)の算出対象が下記のように変更となりました。

2019年シーズンを前に、UBR算出における対象の追加をおこなった。
【これまで】
・走者一塁からの単打
・走者二塁からの単打
・走者一塁からの二塁打
・走者三塁からの外野フライ
【2019年3月改定後】
・走者一塁からの単打
・走者二塁からの単打
・走者一塁からの二塁打
・走者三塁からの外野フライ
・走者一塁からの内野ゴロ
・走者二塁からの内野ゴロ
・走者三塁からの内野ゴロ
・走者一塁からの外野フライ
・走者二塁からの外野フライ

参考: 1.02 Essence of Baseball

要は内野ゴロの間に進塁を奪う走塁は得点価値があるので対象にするよ、というような改訂ですね。
走者一塁や二塁からの外野フライも対象になっており、確かにこの辺りはできるチームとできないチームで影響がありそうだな、という気がします。

今回は

・走者一塁からの単打(一三塁を作れるか)
・内野ゴロによる進塁(進塁打にできるか)

を中心にみたいと思います。
母数がある程度あるので。

母数が少ない他のイベントは最後に少し紹介します。

①走者一塁からの単打(一三塁を作れるか)

まずは走者一塁から単打(内野安打を除く)を打った場合の走者状況別の発生数です。

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(※イベント数に偏りがありますが、例えばヤクルトはランナー一塁で14安打放ってますが、本塁打4本、内野安打4本で今回の対象は6本のみ)

楽天はランナー一塁から13本の単打を放ち、その内9回69%で一三塁の状況を作り出しています
ランナーの内訳としては、
2回
ブラッシュ、茂木、銀次
1回
鈴木、辰己、小深田
と特定の脚の速い選手だけで稼いだものではないことが分かります。
これは昨年まであまりなかった傾向かなと思います。
もちろんまだ9試合時点で偏りがあったことや、打球方向などに左右されている可能性は否定できませんが、楽天の走塁意識の変化を感じる1つの結果と言えるのではないでしょうか。


②内野ゴロによる進塁(進塁打にできるか)

次にランナー1塁、2塁、3塁の3つのシチュエーションでそれぞれ内野ゴロを打った際に、進塁打にできたかどうかをまとめました。
※内野安打は除く

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楽天、堂々の最下位…!笑
個別での集計は掲載しませんが、楽天はランナー一塁からの内野ゴロ10のうち7つが併殺、進塁打率0%となっており、まともに進塁させられていないことが要因ですね。
まあ不運な当たりの併殺もいくつかあったので、、、さすがに昨年の併殺王球団だけあってここはまだまだ改善の余地ありですね。
プレシーズンは割とできていたんですけどね…
もう少し母数が集まったら検証してみたいと思います。

③その他

・走者二塁からの単打(ホームに生還できるか)
母数もまだ少ないので参考程度ですが

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これは今後見ていきたいですよね生還率。
今のところ日本ハムさんがきっちり単打でランナーが生還して得点できていますね。

あとは珍しいプレーとしては、12球団唯一、ランナー一塁からの外野フライで進塁を獲得しています(ランナー辰己)。

今のところチームの走塁指標もプラスを維持しており、併殺が多いといえど若干得点増に貢献しているようです。
まだまだ試合数が少ないので参考値ではありますが、これまで毎年大きなマイナスを作っていたことを考えると、±0でも楽天的には成果として表れてはいますので、継続しこれが当たり前だという状態を作り上げて頂きたい。


4. その他のケースバッティング

①犠牲フライの大幅増加

三木監督はオフシーズンにケースバッティングにかなり力を入れており、走塁技術と合わせて先程の進塁打など意識的にランナーを進めることを目標の1つとしていたが、犠飛による得点が大幅に増えたのも三木野球の影響ではないだろうか。

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これは走者が三塁にいる状況(三塁、一三塁、二三塁、満塁)での外野フライのイベント数と犠飛により得点した割合だが、9試合を消化しすでに6犠飛と、2番目に多い得点を挙げているソフトバンク西武の倍の犠飛による得点を挙げている。
犠飛数はあまりピンとかないかもしれないですが、例年各チームの年間の犠飛数が約30前後だと言うことを、この120試合換算で年間80犠飛ペースで犠牲フライによる得点を挙げていることがいかに多いか分かっていただけると思う。
これが三木監督が徹底的に叩き込んだケースバッティングの成果である(と思うことにする)。


②バントの使いどころ

ここまでロッテ、オリックスと並びリーグ最多の7犠打を挙げている三木楽天だが、最近ではバントの得点貢献への低さからもアレルギー的に拒否反応を示す方も少なくないように思う。

所謂小技であり最近では得点に寄与する効果は小さいと言われているバントであるが、三木監督はここにも意味のあるバントを駆使して得点を積み重ねていくことを優先しているように私個人としては感じている。

7犠打、2つのセーフティ内野安打を含めると9回のバントを成功させているが、状況別で見ると、同点時:3回、リード時:6回と決してビハインドでせこせこ点差を縮めるていくようなのことはせず、基本的には下位打線で追加点をもぎ取り引き離すという、実にいやらしいタイミングでのバント作戦が多く、ツイートでもたびたび言っていますが、私個人としてはかなりこのタイミングを評価したいと思っています。
事実この9回(同一回があるので実質的には8回の機会)のうち5回は得点に結びついており、意味なくアウトを献上し塁を進めて満足するようなバントでは決してないと考えます。
基本的には太田辰己の89番、中軸の前の鈴木大地がバントをしているが、特に辰己はランナー二塁から警戒されている中ですらセーフティバントを決めており、今後もこのパターンは相手を苦しめるに違いないと確信しています。

③代走を駆使した機動力野球

最後になりますが、三木監督は代走を好んで使っていますね。

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ここまで9試合で16度の代走起用をしています。
1試合に2人くらいは代走使ってるんですね。
昨年ファームで三木さんに鍛えられた山崎小郷、そして2019ドラ1の小深田の3選手が5回ずつ代走起用されています。
3選手とも控えという立場ながら走塁以外にも光るところを持っていますし、今後三木野球を展開していく中で重要度は増してくるのかな〜思います。


まとめ

さて開幕して9試合というかなり限られた中での検証ということで偏りもあれば、私個人の願望に基づいたバイアスがかかりすぎたデータもあったかと思いますが簡単にまとめると

・走塁やケースバッティング、守備などにオフから力を入れてきた
・少しずつ走塁改善の兆しが見えており、特にランナー一塁から一三塁の状況を効果的に作り出すことに成功している
・相変わらず併殺による機会損失が大きいので、改善が急務
・進塁打に加え、犠飛やバントなど効果的に使い、得点の選択肢を増やすことに成功しつつある

就任から一貫してやりたいことが明確に伝わってくる三木監督の野球に私個人としてはかなり期待しております。
補強や打線の派手さに目を奪われガチですが、長年のウィークポイントを着実に潰しながら得点能力を高めつつある新生楽天イーグルスに今後も期待したいと思います。

来週からは史上初の1カード6連勝を決めた首位ロッテとの対決ですが、良い戦いを期待しております。


それでは見ていただきありがとうございました。
ご意見ご感想などお待ちしております!!!




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