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【レストランレビュー】Rest

まさに北欧らしい、サステイナビリティにこだわった、環境に優しいレストラン。お店のコンセプトから、お料理のレベル、スタッフの対応まで本当に素晴らしく、自信をもってお勧めできるレストランです。ミシュランガイド掲載店。

Rest
住所: Kirkegata 1-3, Oslo
営業時間:水〜土 18:00-24:00
HP:https://www.restaurantrest.com/

Restへの行き方

Oslo中央駅から徒歩10分程度。おしゃれなバーや星付レストランなどが軒を連ねるエリアにあります。
アーケシュフース城やオスロ市庁舎などの観光地からも徒歩圏内なので、観光で訪れた方にもアクセスしやすい立地です。

通りに面した、おしゃれな看板
中庭の先に、レストランが見えます


廃材からできたアートや、譲り受けたインテリアが溢れる店内

1種類のみのコースはそれなりのお値段ですが、店内は至ってカジュアル。音楽もアップテンポの曲が結構な音量でかかっています。
ノルウェーは、よいレストランでもカジュアルで、変に敷居が高くなく、リラックスできるお店が多い印象です。

天井高めで開放的な店内

店内のほとんどのものは、リサイクルやリユースされたもの、というのだから驚きです。アート作品や植物、ソファ、テーブル、お水のボトル、お皿も一部はリサイクルだそう。実際に各卓に配られるお水のボトルは、形がバラバラでした。

店内には動物の剥製や自家製ピクルスがたくさん。シェフのお父さん(ハンター)が引越しの際に不要になって寄付された剥製たち。
ミンクが咥えるフラッグは、「どんな色(人種や信条)の人も、居心地のよい空間であるように」という想いが込められている、とのこと。

また、スタッフの制服も、Fretex(ノルウェーのセカンドハンドショップ)へ寄付された布を利用して縫製されたとのこと。
どこまでもサステイナビリティにこだわったレストランです。


"Rest"の名前の通り、市場の売れ残りや規格外の材料から生みだされる絶品料理

まずは、こちらがメニュー。個性的な名前がずらり。
一皿一皿の特徴や素材の由来を表しており、中にはユーモアたっぷりな名前も。
アペタイザーからデザートまで、20品近いコースです。

以下、コースの一部のお料理の写真です。

【SKIN TO SKIN】サクサクのCod(タラ)の皮で、Haddock(コダラ)を挟んだ一口サイズのアペタイザー。北欧定番のディルクリームと一緒にスタート。
【FAKE NEWS】一見キャビアに見えるものの、イカスミに鯖、オイスターで作られたスナック。
【A BITE OF BEET】噛んだ瞬間にぷしゅーっとビーツの甘酸っぱい味が広がります。市場では売れない規格外のビーツを、色んな調理法で。
【FISH BONE】ハーブの香りが印象的だった一皿。ラビオリの中には、Pike(カワカマス)という骨ばかりで可食部の少ない魚が入っています。貴重な白マスの卵、ロイロムと一緒に。
【A TRICK OF THE TALE】蟹のしっぽと、レッドフィッシュのすり身を焼いたもの。パラパラと降りかかっているものは、燻製された卵の黄身をすりおろしたもの。
【PUFF 1】小ぶりなメロンくらいの大きさのこちらは・・・
【PUFF 2】・・・スタッフが目の前でパシンと割ってくれます。ハラミのカルパッチョの下のドーム型クラッカーの中に燻製の香りが充填されて、パルメザンチーズとディルのソースが添えられています。ふわーっと薫るスモーキーな香りと、お肉がもう最高。
【MINI HALIBUT】市場では買い手がつかない小さなHalibut(オヒョウ)を使用しているので、ミニ ハリバット。椎茸の出汁と、海藻のサラダで、海と森が出会う一品。
【FRENCH KISS 1】オスロのレストランではまず見ることのない牛タン。牛タンを1週間塩漬けにし、その後2時間ずつ茹でて焼いた、とても柔らかい串焼き。間に挟まれたキャベルのピクルスもさっぱりと美味しい。
【FRENCH KISS 2】なぜ料理名がフレンチキスなの?と質問したら、「フレンチ風のソースだし、フレンチキスは舌だからね」との回答。
【EGG LAYING】卵を産まなくなった雌鶏のチキンムース。マデラ酒がほんのりと香り、フォアグラのような、しっとりとした苦味と旨味が味わえるスナック。
【RANGER GOLD】大きく育つのが特徴の鶏だが、大きくならず市場で売れない鶏を使用しているそう。カリッと焼き目が香ばしく、発酵セロリと相性が抜群。北欧名物ラムズロック(行者ニンニク)の花と葉が添えられています。
【KILLING ME SOFTLY】ゴートチーズ生産の為に大量に飼われる山羊。そんな捨てられる山羊の肉を使った一品。すこーし野性味があるものの、そこまでパサつきも感じず、ポークのようなお味。
【VALHALL】VALHALLとは、昔のノルウェーの伝説で、勇者がたどり着ける天国のような場所、とのこと。ブリオッシュのアイスにミード(蜂蜜酒)をかけて。これまでの濃厚なお肉のプレートの後味がさっぱりするような味付けです。
【メープルクラッカー】VALHALLの付け合わせクッキー。芸術的なかたち。
【OFF SEASON】昨年採れたルバーブと、一昨年採れたエルダリーフラワーが爽やかな
ソルベ。中にビスケットと濃厚なキャラメルが隠れています。
【CHERRY】ぱりっぱりの水あめの中にチョコレート。ヘタも食べられます。重そうに見えて、意外とさっぱり。
【BRINGEÆRLANDET】凍ったラズベリーにゴートチーズのアイス。デザートの締めくくりに、とってもフレッシュな一品でした。

本当に、幸せな贅沢なコースでした。何より、市場では買い手のつかないような食材を存分に利用していることがわかり、そのコンセプトに脱帽です。

全体的にレベルが高かったのですが、特にデザートの3品が、素晴らしく秀逸で、見た目にも美しく感動しました。このデザートだけでも、食べに行く価値があると思います。

お料理は、全体的に塩味がきつめだったので、お酒を飲まれない方には、やや塩っけが強いかもしれません。


サービス精神溢れる対応

お料理やお店の雰囲気に劣らず、スタッフの対応も、非常に居心地のよいものでした。
当日は誕生日のディナーに訪れたのですが、受付スタッフのみならず、ウェイターやシェフなど、テーブルに来てくれた方全員に「おめでとう」と言って頂きました。
(夫がバースデープレートを頼めないか事前に聞いてくれたらしく、「プレートは準備できないけど、その代わり全力でおめでとうって言うね!」と返信があったようです。笑)

また、お料理の説明を聞き直したり、何か質問しても、嫌な顔ひとつせず、笑顔で答えてくれました。レストランのスタッフ同士が、和気藹々として働いている、そんな空気感も感じられ、アットホームな空間でした。

ちなみに、レストランに飾られていたこちらの絵画は、3年前のオープン時のスタッフの顔を入れ込んだものだそうです。


コロナの影響もあり、今は当時のメンバーの1人しか残っていないと言っていましたが、こんな絵を飾っちゃうようなユーモアも素敵です。




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