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#ようこそ個人事業主様!だれも教えてくれなかった個人事業主がうまくいく33の鉄板メソッド(1,444円)

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■■ 現役の個人事業主による鉄板メソッド

■ 個人事業主化したら社員ではない?

 2020年11月現在、新型コロナウイルスの感染は、第3波を迎えようとしている。11月14日には、全国の新規感染者数が3日連続で過去最多を更新した。

 コロナ禍によって、多くの企業がダメージを受けている。そんな中、企業は社員を個人事業主化するという策を打ち始めた。業務請負契約を結び、自社の仕事をさせるということである。

参考:電通、社員230人を個人事業主に 新規事業創出ねらう: 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO66103760R11C20A1916M00

参考:タニタ社長「社員の個人事業主化が本当の働き方改革だ」:日経ビジネス電子版
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00005/071800034/

 これは、ANA や JAL による社員の出向とはわけが違う。航空は、なんとしてもその業界を維持しなくてはならない。需要が戻れば社に戻すために、社員を出向させているのだ。

 出向社員は社員だが、個人事業主化した社員は、もはや社員ではない。社員の個人事業主化は、ていの良いリストラである。

■ 給与が外注費に代わる

 社員の個人事業主化は、以前から予想していた。なぜなら、企業にとってメリットばかりだからだ。

 まず、残業規制などの労務規定から逃れられる。また、社会保険や福利厚生、源泉徴収にかかる費用もカットできる。

 何より大きいのは、給与が外注費に代わることだ。これにより、ランニングコストが削減しやすくなる。

 業績が悪化した企業は、外注を減らすのが一般的だ。内製化すれば外注費は減る。

 給与を減らすのは一大事だが、外注費を減らすのは簡単なのだ。個人事業主は「いつでも切れる」ということだ。

■ 人件費削減の新しい手法

 企業は「リストラ策ではない」と説明しているが、この報道はSNS で叩かれまくっていた。

 ていの良いリストラだ、こんなことがまかり通れば日本は終わりだ、というのが大半の意見だ。

 リストラは、Restructuring(再構築)の略である。本来の意味で言えば、確かにこれはリストラだ。

 人の使い方という点で、企業は再構築を図っているのだ。日本企業では、解雇がしづらい。社員の個人事業主化は、人件費削減の新しい手法である。

■ 社員の雇用は給与の3倍かかる

 一般的に、雇用には給与の3倍の費用がかかっている。

 採用から始まり、建物や車両、備品や什器、社会保険や福利厚生などは、すべて雇用を維持するための費用だ。

参考:給与の2〜3倍?雇用にかかるコストとは? | ビジネス部デザイン課
https://bizdez.vivivit.com/management/1761

 裏を返せば、社員を個人事業主化すると、費用が3分の1になるということである。

■ 雇用より会社の存続が優先された

 コロナ禍により、社員の個人事業主化は急速に広まると考える。それだけ事態は深刻なのだ。

 この流れは止められない。雇用は、会社の存続より優先度が低かったのだ。今後は、正社員の枠はどんどん減り、狭き門となるだろう。

 雇用には、メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の二つがある。

 メンバーシップ型とは、新卒一括採用で総合的なスキルを求める方式である。年功序列や終身雇用という、従来の日本企業の方式だ。

■ ジョブ型雇用のさらに先へ進んだ

 一方、ジョブ型とは仕事の範囲が明確で、専門性の高い採用方式である。

参考:ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型雇用との違いやメリット・デメリット | クリエイト転職
https://www.job-terminal.com/s/features/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%96%E5%9E%8B%E9%9B%87%E7%94%A8/

 コロナ禍の前から、メンバーシップ型のデメリットは叫ばれていた。年功序列や終身雇用という、従来のスタイルが変貌したからである。ジョブ型への移行が始まろうとしていたのだ。

 これが、コロナ禍で一気に加速した。

 ジョブ型雇用を通り越して、個人事業主化へと進んだのだ。社会変容のスピードがとてつもなく速いのが、コロナ禍の特徴である。

 社員の個人事業主化とは、ジョブ型雇用のさらに先にある「ジョブ型雇用のアウトソーシング」なのだ。

■ 個人事業主として稼ぐ時代が来る

 しかし、これは個人で稼ぐ力をつける、またとないチャンスだ。これからは、個人事業主として稼ぐ時代が必ず来る。

 ただし、個人事業主をゼロからスタートするのはとても大変だ。

 一般的に、自己都合で会社を辞めると、退職金は半額になる。

 また、個人事業主として開業しても、仕事は勝手にはやってこない。元の会社やプライベートでの伝手(つて)を頼って、仕事を探すことになる。実際、私がそうだった。

■ 会社の後ろ盾は大きなアドバンテージ

 個人事業主として開業するにあたり、会社の後ろ盾があるのは大きなアドバンテージだ。

 先の電通の報道からは、以下のことが読み取れる。

- 契約期間は10年。
- 早期退職が適用される。
- 固定報酬がある。
- インセンティブがある。

 早期退職の適用により、退職金では優遇措置があるだろう。少なくとも、自己都合による退職よりは条件が良いはずだ。

 契約期間10年とは、固定報酬の適用期間と類推する。

 個人事業主にとって、固定額の収入はありがたい。全く仕事が取れなくても収入があるというのは、安心感がある。

■ 会社を辞めるデメリットへの対抗策

 ただし、会社を辞めるデメリットは少なくない。

 例えば、賞与がなくなる。あてにしていない人は良いが、住宅ローンに賞与を組み込んでいる人は、対策が必要だ。

 給与のベースアップもない。詳細は不明だが、先の固定報酬が年々増えるとは記されていない。

 会社を辞めるデメリットには、対抗策がある。これは、改めて本文にまとめる。

■ こんなに恵まれた条件の独立はない

 個人事業主には、向き不向きがある。

 自分は仕事ができる、自分がいなければ仕事は回らないと思う人は、個人事業主に向いている。謙遜も遠慮もいらない。自信があるかどうかなのだ。

 これまで、業績が悪化した企業は早期退職を募り、リストラをするのが常だった。しかし、早期退職で集まるのは、決まって「できる社員」である。

 会社は、できる人から辞めていく。

 これは、会社にとって勿体ないことだった。社員の個人事業主化は、できる人を抱えながら事業が継続できる良策である。

 独立を考える社員にとっては、またとないチャンスだ。

・早期退職で潤沢な資金がある。
・固定報酬がある。
・開業してすぐに仕事がある。
・それも元の会社の慣れた仕事だ。

 独立を目指す人にとって、これだけ恵まれた条件は類を見ない。私のように、自己都合で退職して独立した者から見ると、まるで夢のようだ。

 脱サラし、少ない退職金で慣れないラーメン屋を始めることなど、愚の骨頂である。良い条件がひとつもないからだ。

■ ほおっておいても仕事をする人へ

 個人事業主には、不向きな人もいる。

 仕事ができると評判でも、自分でそう思えない人は、個人事業主には向かない。自分に自信がないと、個人事業主はできない。

 誰かがやってくれるだろう、というスタンスも個人事業主には向かない。これは、ほおっておいたら仕事をしない人のことだ。

 これまでは、会社という隠れ蓑によってなんとか生息できた。しかし、いよいよそれが通用しない時代が来たのだ。

 ほおっておいても仕事をする「できる人」への追い風が吹いている。

■ 個人で稼ぐ力をつけるのは今しかない

 企業は、社員を抱えること(雇用)を、あきらかな負担だと判断し始めた。

 社員として残るのは、多くの外注先(個人事業主)をとりまとめ、プロジェクトを進行し、採算管理ができる人である。

 これは、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーと呼ばれる人たちだ。少数精鋭、かつ特殊で高度な能力が必要になる。

 平々凡々とした社員は、もう要らない。定年まで会社にしがみつくことも、早晩できなくなるだろう。

 社員は、特殊技能で狭き門になる。その枠自体が減るということだ。生き残るには、ガチの実力主義による熾烈な戦いが待っている。

 それならば、好条件のうちに外海へ飛び出し、個人で稼ぐ力をつけたほうがよい。

 数ヶ月では無理だが、数年あれば実力はつく。荒波でも、自力で泳げるようになるのだ。

■ 個人事業主はとにかく自由で楽しい

 会社人間だった私は、個人事業主になって生き返った。この10年で、失っていた自分らしさを取り戻したからだ。

 個人事業主は、とにかく自由で楽しい。しがらみや社内政治、派閥や出世などとは無関係だ。さまざまな仕事に手を出しても、誰からも文句を言われない。

 ただし、お金だけがない。

 アルバイトを含めても、年収は社会人時代の半分にも満たなかった。

 そこで、この本はお金に重点を置いている。自分らしく自由で、しかもお金がある人生ならば、何も言うことはない。

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 本文では、現役の個人事業主が「こうしたらうまくいく」という鉄板メソッドをご紹介する。

 個人事業主になるのは簡単だ。税務署に開業届けを提出すればよい。

 しかし、個人事業主の運営は難しい。試行錯誤の連続であり、失敗も多かった。この本は、その経験を余すことなくまとめ、33のメソッドにしたものだ。

 個人事業主の運営が早く起動に乗せられるよう、この本がお役に立てれば幸いです!

© 2020 GOROLIB DESIGN

■■ 第1章:まず個人事業主ってなんなの?

■ 01. 青色申告は節税対策がたくさんある

 個人事業主とは、文字通り「個人で事業を行っている人」を指す。

 従業員を雇うことも、家族に手伝ってもらうことも可能だが、法人でなければ個人事業主と呼ばれる。

 確定申告では、青色申告が使える。青色申告のメリットは、控除や経費で節税できることだ。複式簿記により、最大65万円の特別控除を受けることができる。

 事業を手伝ってもらう家族のことを「青色事業専従者」と呼ぶ。事前に届出が必要だが、青色事業専従者に給与を渡すことで、節税ができる。

 個人事業主は、飲食店や税理士、デザイナーに多い。私も、デザインオフィスとして開業している個人事業主である。

 税務署に開業届けを提出すれば、個人事業主になれる。その際は屋号が必要となる。

 会計処理は後述するが、個人事業主は日商簿記3級程度の知識があると、かなり役に立つ。ぜひ取得に挑戦していただきたい。

参考:個人事業主とは?定義、会社員との違い、メリットとデメリット、なり方を解説|スモビバ!
https://www.sumoviva.jp/trend-tips/20181012_1606.html

参考:青色申告とは何か、白色申告と何が違うのか(メリットとデメリット) | クラウド会計ソフト freee
https://www.freee.co.jp/kb/kb-blue-return/difference/

■ 02. 業態のわかる屋号にする

 個人事業主の開業には、屋号が必要だ。

 私の屋号は、GOROLIB DESIGN(ゴロリブデザイン)だが、屋号に関する注意は以下の通り。

- どんな業態かわかりやすい。
- 読みやすく発音しやすい。
- 業務拡張しやすい。

 屋号は、わかりやすいほどよい。

 英語よりも日本語、漢字よりもひらがなやカタカナということだ。その点、GOROLIB DESIGN は及第点に届かない。

 まずは、屋号から業態がわかるようにしたい。

 これは、基本中の基本だ。私の場合、デザインオフィスなので「DESIGN」とつけている。

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