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「家事か地獄か」

稲垣えみ子さんの本、「家事か地獄か」を読み終えた。

大手新聞社を退社したことを機に、部屋や持ち物をサイズダウンした結果、結果的に、家事の時間が減ったので、なぜかについて考察したと言う話。

稲垣さんは、原発事故をきっかけに出来るだけ電気を使わない生活を始める。
そうしているうちに、冷蔵庫も洗濯機も掃除機も処分し、その生活にちゃんと順応していく。

私自身は、冷蔵庫や洗濯機がない生活は出来そうにない。掃除機もレンジもないと困る。

ただし、所家事やモノを溜め込まないことにより、逆に家事の手間を減らすという考え方は共感するところが多かった。

例えば、洗濯物はタライ1個を使ってその日のうちに手洗いしてしまう、ということはいまの自分も心がけている。

自分の場合は、その日身につけた下着と、手洗い向け、もしくは乾きやすい服に絞ってお風呂に入った時に手洗いしてしまう。

脱水と乾かす時に洗濯機や浴室の換気扇を使うという点では、電力に依存しているので、偉そうには言えないけど、「その日の汚れ物をその日に洗うこと」を心がけた方が洗濯物が溜まらない、ということは実感している。

また、献立の考え方は、とても参考になった。
火を通さない、もしくは火を通す、じっくり火を通すの3つの考え方だと献立はシンプルになるという考え方。

私は日々の食事について、献立を軸に考えておらず、冷蔵庫にある食材で何が作れるか、をベースに考えるタイプ。でもうまく献立を組み立てられない時もあるので、この考え方はヒントになった。

いろいろ書いてきたけれど、この本の一番の趣旨は、「自分の世話は自分ですることにより、結果的に自分を救うことになる」ということだと思った。

これまで仕事一筋で家事をしなかった男性が、妻が亡き後、生活を自分で構築することができず、結果的に没落してしまう、という例えが出ていた。
お金があっても、家事が出来ないと生活レベルが顕著に下がり、成り下がっていく、という趣旨の記載を読んで本当にその通りだよなあ、と思った。

そして、どんなにがむしゃらに頑張ってお金を稼ぐことはできても、誰もが老いを迎える。老いは男女問わずやってくる。

稲垣さんのお母さんは、老いることでいままで出来ていた家事が出来なくなっていく。
便利な道具を導入して、効率化を図ろうとしても、使い方を覚えられず、邪魔なものになってしまい、かえって塞ぎ込んでしまった、という記載を読んで、うちの母と似ているな、と胸が痛くなった。

老いに備えて欲望をコントロールし、生活をサイズダウンする努力が必要なのだと思う。
そんなことに気づかせてくれた1冊だと思う。

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