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60年代末青春グラフィティ ひかりみちるしじま

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闘争と青春の記憶(エッセイ)
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#闘争と青春

ひかりみちるしじま(4)

ひかりみちるしじま(4)

 1月19日の夜遅く、福岡の警察署から釈放されたのは私ともう一人の二人だけだった。同じ時に逮捕されたのは三人だったが、一人は起訴されてさらに勾留が続いた。(起訴されたが、のちに警察の過剰警備があったとされ無罪になった。)
 手錠を外してくれた警察官が「もうデモは終わったから、君らも早く帰りなさい」と言ったが、とりあえず拠点の九州大学の寮に行ってみた。すると、警察官の言ったことが真っ赤な嘘であること

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ひかりみちるしじま(5)

ひかりみちるしじま(5)

 1968年は世界中で、新しい学生運動が燃えあがった。それまで政治には興味のなかった人たちも参加したくなるような運動が、アメリカや西ヨーロッパの国々にも、ソビエト連邦(今のロシアを含め中央アジアから東ヨーロッパに広大な領土を持っていた社会主義国)に影響を受けて社会主義を選んだ東ヨーロッパの国々にも、広がった。学生たちは自分たちの国の仕組みやあり方を激しく批判した。

 アメリカではベトナム反戦運動

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ひかりみちるしじま(6)

ひかりみちるしじま(6)

 1968年の3月から4月にかけて何度か「王子野戦病院闘争」にも参加した。東京の住宅街である王子に地元住民の反対の声を無視して、米軍は、ベトナム戦争で負傷したアメリカ兵を治療するための野戦病院を開いた。その撤去に向けて、3月、4月と激しいデモが行われ、私も参加した。「三里塚闘争」とセットで、千葉県の農村地帯と、東京都の市街地を行ったり来たり、荒れるデモを連戦した記憶がある。
 王子でも、佐世保と同

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