マガジンのカバー画像

短編小説/1万字以上の猛悪凶徒

5
文字数1万字以上に渡り、非道を極め尽くした『短編小説』どもを収容するための監獄です。 筆者も力作だと戯言を申しております。
運営しているクリエイター

2024年1月の記事一覧

【短編小説】ポリごんの手口

【短編小説】ポリごんの手口

 目前を快速電車が線路を蹴るような乱暴な音を立てて通り過ぎていく。
 この荒々しさにして、快速、などという涼し気でスタイリッシュな単語は図に乗っていると思わざるを得ない。速、はまだいい。快、はない。音だけなら暴走列車と聞き違えるほどの武骨なけたたましさでありながら、自分を快いと名乗るのは買い被りすぎだろう。
 そうだ。何よりも、この線路を向こう側でせっせと生きるホームレスたちを軽蔑している。
 全

もっとみる