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【episode1:死んだときの後悔(1)】劇場エンターテイメントものがたり 人生を「最高」に変える「リトル・エンマ」降臨

火の玉
「やいやい、そこの君、よくぞ来てくれた、おいらがわかりやすく物語を話してやるから、そこに座って聞いてくれ。上空の雲を突き抜けたずーっと、ずーっとそのまた先、舞台は天国行きと地獄行きをわける、エンマ大王の間」
「エンマ大王は、迫力、判断力に優れたカリスマジャッジーだ。だが、そろそろ引退の年齢になってきた、そこで跡継ぎとなるのが息子のコエンマよ。跡継ぎってもんは迫力、判断力、特に重要なのがカリスマ性なんだが、困ったことにコエンマは、根暗、貧相、体力なしときたもんだから、さてさてどうしたもんかね。エンマ大王の頭の中は跡継ぎの悩みで一杯だ」

「さあさあはじまるはじまる~、根暗のコエンマと年老いた人間が夢をかなえる、奇想天外なものがたり〜」

エンマ大王の目の前は人間で大変な行列になっていた。
「ふぅ、多くの人間は未練を残したままやってくる、行き先を決めようにもその手前、長々と話を聴くだけで一苦労じゃ」

その行列のかたわらに、おひとよしのコエンマ。
一人ひとり無念が晴れるまで、話をきいてまわる。きづけば何百・何千年と連日連夜続いたもんだから、顔は青白く、目の下にはクマ、みるからに不健康。
何億もの人の生き様を聴いてきたコエンマ、その知識ではもはや右に出る者はこの世にもあの世にもいない、人間の生き方、死に方、すべて知っているのだ。

そんなことを知ってか知らずかエンマ大王の思いつき
「そうじゃコエンマよ、わしの跡目となるために人間界へゆけ。人間には夢がある、夢は品性、強さの源になるときく。人間の夢をかなえてくるんじゃ、きっとその頃にはわしのようにたくましく、迫力もそなえておろうぞ」

「人間界ですか、夢?そんないいものなんでしょうか、人間たちをみていてもそう思えませんが、、」
「まあよいから行ってこい、おい門番、ユニコーンを連れてこい」

コエンマは跡目となるため品性と強さを求め人間界へ降りた。
「さてと、人間界に降りては見ましたが、だれが私なんかと話をさせてくれるんでしょうか、、とほほ」
「条件は夢を諦めた人間の、夢をかなえるでしたねえ、たしか」

そして途方にくれながら、スタスタと歩きはじめた。

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