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セックスにおける気持ち悪さを味わいなおす


わたしと夫はセックスがうまくいっていなかった。日常生活のコミュニケーションさえうまくいかないのに、さらに高度なコミュニケーションであるセックスがうまくいくはずもない。

結婚してから夫は徐々に心を病んでいった。心のバランスを崩した夫はわたしに執着していった。特にセックスに対して。

セックスに執着されるのは本当に気持ち悪くて、でもその気持ち悪さを認めることは夫婦生活の終焉を意味していた。(生理的嫌悪は話し合いで埋まるものではなかったから。そもそも話し合いもできなかったけど)

わたしはどうしても子供たちの父親を手放したくなかった。当時はまだひとりで子育てしていく自信もなかった。
だからわたしは自分に気持ち悪いと感じることを禁じた。夫とセックスしながら、本当はゾッとするほど気持ち悪さを感じているのに、その感覚に蓋をして身体の中に閉じ込めてきた。

夫が亡くなった後も、その気持ち悪さの負債はわたしの身体にずっしりと降り積もっていて、自分では取り去ることができなかった。身体に触れると、その記憶がフラッシュバックして叫び出したくなり、気持ちよくなることなんてできなかった。

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