道成寺の清姫は水の女神か巫女か
「道成寺の鐘」の伝説で有名な清姫は、道成寺よりずっと山奥の、中辺路の真砂(まなご)という集落の出身という伝説がある。
ここには清姫の墓や、生誕地と伝えられる屋敷跡、菩提寺などが建っている。
地元の伝承の驚嘆すべき点は、まず、清姫が物部の末裔であること。
次に、物部とあやかし(白蛇)とのハーフであるという点である。
髪が非常に長いという点も面白い。これはシャーマン、巫女の象徴である。
真砂集落の話は、以前道成寺に参拝した際に、ちらりと知って、仏教説話的な形が整えられる前には、もっとスピリット(自然の精霊)的なものであろうと思っていた。
現地を訪れ、それを確信した。清姫は、元は当地の水の女神、あるいは水神に仕えるシャーマンであったものが、零落したものに違いない。物部というのも、自然との交感を生業とした原初的な神道を奉じた人々の末裔という点で、シャーマン的な要素をさらに強調させている。
蛇が水神の象徴とするのは、日本のみならず、世界中で見られることである。
清姫は水の女神、または巫女であった。そう思うことでこそ、真に清姫が「成仏」するのではなかろうか。
ただ、道成寺の伝説には「火」も絡んでいる。これは護摩のような、火を使う儀式が行われていたことを、伝えるものであろうか。清姫は、水と火の女神、あるいは巫女であったのか。
サポート頂けると、全市町村踏破の旅行資金になります!また、旅先のどこかの神社で、サポート頂いた方に幸多からんことをお祈り致します!