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ヴィンテージオーディオのすすめ - 初めてのアナログサウンド

オーディオはカスタマイズ次第で無限の広がりを見せる奥深い世界。
「いい音」を追求するがあまり、底無し沼から抜け出せなくなり、気づけば何百万円も使っていたなんてことも(俗にいう「オーディオマニア」)。
音の質は、機材の値段だけでなく、機材の設置・接続方法、部屋のつくり、再生するメディアなどによっても大きく変わりますが、結局、音の感じ方は人それぞれ
いくら高価な機材を使っても、その音が良いかどうかを判断するのは自分次第です。自分好みのソフトに合わせて、自分好みの音に仕上げていくのがオーディオの愉しみ方のひとつ
総額100万円のシステムで「お手頃」と言われるハイエンドオーディオの世界ですが、より気軽にアナログサウンドを愉しむことを目指すgrcでは、最新の高級機材にはない魅力が詰まったヴィンテージオーディオをおすすめしています。

自分なりの工夫で楽しもう

必要なアイテムは何?

基本の三メカ

アナログサウンドを聴くための必要最低限の装置はスピーカー、アンプ、プレーヤーの三つ
スピーカーは音を鳴らすための箱であり、最も音の「味」を左右すると言っても過言ではないでしょう。メーカー、タイプ、形状、サイズなどによって音の鳴り方が大きく異なります。アンプを内蔵したものをアクティブスピーカー/パワードスピーカー、スピーカーのみのものをパッシブスピーカーと呼び、ヴィンテージものはほぼ全てパッシブスピーカーです。

アンプは、プレーヤーからの音の信号を増幅したり、切り替えたりする装置。入力を扱うプリアンプ/コントロールアンプ、出力を扱うメインアンプ/パワーアンプ、それらが一体となったプリメインアンプなどの種類があります。電気信号の増幅装置の種類によってトランジスタと真空管に分けられ、真空管のほうが方式が古く、価格も高くなります。AVアンプやミニコンポなどレコード用のPHONO入力端子を備えていない場合には、フォノイコライザーと呼ばれる機材が必要となります。一般的なDJミキサーはPHONO入力端子を備えているので、フォノイコライザーとしても使用できます。

プレーヤーは、レコード・カセットテープ・CD・デジタルファイルなどの音源を再生するための機器です。アナログというと、大抵はレコードを指しますが、カセットテープもアナログのメディアです。レコードプレーヤーはターンテーブルとも呼ばれます。カセットテープはカセットデッキやラジカセといった機器があります。ラジオはチューナーと呼ばれます。(ややこしいですね!)

アクセサリー類

メインの三メカに付随して、さまざまなアクセサリーが存在します。レコードに触れる針、カートリッジ、ヘッドシェルなど。レコード針は消耗品なので、交換品が手に入るかどうかも選ぶ際の重要なポイントとなります。そして、機材同士を接続するケーブル類、プレイヤーに載せるスリップマット、埃や汚れを取り除くクリーニング用品などは必須アイテムです。

収納家具

オーディオやレコードを設置・収納するための家具も重要なアイテムです。もちろん全て床に直置きや壁掛けというワイルドな方法もありますが、部屋の広さや聴き方に応じて最適な置き方を追求しましょう。オーディオ専用にデザインされた家具もありますが、費用を抑えつつ、自分好みのぴったりなサイズのものを手に入れるにはDIYでつくることがおすすめです。

アンプ=エンジン、スピーカー=タイヤ、プレーヤー=ハンドルと喩えられる

オーディオシステムの選び方のポイント

価格

まず第一に考えるのが、総額でいくらくらいのシステムにするか。ここで注意したいのは「安かろう悪かろう」の原則はおおむね、オーディオにも当てはまるということ。特にレコードを再生するのに不可欠なプレーヤーは1万円台で手に入る入門機も数多くありますが、スピーカー内蔵型やカートリッジを交換できないレコードプレーヤーは安さ重視の「その場しのぎ」のモデルが多く、長く楽しむのにはお薦めしません
おすすめは、プレーヤー・アンプ・スピーカーが別々のシステムで、自分好みの音を探求すること。頑張れば総額5万円以下でも揃えることができます。まずは既存の機材(スピーカーやミニコンポ)と組み合わせて、レコードプレーヤーを使ってみることで、予算を抑えることもできます。

デザイン・サイズ

オーディオは音楽を流すだけでなく、インテリアとしての側面もあります。年代やメーカーによってデザインは異なりますが、まずは見た目で好きなものを選ぶというのも、長く付き合っていくための大事なポイントですね。次に、部屋の広さや設置スペースのサイズを確認して、機材を置いてみたイメージを膨らませましょう。
一般的に、スピーカーやアンプは大きければ大きいほど音は良くなると考えられます。いわば、「大は小をかねる」という原則です。時代とともに、省スペース・多機能化が進んでいますが、元の構造をより小さく、より複雑にしていくので、素人目から見ても、無理がでてくるように思います。そのような理由から、スペースの余裕があれば、サイズが大きなものを選ぶことをおすすめします。ヴィンテージのオーディオはそもそも省スペースよりも、インテリアとして調和しやすいようにデザインされているものが多いため、ヴィンテージなテイストが好みの方にはなおさら佇まいが美しいオーディオが好まれますね。

機能・用途

どのような目的でどんなメディアを再生するかで、機材選びが変わります。特にリスニング用かDJ用か、音楽と映像と兼用か、といった点が重要です。今はまだDJはしないけど、いつかやってみたいなという方は、デジタルで気軽に始める方法もありますし、ピッチコントローラー(回転速度調節)付きのターンテーブル1台から始めて、後で2台に増やす方法もあります。
さまざまなメディアを楽しむ現代では、映画もいい音で楽しみたい、デジタルストリーミングで音楽も流したいといったニーズも多いことでしょう。そうなると「ホームシアター」か「ピュアオーディオ」といった、何やらたくさんお金がかかりそうな話になるのですが、ヴィンテージオーディオでもやり方によって映像もデジタル音源もお金をかけずに両方楽しむことができます。レコードにはまだ興味がなく、もっぱらデジタルストリーミングで音楽を聴く方でも、コンパクトなスマートスピーカーからステレオのシステムに切り替えるだけでも、格段に良い音を楽しむことができます。

出会いかた

新品の機材はネットや家電量販店などで簡単に手に入りますが、ヴィンテージ機材は基本的に一点ものなので、シチュエーション含めて、どうやって「出会う」かが、重要です。
まずは親族や友人など身近な人に要らない機材を譲ってもらえないか尋ねてみましょう。国産オーディオは1970年代〜80年代に全盛期を迎え、「一家に一台、ステレオシステム」というようにお茶の間に浸透していった時期でもあります。それから40〜50年を経て、自宅で使われずに眠っているオーディオも数多くあるはず。動けばラッキー、動かなくても修理して再利用したほうが新しく買うより安い場合が多いのです。
他には、オークション・フリマ、リサイクルショップ、オーディオ専門店などで購入する方法があります。オンラインのオークションなどでは動作の保証がなかったりする反面、運が良ければ格安で手に入れることができます。とは言え、年代物の電化製品なので、経年劣化による故障はつきもの。アフターフォローも含め、少し高めの金額になっても整備済みのものを専門店で購入するほうが安心です。何より、実際の環境(自宅など)で体験してみることが重要ですが、失敗した時の返品・転売以外の選択肢がほぼないのが現状です。

なんだかんだいって見た目で選んでしまう

ヴィンテージオーディオのススメ

わたしたちが、あえて手に入れにくく、メンテナンスも大変なヴィンテージ機材をおすすめするのには理由があります。

今となってはお買い得

最新のオーディオ機器は普及型のもので数万円、上位機種で数十万円、最高級品で100万円以上というのが相場です。ヴィンテージのオーディオ機器は、希少価値でプレミアムがつくものが多いものの、新品よりもリーズナブルな価格で手に入れることができる場合も多くあります。1970-1980年の当時の1万円は現在の2〜3万円相当(ざっくり2〜3倍)の価値とすると、当時の定価の1/2の価格で購入した場合、現在の物価水準で1/4〜1/6相当の価格で入手できることになります。国産の音響メーカーは現在でも世界で高い人気を誇っており、当時の日本メーカーの技術力やものづくりへのこだわりは高い評価を得ています。各メーカーが凌ぎを削ったオーディオ全盛期には、現代では到底なし得ない仕様とコストの仕上がりの製品を生み出していたりします。レコード同様、今でもそんな機材がまだまだ使えるということ自体が驚きです。
あらゆる機械と同様に、シンプルで電気的な部品が少ない機械ほど、メンテナンス次第で長く使うことができます。その点、半導体部品を多用するトランジスタアンプについては特に注意が必要ですが、スピーカーやレコードプレーヤーはシンプルな構造なので、多少のメンテナンスでも再生できるケースが多いのです。

一期一会の愛着が湧く

衣服、家具、時計、カメラ、車などと同じように、ヴィンテージものはいつどこで出会えるかわからない一点ものです。同じ製品でも、それまでの使われ方次第で、ひとつひとつの違いを生み出します。それだけ、自分のお気に入りに出会えたときの喜び、他とは違うという感覚は特別なものです。早々簡単に買い替えることが少ないオーディオは、以前のオーナーが愛着を持って使っているものが多いです。当時の平均月給の何倍もの価格のステレオシステムで音楽を聴くことは至高の娯楽だったことでしょう。
そんな大切にしてきた人の想いを引き継いで、月給の何倍とまではいかないまでも、それなりのお金を使って、割と大きなスペースを割いて、「音楽と向き合う」ための空間を自宅につくることで、より音楽に注ぐ愛情が深くなるのだと思います。

工芸品のようなタイムレスネス

何より、新品を買うよりもヴィンテージの機材を再利用したほうが環境にも優しいですね。あらゆる芸術や音楽作品にも言えることですが、本当によいものは時代を超えて人々から支持されるものだと思います。伝統工芸も工業製品も、人がつくりだしたもの。人が想いを込めてデザインされたものである限り、タイムレスな価値をもつ名品・名機は、むしろ時間の経過とともにその価値を増すことでしょう。便利さのニーズに応えてつくられた最新のものに価値を感じるか、これからも長く受け継がれていくものに価値を感じるか、人それぞれ考え方次第。わたしたちは、多少不便であっても、めぐりめぐって循環していくものにこそ価値を感じる人が増えて欲しいと願っています。

ヴィンテージオーディオのメリットの反面、当然ながらデメリットもあります。デジタルとの相性の悪さ、大きさ・重さ、メンテナンスの必要性、交換部品の希少性などなど。それらをもってしても、有り余る魅力で、Quality of Lifeを向上させてくれるのがヴィンテージオーディオであると感じています。

工芸品の佇まい

grcではレコードだけでなく、オーディオ機材に関するご相談も承っております。気軽にヴィンテージオーディオを楽しめるように、お客様のご要望に合わせてサブスクリプションプランなども都度お見積もり致しますので、お気軽にお問い合わせください。


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