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グッテnote就労③  IBD患者さん向け就労イベントレポート「IBDとともに働き続けるコツ〜事務職編〜」

皆さんこんにちは。グッテnote編集部、サポートスタッフのランです。

前回の就労記事でも書かせていただきましたが、私たちの運営する、IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病といった炎症性腸疾患)患者さんとそのご家族・パートナーの方のオンラインコミュニティ「Gコミュニティ」では、病気とともにどのように働くかという就労に関する相談やお悩みも多く寄せられます。

Gコミュニティでは、就労に関してIBD患者さんのお役に立てるようなイベントを開催しています。

今回は、2021年6月26日(土)14:00-16:00に行われた、田辺三菱製薬株式会社さんとの共催で実施されたオンライン就労イベント、

「IBDとともに働き続けるコツ〜事務職編〜」

のご紹介をします!

IBD患者さんは、日常的に腹痛・下痢などの消化器症状を抱えていることに加え、症状が悪化すると入院が必要となることもあり、仕事と病気の両立に悩む方が多いと言われています。

これを書いている潰瘍性大腸炎当事者の私、ランもその一人でございます。

このイベントでは、就労支援の専門家の講演、3名のIBD患者さんのパネルディスカッションや参加者同士の交流会を通して、IBDとともに事務職として働き続ける“コツ”を学ぶことが目的でした。


【参加人数】

〈講演+パネルディスカッション〉登壇者含む患者さん:23名、事務局:5名
〈交流会〉登壇者含む患者さん:15名、事務局:5名


【内容】

1.治療をしながら働く人のリテラシー~それぞれの働き方の為に~(講演)
講師:就労支援ネットワークONE 中金竜次氏


まずは、治療と仕事の両立について、両立支援に関わっていらっしゃる就労支援ネットワークONEの中金さんからお話しいただきました。

リテラシーとは「膨大な情報の中から必要な情報をぬき出し活用する能力」と定義して、合理的配慮についてや、相談先として産業保健総合支援センターなどもご紹介いただきました。

中金さんが最後に仰っていた、「就労には制度等外側の情報と、自分の価値観といった内側の情報、両方が必要では??」という主張に、なるほどなぁと思いました。


2.パネルディスカッション

IBD患者の
森さん(潰瘍性大腸炎)/abqさん(クローン病)/つばささん(クローン病)によるパネルディスカッション
ファシリテーター:中金竜次氏

自己紹介の後、皆さんが気になる以下の質問に答えていただきました。

  • 体調悪化時に、どうやって会社に理解してもらったか。

森さん)会社に言えなかった。周りのサポートを得ず苦労したので、もっと自分から言えばよかったと反省している。

abqさん)実際のシチュエーションを通して半ば強制的に理解してもらっている。あとは、まめに連絡することが大切。

つばささん)無理はしない。日ごろから同僚や上司にコミュニケーションを取っている。悪化した時より、日ごろからのコミュニケーションが大切では。病気は完全にオープンにしている。

  • 就活をどう乗り越えたか。

森さん)就活の時は、症状は安定していた。最初の会社の時潰瘍性大腸炎であると面接で言ったら落ちて、「あんなこと言わなくてよかったのに」と後日言われた。病気がハンディキャップだと意識してしまった。

abqさん)新卒を含め、クローン病を開示して就活していた。うまくいかないこともあったけど、秘密にして就職することはあり得なかった。今の職場は病気を開示+自分の希望の環境で働けていから、あきらめないでいいと思う。大きな手術をして障害を負ったことで、長く働くためにもモードが切り替わった。

つばささん)企業としては病気だけではなく、適性がないとして落とすことはある。でも理想を言えば、病気を理由にして断るような企業には入らない方がいい。開示した上で入社できる方がサポートもある。

  • 職種を変えたことについて

森さん)営業職→総務。人に会えたのは営業職のいいところ。お客さん相手なのでプレッシャーはあった。総務は、社内相手で、休みの日に出勤はない。やりがいは営業・総務両方ある。

つばささん)営業→人事。正直に言って、営業時代より人事の方が忙しい。人事は内勤。でも、今の時代は営業もリモート化している。今後はIBD患者でも営業職として活躍できるような環境が整ってくるのではないか?

abqさん)様々な仕事→情報システム。コールセンターなどの仕事は、自分のタイミングでトイレに行けず心配だった。情報システムの仕事は拘束性が低くなったので、楽になった。

  • こんな制度があったら良かったと思う点、みんなに一言

森さん)今思えば、サテライトオフィスでの勤務やリモートワークができたら通勤の負担が減るのでよかった。やっぱり周りに伝えることは大事。

つばささん)求職者も一人ひとりが企業を選ぶ立場。病気があるけど、他の人に負けないこういうスキルがある等、アピールポイントや個性を磨いていく。

abqさん)無給でも評価に入らない通院休暇があったらよいと思う。かつての職場では、合理的配慮をもっと活用したらよかった。また、一人で悩まないでGコミュニティなどで相談してみたら、孤独を感じずにすむのではないか。




お三方とも参考になるお話で、もっと色々お聞きしたいなぁと思いました!!

というのは、普段普通に働いていてモヤモヤすることがあっても、IBD患者さんと仕事について話す機会はあまりないのですよね…。

そもそも、周囲にIBD患者さんがあまりいないというのもあります。

また、治療や食事についての情報はあっても、就労についてはあまり相談する場がなかったり、アクセスするのにちょっとハードルが高かったり感じられて…。

たとえば、体調悪化時にどうやって会社に理解してもらったらいいのかなど、働くIBD患者さんにとってはあるあるシチュエーションです。

それを実際にどう相談したらいいのか、同じIBD患者という立場の人から話を聞けるのは貴重だと感じました。


3. 交流会

6名前後でルームを分け、参加者間でお話をしました。

たとえば、以下のような話題が出ました。

・病気を人事には開示して就職が決まったが、同僚や上司など、だれにいつ話したらいいか。

・就労する上で、どんなときに再燃しやすいか。再燃しないために気を付けていることはあるか。

・入院することになったら、だれにどう相談するか。

・難病患者の就労支援に関する情報をどのように得ているか。

・新卒の就活情報が少ない。

今回は学生の参加者さんも多く、若い人の就労支援の情報が少ないなど貴重なご意見をいただきました。

その他、ベテランIBD患者さんもご経験をシェアしてくださいました。

私たちスタッフにも参考になる時間でした。

登壇者・参加者の皆さん、お忙しい中どうもありがとうございました^^


【今後について】

このイベントは昨年開催されたのですが、グッテでは今年もIBD患者さん向けの就労イベントを企画しています!!

また情報がオープンになりましたら、こちらでも発信させていただきますので、ご興味のある方はぜひご参加いただければ幸いです。


潰瘍性大腸炎・クローン病患者さんとご家族向けのオンラインコミュニティ「Gコミュニティ」では、IBDと治療・食事・就労などに関する情報を発信しています。
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