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グッテnote就労⑥  IBD患者さん向け就労イベントレポート「IBDとともに働き続けるコツ〜就職活動・フレッシュマン編」〜」

皆さんこんにちは。グッテnote編集部、サポートスタッフのランです。

IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病といった炎症性腸疾患)患者さんとそのご家族・パートナーの方のオンラインコミュニティ「Gコミュニティ」では、就労に関してIBD患者さんのお役に立てるようなイベントを開催しています。

昨年2021年度には、田辺三菱製薬株式会社様と共催で、オンライン就労イベント「IBDとともに働き続けるコツ」を3回開催し、たくさんの方にご参加いただきました。

昨年第1回目の就労イベント「IBDとともに働き続けるコツ〜事務職編〜」のレポートは、こちらからご覧いただけます。

今回は、2021年度第2回目の田辺三菱製薬株式会社様共催就労イベント「IBDとともに働き続けるコツ〜就職活動・フレッシュマン〜」のご報告をいたします。

【イベント開催の背景・概要】

IBD患者さんは日常的に腹痛・下痢などの消化器症状を抱えていることに加え、症状が悪化すると入院が必要となることもあり、仕事と治療の両立に悩む方が多いと言われています。

就職活動を行う学生さん向けや、会社で働き始めたばかりのフレッシュマンの患者さんを対象とした就労に関する情報提供は限られていたことから、「IBDとともに働き続けるコツ〜就職活動・フレッシュマン編」開催に至りました。

【イベント概要 】
名称:IBDとともに働き続けるコツ〜就職活動・フレッシュマン〜
日時 2021年10月30日(土)14時00分~16時00分
対象: IBD患者、IBD患者のご家族・パートナー
開催形式: オンライン (Zoom)
内容:IBD患者さん4名によるパネルディスカッション・参加者同士の交流会


【参加人数と登壇者情報】

パネルディスカッション:登壇者含む患者さん、もしくはご家族:40名
交流会:登壇者含む患者さん、もしくはご家族:21名
たくさんの方にご参加いただき、ありがとうございました!

当日のパネルディスカッションにご登壇いただいた4名の患者さんのプロフィールは、以下の通りです。

きっしーさんプロフィール
在学中の2003年に潰瘍性大腸炎発症。病識も低く、処方された経口剤をしっかり飲まない生活が続きみるみる悪化。1日20回以上の血便が続き、食事で出た肉のたたきを食べたことにより大量出血し、そのまま緊急入院。就職活動のプレ活動としてインターン先も決まっていたが断念。入院中は絶食でステロイドによる治療と血球成分除去療法にて寛解導入され退院。自分の病と向き合う為、医療関係の仕事に就こうと考え製薬会社への入社を志す。無事製薬会社でMRとして勤めることができ、縁あって現在は潰瘍性大腸炎治療薬の情報提供活動をしている。

Mr.12thさん プロフィール
2022年卒業・入社予定。就職活動中に体調が悪化し始めるも、2021年4月中旬に第2志望の企業(ボウリング/アミューズメントを取り扱う会社)から内定を獲得。その翌日に入院することとなり、その際クローン病と診断。小腸切除のオペを含む約2ヶ月の入院を経て7月に退院。現在は症状緩解で生物学的製剤などを服用中。来年の入社に向けて準備をしながら、病気との付き合い方を模索中。

まちさんプロフィール
小学5年生、10歳の時にクローン病を発症し、3か月間の入院生活を送る。それから18年ほど、大きな再燃はなく、現在は服薬とおおまかな食事管理のみ。就職活動は、大学と大学院で計2回経験。現在は、福祉関係の団体に所属し、今の部署では福祉現場で働く人向けの研修の企画・運営等を行っている。また、仕事以外では、埼玉県のIBD患者会でスタッフもしている。

つばささんプロフィール
2011年に大学卒業後、新卒で広告会社に就職し営業職に配属。1年目の冬(2012年2月)に小腸・大腸型のクローン病発症。発症後も変わらず営業職を続けてきたが、2018年にクローン病が再燃。半年間の入院/休職を経て2019年に人事に異動し職場復帰。現在は新卒採用業務を主としつつ、人材育成や障がい者雇用に従事。

【内容】

1.パネルディスカッション


IBD患者のまちさん(クローン病)/Mr.12thさん(クローン病)/きっしーさん(潰瘍性大腸炎)/つばささん(クローン病)によるパネルディスカッション
ファシリテーター:就労支援ネットワークONE 中金竜次氏

自己紹介の後、以下の内容についてお話しいただきました。

①就活時に病気のことは開示しましたか?開示する場合、どのタイミングが良いでしょうか?

まちさん:面接が進むにつれ突っ込んだ内容を聞かれるようになったので、小児の時から病気があるとそこで言っていた。その話をすると、面接官に眉根を寄せられてしまうこともあった。ただ、1回目の就活では1~10まで伝えすぎていた。2回目の就活では、その反省を生かして体調管理できているなど、伝え方を工夫した。その結果、今の会社と巡り合えた。

つばささん:人事の採用担当としては、非常に難しい。病気を会社がどう解釈・評価するか分からないので、特に会社から病気の開示を求められなかった場合、状況を見ながら開示する事を考えてみても良いと思う。

きっしーさん:どちらかというと性格的にあとでバレて何か言われるのが嫌なタイプなので、ESや履歴書で書く必要があれば書いていた。最終面接で体調について聞かれたら言っていた。
もし体調のことで内定をもらえないならば、その会社と本当に縁がなかったんだなと割り切りもできるし、それでも採用してもらえる所に関しては本気でその会社と向き合って貢献していきたいなという気持ちもあるので、そこはそういう判断軸だった。また、製薬会社を中心に受けていたので病気に対する忍容性は高いと思う。

Mr.12thさん:伝えないというスタンス。今の内定先の企業にも伝えていない。それは伝え方が難しい病気だと思うから。面接の大半が30分から1時間ぐらいの時間で、他にも十分な自己アピールをするのはすごく難しいと思う。実際に仕事をする中で、一緒に働く方に病気のことを分かってもらったらいいのではないか。

登壇者の皆さんそれぞれのお考えがあり、興味深かったです。私ランは伝える派ですが、Mr12thさんが仰っていた、伝え方が難しい病気だというのはその通りだなぁと思いました。

➁就活のストレスをどう乗り切りましたか?

まちさん:1回目の就活の方がストレスがあった。私にとって病気になったことは小学校の頃の出来事で、そこからの人生の方が今長い状態なので、病気についてしかめ面をされたら、自分自身を否定されたような気がした。
2回目の就職活動のときはちょっと言い方を変え、ちゃんと事実を伝えてできることも伝えて、という形にした。
ストレス解消として、映画を見たり趣味のことをしてプライベートを充実させた。また、友達と愚痴を言ったり、患者会で同じ状況の方と情報をシェアしたりもした。


つばささん:ストレスを乗り切ろうと頑張るんじゃなく、自分を成長させる期間だと考える。なるべくプレッシャーを感じないよう、見方を変える。
大変だけど、周りの大人もみんなやってきたんだからどうにかなると考える。解釈を変える。

きっしーさん:なんとかなると考える。内定に向けて努力はするけれど、あとはなんとかなると考えて気持ちを切り替える。

Mr12thさん:就活中が一番体調が悪かったので、あまり乗り切れていないかも…。でも、体調が一番悪いときでも、内定をもらえてなんとかなった。家族に話すことで、ストレス発散。
あと、就活生の皆さんにアドバイスとしては、できるだけ早期選考も受けてみるといい。その中で病気の開示をしたらどうなるか反応も見られる。実際に面接に行ってみて、実験してみる。意外にいい会社に出会えるかもしれない。

登壇者の皆さんから就活に挑む際の具体的なアドバイスがあって、わかりやすかったです。

まちさんの仰っていた「病気についてしかめ面をされたら、自分自身を否定されたような気がした」というご発言には共感します…><

ファシリテーターの中金さんも仰っていましたが、「世界は解釈でできている」ので、見方を変えたり気持ちを切り替えることも大事ですね。

③入社後に会社や周りの人に病気のことを伝えましたか?
・伝える時はどんな工夫をしましたか?
・昼食の時など、どうしていますか?
・平日の通院など、会社に配慮してもらえていることはありますか?

まちさん:面接で言っていたので、トップは病気について知っていた。仕事を始めてからは、上司には伝える。そのほかの同僚は、聞かれたら伝える、聞かれなかったら伝えない。自ら進んで伝えるわけではない。
伝えるときも病名をあまり出さない。本当に体調が悪いときに、「すいません、今日ちょっとお腹悪くてあまり動けないんです」のように言うが、「難病」と聞くと不安を持たれる方もいるので、伝える時は受け止める側へも配慮する。

つばささん:完全オープン。誰に対しても基本的に隠していない。その方が仕事をする上でもやりやすい。病気があっても病気がない人より仕事できたらかっこいいじゃない?というスタンス。

きっしーさん:IBDの薬を扱う製薬会社勤務なので、病気が武器になっている状態。
社員皆がこの病気に対して理解が非常にあるという環境。開示はしているし、それに対する周りのサポートであったり理解も非常に高い。
そういった意味では全くストレスなく、むしろ自分しかわからない患者目線のことなど、逆に会社の皆から質問されたりもする。

Mr12thさん:今はまだ伝えていない。これから伝え方や伝える量を調整したい。

まちさん:職場の環境的にお昼は基本持っていくが、外食の時は「和食で」と言う。あとは、ファミレス。
通院に関しては、仕事量は自分で事前に段取りをつけておけば、何も言われない。

つばささん:通院は有休使用で問題ない。半年入院後は産業医と相談して、通院に関しては特別休暇にしてもらったりもした。産業医を味方につける!

きっしーさん:昼食は普通に同僚と食べたり、お弁当を食べたり。あまり気にしていない。
製薬会社なので、治療のためには休みを使っていない。製薬会社のMRとして病院を訪問しているので、自分の担当している病院がこのIBD専門医で、仕事しながら治療してもらっている。特に休日を取ってということではないので、ちょっと特殊な事例かと思う。

Mr12thさん:家からお弁当を持っていったら「今日お弁当持ってきているので…」と断りやすく、盾になるかと思っている。
内定先はシフト制の仕事なので、平日休みになる。そのため通院は調整しやすそう。

製薬会社勤務のきっしーさんは、病気が武器になったり、仕事の合間に治療もしている(!)そうです。
伝える・伝えないも患者さんによってそれぞれお考えがあり、そして業界によって環境も様々なのだなと勉強になりました。

④病気と付き合いながら仕事をするにあたり、良さそうな資格や職種はありますか。

まちさん:まずは病気との付き合い方。体調をうまくコントロールできれば、この仕事ができないというのはないのではないかと思う。
在宅ワークも増えてきて、やれる仕事の幅も増えてきているのではないか。こういったセミナーなどの機会でいろんな話を聞くのもいいと思う。

つばささん:資格はあればあるに越したことはないと思うが、自分の興味があるものでいいと思う。あと、相談していただければ、いつでも相談に乗るので何でも言ってください。

きっしーさん:自己分析が大切。自分の病気に対する自己分析もしておいた方がいいのかなと思う。どういう時に体調が悪くなるかなど。

Mr12thさん:今、秘書検定を勉強中。社会人としての知識を手に入れておく。
興味があれば、栄養についてなど勉強しておくと、体調管理につながってアピールポイントになるかも。
病気だからダメじゃなくて、病気が強みになることもある。それを目指したい。

皆さん参考になるお話でした!!

また、ファシリテーター・中金さんの合いの手も面白く、和やかな雰囲気のパネルディスカッションでした。

2. 交流会

6名前後でルームを分け、パネルディスカッションの登壇者の方にも入っていただき、参加者間でお話をしました。

たとえば以下のような話題が出ました。
・パネルディスカッションの感想
・食事について、調子がいいときでも避けている物は?
・調子が悪いときにどうやって外食で済ませるか。
・資格について。持っていた方がいいものは?

資格については、ITパスポートなどがおススメとして出ました。

交流会では顔出しなし・聞くだけ参加もOKです。皆さんと気軽にお話しできればと思います。

長くなりましたが、イベントレポートは以上です!

【就労イベントのご案内】


グッテでは、今年も田辺三菱製薬株式会社様との共催で就労イベントを開催いたします。

「IBDとともに働き続けるコツ〜就職活動編〜」
日時…2022年7月23日(土)14時00分~16時00分
対象…IBD患者さん、またはそのご家族・パートナー
形式…オンライン (Zoom)

イベント詳細とお申込みはこちらの記事をご覧ください。


今回もお読みいただき、ありがとうございました~。
イベントへのご参加もお待ちしております。