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デンマーク王立図書館で人類の進化とコミュニケーション科学の講演を聴いた日

今回は、たまたま立ち寄った図書館で、アメリカのデューク大学の教授の講演を聴いて考えたことを記録しておきます。

きっかけ

この日は、留学中のコペンハーゲン大学のテストが終わり、少し早めの夏休みに入ったところでした。
ブラックダイヤモンドと呼ばれている、デンマークの王立図書館に行ってみようと思い立ち、新調した一眼レフカメラを持って出かけました。
(美しい建築の様子は、また別の機会にまとめたいと思います。)

図書館に入ると、人が大勢いて、講演会ホールの前になにやら長い列ができていました。
人混みの先で「Nana!」と呼ばれたのが聞こえ、振り返るとデンマーク人の友人と彼の彼女がいました。
彼らは、その日に王立図書館で行われる講演会を予約者していた人のレセプションの仕事をしているところでした。

偶然会ったことにお互いに驚きつつ、テスト期間で会えていなかった分の近況を話しました。
話の中で、講演はアメリカのデューク大学の認知心理学教授、Michael Tomasello氏のものであることを教えてくれました。
「この講演は、とっても興味深いからこれから聴いていくんだ」
と彼が言ったので、「私も聴きたい!一緒に入れるかな?」
とダメもとで言ってみたところ、
「もちろん!いけるよ!!」とのことで、特別に講演を聴かせてもらえることになりました。ラッキー。

講演で学んだこと

この講演は、チンパンジーをはじめとする類人猿と人間の違いについての実験と考察を中心に話が進んでいきました。
講演の詳細な内容の記載は避けますが、この二つの種の大きな違いとして、類人猿がCompetition(競争)をする傾向にあり、人間の子供はCooperation(協力)することに喜びを感じる傾向にあることが論じられていました。
人間の子供とチンパンジーを対象にした複数の実験は、とても興味深かったです。
また、人間の目には白い部分があるのに対して、類人猿の目にはそれがないのは、人間にとって視線というものはコミュニケーションを取るためには非常に重要な要素であり、視線を認識するために眼球に白い部分が必要であるという話は、なるほどなぁと思いました。
一時間半の講演は、あっという間に終わってしまいました。

講演を終えて

講演が終わると、ワインやビール、ジュースといった飲み物や、チョコレートやサラダ、スナックのような軽食が提供され、参加者同士で交流する機会が設けられました。
デンマーク人の友人と、この議論いかに興味深いか、また、講演の中で紹介されていた実験について、文化的背景が異なる子供でも同じ結果になるのだろうかといった議論をしました。
そこで、コペンハーゲン大学の講義で扱われたフランスの社会学者、ピエール・ブルデューの「文化資本」という概念について思い出し、講演の内容と文化資本を掛け合わせて研究しても面白そうだと考えました。

講演会について

講演会について調べてみたところ、これを運営しているのは、
1742年に設立されたデンマーク王立科学文学アカデミー(英:The Royal Danish Academy of Sciences and Letters)という非政府組織でした。
以下のホームページから、過去の講演を見られるので興味がある方はぜひ見てみてください。(今回の講演は公開されていませんでしたが、もしかしたらこれから公開されるのかな、、、とも思っています。)

講演を終えて感じたこと

偶然参加できた講演を終えて、講演以外の事でも様々なことを考えました。

まず、足を動かして外の世界に出ることの大切さを改めて感じました。
やることがなくても毎日一つでも新しい経験をできるように、気持ちを外に向けていると、思いもしない良いことが起こることもあるということを学びました。

二つ目は、デンマークの教育の質の高さと教育機会の充実さを感じました。
アメリカから有名な教授を招聘し、若い人たちに向けて講義をする機会を作り、講演後には参加者同士で交流をする場まで設けていることに驚きました。

最後に

さて、これから長い夏休みに入ります。
デンマークの夏を楽しみ、ここでしかできない貴重な経験をしたいです。






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