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”北海道の地酒”を目指すブランドへの想い。

北海道の未来性へフォーカス!?

新しい歴史や文化が生まれる地域としての魅力

北海道は特殊な地域だと思う。日本酒の歴史の中では蔵ができてから浅く、古くても150年程度です。さらに、東京から大阪まですっぽりと入るほどの広大な土地に酒蔵が16蔵しかありません。その歴史は開拓後から始まり、農作物がほとんど育たない極寒の大地、稲も育たないような土地で行われた酒造りからでした。

そんな北海道がこれから大きく変わるかもしれないという話。そしてその可能性やポテンシャルを信じ、北海道の地酒を目指すブランドが『五色彩雲(ごしきのくも)』なのです。・・・そんなお話。

北海道の米は不味い「やっかいどう米」

かつて昭和の時代には「まずいお米の産地」と言われ続けていた北海道。あまりにも北海道産のお米が美味しくないことから「やっかいどう米」とまで呼ばれていました。もともと日本人が大好きで、長きにわたり「美味しいお米」の代名詞であり続けたコシヒカリが、冷涼な気候のため栽培できないこともその一つの要因なのかもしれません。しかし近年、農家さんたちの努力や品種改良により北海道は米どころとなりつつあります。

むしろ現在は北海道米の地位がぐんぐん上昇しています。すでにコメの収穫量(主食用)では日本一。最近は「おいしさ」でも他の「ブランド米」に負けていません。「ゆめぴりか」や「ななつぼし」といった北海道産のブランド米が「新潟産コシヒカリ」の地位をも脅かす存在になりつつあります。

そんな北海道米が「美味しい」に大きく変わったのはここ10年ほどではないでしょうか?コメの品質が上がれば、その米を原料として作られる日本酒の品質ももちろん上がります。だから北海道産のお酒もおいしくなりました!ということを言いたいのではなく、ここではこの10年で北海道が変化しているということの一部であり、お米に限ったことではありません。

蒸米を上げる様子

私たちがお酒を造る釧路地域でも、平成29年2月より釧路の気候と地域の資源を活かし、植物工場で生産されたパプリカの出荷が始まりました。それまでは韓国産しかなかったパプリカは彩に使われる食材で積極的に食べるものではありませんでした。しかし、甘く肉厚で鮮度の高いものが地元で生産されることで食卓にもよく上がり、食されるようになったのです。

その他の変化

活火山の地熱を利用したマンゴーの生産や、酪農王国北海道ならではの6次産業としてチーズの生産も盛んです。大手乳業者を除くチーズ工房等も年々増加し、現在では300以上の工房等が存在し、国産ナチュラルチーズは国際コンテストでも高い評価を得るようになっています。このうち北海道には約半数が存在。このことからも生乳を生み出すだけではなく加工技術も向上し新たな文化として根付いているといえます。

水産資源の変化と向き合う

農作物や酪農だけではありません。北海道の海の幸にも変化が出ています。20年ほど前まで豊漁だったサンマやイカなどの漁獲量が減少する中、鰤やマグロといった今までは暖かい地域で揚げられていた魚類が水揚げされるようになり、新たな価値としてブランド化に挑戦するなど官民協力し、新しい水産資源の活用する動きがみられます。

国土交通省では令和5年に北海道マリンビジョンを新たに策定。その中にも北海道の水産業はわが国最大の水産業供給基地と位置付け成長産業化を目指すとしています。

(筆者の家の近くのスーパーでも地元でとれたマグロや鰤、カワハギなどの今まで並ばなかった魚類が販売されるようになりました。全て北海道の沖合で獲れたものです。)

未来の北海道

このように北海道の持つポテンシャルは、今までの海産物や酪農王国のイメージにとどまらず、新たな食文化を育み発信する日本の食料供給基地へと変化し、そこから派生する加工品など、幅広い産業へとシフトしていく未来を私たちは想像しています。これら多くの新たな食の進展があるのも北海道の魅力であり、ここから新しい食文化が派生する可能性を秘めている地域ともいえます。

私たちの造る五色彩雲は、この”変化していく北海道の食文化に相応しい地酒”を目指しているのです。


白麹を使った酸の高い Ashiri(アシリ)

五色彩雲の存在意義

五色彩雲には「100年先を想う地酒。」というのがキャッチコピー内に入っています。”100年先まで残る地酒を!”という単純な想いでつけているものではなく、100年先に五色彩雲が”北海道の地酒”となるためにすべきことを今後考えながら進むという意思を示しています。

では北海道の地酒とは何なのか?

単に100年後に残っている銘柄ではなく、次の時代を築くために北海道内の地域や特産品と共に進化し、食文化の一翼を担う存在です。地域や特産品との連携を通じて、北海道の豊かな自然と風土を表現するなど、食文化のレベルを高めることを目指し、以下のような方法で貢献していきたいと考えています。

  1. 地域資源の活用

    • 北海道の自然環境や風土に根ざした地域特産品を使用し、五色彩雲の酒造りに取り入れます。例えば、北海道産の米や水などを用いて、独自の味わいを生み出します。現在は北海道では不可能と言われていた北海道産の山田錦を使用したMashuを商品化。

  2. 地域コラボレーション

    • 地元農家や漁師、食品メーカーなどと連携し、地域の生産者と共に新しい酒や食品を開発します。

    • 五色彩雲の酒蔵を地域の観光スポットとして位置付け、地域振興に貢献します。

  3. 食文化の発信と普及

    • SNSやブログ、地域のメディアなどを活用して、北海道の酒文化や食文化を広める情報発信を行います。

  4. 次世代への継承と教育

    • 地元の若手酒造りを育成する場を設け、次世代の造り手を育成します。

具体的な例としては

  • 現在品種改良が進められている新たな北海道産のお米を使用し、北海道の自然環境や風土に根ざした独自の味わいの追及。

  • 北海道のチーズとのペアリングを意識したPRや、

  • 温暖化の影響で変化した海産物とのペアリングを意識した商品開発を行い、新たな食文化に寄り添う。(白糠産ブランド鰤とのコラボ等)

様々な可能性があるのが北海道にはあると考えていますし、これらを五色彩雲の強みとして構築すべく動き始めています。

仕込みシーズン。朝焼けにやける蔵

つくっている人(製造部長)の一言

「北海道の酒」と言っても通じない時代が長く続いてます。きっとこれからはそうではなくなる。そういう願いも込めてブランド化しました。ずっと劣等感のようなものをもっていた北海道のお酒。もっと胸張ってもいいでしょ!って思ったんです。
有名な雑誌や日本酒の専門誌も最北は「東北」まで。まるで差別を受けているかのよう。そいった現状を打破する。今まで弱みと言われてきた部分の全てを強みとして、私たちは北海道の地酒で戦います。


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