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vol.02 A slightly flattened city...マスク越しにみる街、カクテル、「原宿」の風景

2020/07/09 配信記事
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最近まちがどうものっぺりして感じる。
なんでだろうと考えていた時、マスクで顔を覆っているからなのかもしれないと気づいた。

街を歩くとき、私たちは意外と、いろんな五感を使っている。視覚だけでなく、肌の感覚や匂い、音、光...大切な場所を思い返して見ると、さまざなま知覚情報を重層的に折り重ねて、私たちは街や場所を記憶していることに気づく。

新しい場所に行くときは特に、そのセンサーが敏感になる。でもどうも最近、それが感じられらない。顔の3分の2が覆われていると人の表情も見えなければ年齢もよくわからない。ただでさえスマホに夢中で一人空間に没入しがちな現代人は、マスクで益々都市の中で一人になっていくようだ。早くプハーっと息をし堂々と五感で都市を感じられる日が来て欲しい。そんなことを考えている私たちの頭の中を、今週もご紹介したい。

by Yukako

🎧 Podcast New Release

【#13】 新企画!Good Urban Cocktail(都市カクテル)始めます。
https://bit.ly/2ZDlUxV
【#14】 Good Urban Cocktail - NISHICHIBA / vol.02 Hello Garden 西山芽衣
https://bit.ly/2DkVWb2

Good News for Citiesでは、五感で都市を感じていた鮮やかの記憶を呼び起こす、新しい企画「Good Urban Cocktail ~ あなたの街、故郷、思い出の都市の味、教えてください~ 」を始めていく。 これは、大人の楽しみである「カクテル」という少し愉快な切り口から、それぞれの人の主観的で知覚的な街の姿を浮き彫りにし、美味しくみんなで堪能しようという企画だ。フレーバーや色、口当たりやデコレーションなど、無限大に種類のあるカクテル。あなたの記憶に残る街をテーマに、何でもオリジナルで作って良いと言われたら、どんな新しいレシピが生まれるだろうか。
この企画では毎回それぞれの人にとっての思い出の場所のカクテルを作りその「レシピ」と「物語」をpodcastとnoteで紹介していく予定だ。

第一回目は「渋谷のカクテル」、第二回目は「西千葉のカクテル」
👉noteではカクテルの写真や詳しいレシピを紹介中。
https://note.com/goodnews4cities

👀 Good News of the Week

ロックダウン以降の都市。オープンストリートか、車か?
都市デザインや建築をやっている人なら、英語の勉強がてら、「City Beautiful」というYoutubeチャネルをおすすめしたい。主に北米の都市計画について詳しくなれる。そんな「City Beautiful」が先日、コロナ以降の都市における車とオープンストリートについて、新しい動画を公開した。ロックダウンに伴い、世界中の多くの都市で、道路の閉鎖が行われ、空っぽになった、普段は車に占有されている道路を、歩いたり自転車で走れるようになった。感染リスクの少ない自転車という交通手段への注目は世界中で高まっており、パリはロックダウン解除以降も、市内の道路の一部を歩行者・自転車専用道として開放すると発表しているし、オーストラリア・メルボルン市では、駐車スペースを撤去し、全長40kmにわたる自転車専用レーンの整備を行う方針を示している。「City Beautiful」の新動画では、コロナをきっかけに、改めて車社会のあり方を捉え直すための議論や事例をおさらいできる。

学校は二度と同じ空間にはならない!? 教育と空間のこれから
ドバイを拠点にするインテリアデザインスタジオRoarが、コロナ以降の学校空間がどう変化していくのか、予測レポートを発表した。彼らは、先生1人が生徒に知識を詰め込むためにデザインされたこれまでの教室を、変えていく良い機会であると捉えているようだ。建物も、外観の美しさではなく、内部の機能性により重点が置かれ、インテリアもよりフレキシブルで多用途なものになっていくだろうと予測している(例えば持ち運べる仕切りで本棚にもなる家具)。オンラインも併用した教育に移行した未来では、学校空間には何が求められていくのだろう。家具や空間のマイナーチェンジだけでなく、そもそもの教育や学校のあり方を考え直す必要もあるのではないだろうか。幼い子供と共に都市部に住むのが心配な親、でもいい教育の選択肢はある、そうなった時、暮らしをどうするのか。オンラインでは確かに知識の伝達はできるが、心を育むことはできるのか。教育の機会格差も広がっていくだろう。もっと斬新にこれまでの常識にとらわれずに教育と空間は進化していかなければならない。

👭 Our Urban Diary

雨と都市のデザイン by Mariko
数年前、カナダ・バンクーバー に住んでいたことがある。カナダで一番気候が良い都市と言われているけれど、1年の大半は、しとしと雨が降っている。雨の日に外に出ると、大抵嫌な気持ちになることが多い。混雑して蒸しっとしたバス。お店とお店の間のちょっとした移動もいちいち傘をささなければいけないのもイライラする。べちゃべちゃの公園なんてもってのほかだ。そんななか、雨の多い天候にあったパブリックスペースのデザインを、改めて考え直そうというイニシアチブがバンクーバー にあることを知った。 バンクーバーのパブリックスペースの管理をする団体 The Vancouver Public Space Network (VPSN) は、雨をテーマに市民を招いて議論するワークショップ「Make It Rain workshop」や、雨の日に適したパブリックスペースデザインのコンペ「LIFE BETWEEN UMBRELLAS」を過去に開催している。アーカイブで、過去に集まったアイデアをチェックすると楽しい。コンペの受賞作品「Overhead Watershed」では、大人にとってはイライラする雨も子供にとっては楽しい水たまり遊びの日であることを指摘し、大人にも、雨の日の遊び心を取り返すデザインを提供している。バンクーバーの都市ブロガー、「This City Life」の記事に、雨に優しいアーバンデザインの10つのポイントというものもある。梅雨の真っ只中、雨と共存する都市デザインを、改めて考えてみたい。

中沢新一氏と歩いて見えた「原宿」の風景 by Yukako
「街には無意識の記憶がある。必ずしも人間中心の合理的なモデルに沿ったものではなく、その土地の気候や地形などに影響をうけて、民族的な性質や歴史などが複雑に合わさって形成されていくものだ。」そう話すのは、思想家・人類学者の中沢新一氏だ。『アースダイバー』の著書でも有名な中沢さんと原宿を探索したのは、去年の12月頃。NTT都市開発とTakramのリサーチ・プロジェクトで、中沢さんと対談させていただいたのだ。先週そのプロジェクトの記事が公開され、改めて、多様なトピックが「原宿」という街を起点に広がっていると感じた。中でも東京は、世界の中でもとりわけ自然の影響が色濃く残った都市であること、だからこそ、自然と科学の両面から世界を捉え直し、両者の融合を図って行かなくてはならないという話は、コロナウイルスにより都市のあり方を変化させなければならない今、強く響いた。都市も自然の一部であり、人間も動物である。だが、現在の都市は、自然と分断されすぎていると感じる。都市計画や建築の中に自然の原理を現代に合うかたちで取り戻し、都市の暮らしをデザインし直していくことを、これからのテーマのひとつとしていきたい。(建築家の山下朋文氏とのpodcastの会で話した、サステナビリティ×建築の実践の話も是非聞いて欲しい)

都市をテーマにしたバイリンガルのエッセイ集 by Mariko
「都市」をテーマに、世界中からアーティストやデザイナー、リサーチャーに声をかけて、エッセイを書いてもらい、ZINEをつくった。これから毎年1冊、さまざまなテーマで出版する予定で、日本語訳もついている。今回のテーマは、「I Was There(私はそこにいた)」。旅にも出れず、ビデオコールでなんでも完結してしまう時代に、「この場所に、いる / いた」ということ、そこから生まれる物語を、拾い上げたいと思った。Webメディアの時代に、わざわざリソグラフィーの2色刷りで、なかなか味のある雰囲気に仕上がりになっている。ぜひ手にとって読んでいただきたい。注文はこちら


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次回の配信もお楽しみに。
石川由佳子 / アーバン・プロジェクト・ディレクター(WEB/instagram) 
杉田真理子 / 編集者・リサーチャー(WEB/instagram

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