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【note】偏差値の生みの親。教育評価の歴史と意味を知ろう

 教育評価には、さまざまな方法や指標がありますが、その中でも最も有名なものが「偏差値」です。

 偏差値とは、正規分布に従うと仮定したときに、平均からの偏差を標準偏差で割って10倍した値で、学力の相対的な水準を表す指標です。

 偏差値は、日本の教育評価の分野では、桑田氏が戦後に考案したもので、当時はまだ一般的ではありませんでした。
 桑田氏は、自分の担当する生徒の志望校判定に疑問を持ち、受験生の学力分布を分析することで、より客観的で科学的な進学指導を行おうと考えたのです。
 その過程で、偏差値の概念を導入し、受験の物理学という理論を構築しました。これは、教育評価の分野における画期的な業績として評価されています。

Q: 偏差値を生み出す直接的なきっかけは何でしたか?

A: 東京都の教員になって2年目、『志望校判定会議』が開かれた時のことです。進学を志望する生徒一人一人 の校内テストの成績と志望校を成績順に印刷した一覧表を前にして、進学係の先生が「この生徒はまずは問題 ないでしょう」「この生徒は1ランク下の学校に変更するよう指導すべきでしょう」と、判定結果を順次発表し ていくのです。ところが私が受け持つ生徒が、一番違いで志望校変更の宣告を受けてしまったのです。生徒に 「君の力なら大丈夫! 心配せずに頑張れ!」と励ましたばかりでした。それを今さら「1 点足りないから1ラ ンク下げなさい」とは言えません。頭の中が真っ白になってしまった私は、夢中で「どうして?論理的な説明 をお願いします!」と、執拗に迫りました。しかし、進学係の先生から「判定は、前年度までの合格状況と私 たちの勘を総合した結果だとしか、説明できない。この判定が不服だとする根拠を桑田先生こそ、『論理的』に 説明して頂きたい」と逆襲されてしまいました。このことがきっかけとなり「これでよいのか、お前も教え子 たちも!」と自問に苛まれた末、進学指導の科学(後の偏差値)への挑戦を決意しました。
それから3年、暗中模索の中、試行を繰り返した末に偏差値誕生に繋がる「ケトレーの法則」に出会ったの です。つまり、『入学試験における受験生の学力分布は、正規分布であるとみなすことができる』と仮定し、高 校ごとの入試実態の解析を進めて行けば、道が開けるに違いないという考えに至ったのです。というのも、そ の生徒は志望通りの学校を受験し、不合格になってしまったのです。その時の、生徒に対する贖罪の思いと、 教師としての自分の不甲斐無さが、この偏差値を生むきっかけになり原動力になったとも言えます。


偏差値の計算方法

 では、具体的に偏差値はどのように計算されるのでしょうか。

 まず、テストの得点を集めて、その平均と標準偏差を求めます。
 平均とは、全ての得点の合計を得点の数で割った値で、中央の水準を表します。
標準偏差とは、各得点が平均からどれだけ離れているかの平均的な大きさで、ばらつきの度合いを表します。
 次に、各得点から平均を引いて、標準偏差で割ります。これで、平均を0としたときの偏差の単位が統一されます。
 最後に、この値に10をかけて、50を足します。これで、平均が50で標準偏差が10になるように調整されます。

 このように、偏差値は、テストの得点を平均と標準偏差に基づいて変換した値です。
 偏差値が高いほど、平均よりも高い得点を取っていることを意味します。
 偏差値が低いほど、平均よりも低い得点を取っていることを意味します。

偏差値の利用例

 偏差値は、学力の相対的な水準を表す指標として、様々な場面で利用されています。

 例えば、以下のような場面が挙げられます。

進学指導
- 偏差値を使って、生徒の学力や志望校のレベルを判断し、適切な指導を行うことができます。
- 偏差値を使って、生徒の学力の伸びや弱点を把握し、効果的な学習方法を提案することができます。
- 偏差値を使って、生徒の学力や志望校のレベルに応じた模擬試験や問題集を選ぶことができます。

入試分析
- 偏差値を使って、受験生の学力分布や合格ラインを分析し、入試の難易度や傾向を把握することができます。
- 偏差値を使って、受験校の選択や志望順位の決定に役立てることができます。
- 偏差値を使って、入試の出題範囲や問題の特徴を分析し、対策を立てることができます。

学校評価
- 偏差値を使って、学校の教育水準や進学実績を評価し、学校のランキングや評判を作ることができます。
- 偏差値を使って、学校の教育方針やカリキュラムを分析し、改善のための提言を行うことができます。
- 偏差値を使って、学校の教育環境や教員の質を評価し、教育の質保証や人材育成に活用することができます。

偏差値の問題点

 偏差値は、学力の相対的な水準を表す指標として、多くの場面で利用されていますが、それだけに、偏差値にはいくつかの問題点もあります。

 例えば、以下のような問題点が挙げられます。

偏差値の信頼性
- 偏差値は、正規分布に従うと仮定したときに、平均からの偏差を標準偏差で割って10倍した値ですが、この仮定が必ずしも正しいとは限りません。
- テストの得点が正規分布に従わない場合や、平均や標準偏差が正確に求められない場合、偏差値は誤差を含む可能性があります。
- また、偏差値は、テストの難易度や出題範囲、受験者の数やレベルによって変動するため、同じ偏差値でも、異なるテストや受験者の間で比較することはできません。

偏差値の影響力
- 偏差値は、学力の相対的な水準を表す指標として、多くの場面で利用されていますが、それだけに、偏差値に過度に依存することは危険です。
- 偏差値は、学力の一面を表すものであり、学力の全てを表すものではありません。偏差値だけで、学力や進路を判断することは、不十分で不公平です。
- また、偏差値は、学力の水準を表すものであり、学力の向上を表すものではありません。偏差値に囚われて、学力の伸びや学習の楽しさを見失うことは、教育の本質に反します。

偏差値の影響
- 偏差値は、学力の相対的な水準を表す指標として、多くの場面で利用されていますが、それだけに、偏差値には様々な影響もあります。
- 偏差値は、学力の水準に応じて、自己評価や自尊感情、学習動機や目標設定などに影響を与えることがあります。偏差値が高いと自信や達成感を持ち、偏差値が低いと不安や挫折感を持つことがあります。
- 偏差値は、学力の水準に応じて、教師や親、友人などからの評価や期待、扱いなどに影響を与えることがあります。偏差値が高いと賞賛や支援を受け、偏差値が低いと無視や軽視を受けることがあります。
- 偏差値は、学力の水準に応じて、進路や就職、社会的地位などに影響を与えることがあります。偏差値が高いと有利な選択肢やチャンスを得やすく、偏差値が低いと不利な選択肢やチャンスを失いやすいことがあります。


 偏差値は、学力の相対的な水準を表す指標として、教育評価の分野で広く利用されています。
しかし、偏差値は、学力の一面を表すものであり、学力の全てを表すものではありません。

 偏差値は、テストの難易度や出題範囲、受験者の数やレベルによって変動するものであり、同じ偏差値でも比較することはできません。

  • 偏差値に囚われず、自分の学力や学習に目を向けましょう。

  • 偏差値に依存せず、自分の進路や夢に向かって進みましょう。

  • 偏差値に惑わされず、自分の価値や可能性を信じましょう。

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