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「コロナ禍でいまベトナムはどうですか?」10つの質問Q&A / ベトナム編④

海の向こうのベトナムで子どもたちとアートをつなぐ活動を続けているのは社会企業Tohe(トーへ)。これまでコロナ禍の新しい仕事づくり(&すごい行動力!)などのお話を聞いてきました。最終回となる今日はQ&A編です。

Toheの皆さんにたんぽぽの家のスタッフたちが、そぼくな疑問をあれこれ聞いてみました。お聞きした質問は全部で10コです。

質問1.コロナウィルスが広がったあと、ベトナムはどんな状況ですか?

2020年にコロナが始まってから現在ベトナムでは第4波の感染が広まっています。ベトナムではコロナの影響で最初の7ヶ月は、約63500もの企業がマーケットから消えました。

elliot-andrews-XIg2e8c6Soc-unsplash(1)のコピー

写真:Elliot Andrews on Unsplash

約3080万人たちに悪影響がおよび、120万人もの人が仕事をなくしました。
ベトナムの経済に短期的な面だけでなく、長期的な経済成長の観点からもダメージをおこしています。

人々の行動も変わりました。ウィルス感染の恐れから仕事場に行くのをためらったり、外での集まりに大して嫌悪感を持ったり。こうした変化は経済的にもダメージを引き起こしています。(代表 Vanさん)


質問2:. 収入が激減したそうですが、それ以外にむずかしかったことって何でしたか


去年から、常に社会やマーケットが変化し続けていて、なにも先が見えない状況だったのですばやく柔軟に適応することが求められていました。でも、Toheの事業モデルは複雑で, たくさんの部門やプロジェクトがあったんですね。実際は、なかなかその要求に対応できませんでした。

 コミュニケーションの問題もありました。特にロックダウンの時はチームメンバーでコミュニケーションをとるのが難しくなりました。(Vanさん)

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質問3:コロナウィルスが広まったあと、子どもたちのためのアート活動を続けるにあたって大きな問題は何だったんでしょうか?


2020年は3つの問題がありました。
1つ目はただでさえアートクラスの数が減ったのに、追い討ちをかけるようにそれも全部中止になってしまったことです。
2つ目は人材の問題。フルタイムの人が一人、仕事を辞めてしまってから、パートタイムの人がきてもトレーニングが追いつきませんでした。
そして3つ目の問題が、スポンサーがお金を支援してくれていた期間がちょうど終わってしまったことでした。

それで私たちがやってみたことは, 1番目のリアルでのアートクラスの授業ができなくなったことに関しては、子供たちのためにインターネット事業に力を入れました。4月にオンライン展覧会も行って、自閉症の子供たちのことを知ってもらう活動もしました。

同じように 2番目の人材の育成問題もオンラインを活用し始めました。新しいパートさんにはオンラインでトレーニングをすることで解決をはかったんです。

それから、他の組織と協力して新しくスポンサーを探しました。12月にイギリスの国際文化交流機関 ブリティッシュカウンシルからお金をいただくことができました。(ソーシャル部門 Thuさん)

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動物保護団体FourPawsベトナムと協同して、子どもたちのための野生動物に関する教育アプリを制作しました(提供Tohe)

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ユニセフベトナムと一緒につくった子どもたちのための環境教育アプリ 


質問4: Toheが働く子どもたちの年齢層は何歳ですか


子どもたちの年齢は一般的には5歳から10歳が対象です。自閉症など障害のある子どもたちの場合は、年齢制限がありません。(Thuさん)

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質問5.子ども達にどうやってアートクラスの生徒になってもらっているんですか?


Toheは大きく分けると2つのクラスの活動をしているんですね。
1つは一般的なクラスです。その場合は、Toheの担当者が子供たちが集まるセンターに直接出向いて、「協力していただけませんか?」ってお聞きします。

もう1つのクラスは上級者むけのアドバンスクラスで、アーチストから直接習うことができます。インターネット上でも募集をかけていますが、活動の歴史が長くベトナムで初めてこういった活動を始めた団体ということもあり、たくさんの人に知ってもらえてるんですね。なので、インターネットで募集をかけなくても、生徒さんの方から習いたいときてくれることもあります。(Thuさん)

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質問6.アートクラスをされる際のコロナ対策をどうされてますか?


ベトナムには新しい感染者の人が全くなくなった時期が過去3回あるんですよ。患者さんが増えているときにはすべての活動が中止になるので、政府の方針に沿います。また社会活動できる時が来たらその時にクラスを開きます。イベントはみんな中止になっています。(Thuさん)


質問7:Toheの商品のメインの販売先はどこですか。何か変化はありましたか?


Toheの商品の販売先は、一般のお客さんと企業の2パターンです。いままで企業にはギフトセットなどを販売してきました。

コロナ禍になって個人への売り上げはだいぶ減少しました。海外からの旅行者がいなくなってしまったことに加えて、Tohe の商品を扱ってくれていた外部の委託販売先がなくなってしまったことなどが関係しています。

企業の方も、イベント用のギフトを以前は発注してくれていたのですが、今回はイベントの中止があり、ほとんどがオンラインイベントに切り替わってしまったため、販売が減りました。

ただし国外との輸入や輸出が完全に止まってしまったため、企業の人たちは国内のものを購入してくれたんですね。なので、企業との取引の売り上げは全体的にはそんなに減りませんでした。(セールス部門 主任:Thanh さん)

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コロナ禍ではスターバックスと提携して、子どもたちのアートワークをつかってカレンダーもつくりました


質問8:コロナ禍でも、オーストラリアやアメリカなど海外のN G O団体からギフトセットの発注があったということですが、どういうきっかけで始まったんでしょうか?


今回発注してくれたオーストラリアとアメリカの組織は、Toheの創立者二人の関わりで、以前から団体のことを知ってくれていたんです。Toheの商品はストーリー性があるということで気に入っていただいていて。Toheの設立前の2006年より前から関わりのある団体です。(Vanさん)


質問9:オンライン展覧会を見てくれたビュワー数が63000人もあって、さらに7つの新聞社から取材があったなんて、広報の力がすごいんだなーと思いました。 どうしてそんなに多くの人たちに見てもらえたんですか?


理由は2つあるんですが。1つはF Bでいろいろな工夫をしたんです。
イベント情報をアップして、ボタンを1回クリックしてもらうだけで、そのイベントについていろいろな情報が入る仕組みなどです。

オンライン展覧会では、6人のアーチストの作品の動画を見てもらいました。そのほかにも、アーチストや作品のイメージやストーリー、またそのプログラムについての動画もいっしょに公開しました。

F Bではイベントページも作ったんですが、展覧会に関するお知らせはほとんどToheFunページ内でおこないました。

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写真:子どもたちのためのアートクラス等を行うTohe Funプロジェクトのfacebookページ

2つ目は、今までの長期的なつながりの結果なのですが、今回のオンライン展覧会を行う前からToheの名前はベトナム国内ではよく知られていたんですね。ネットで社会企業系の団体の検索をかけると、Toheの名前が一番上にきます。

あとは今までの長年の付き合いでメディアリストがあるため、新聞記者の方々にはイベントの際には情報を送って、取材してもらいました。T Vも放映してもらいました。(Vanさん)


質問10:.まだコロナ禍のまっただ中なので、途中段階だとは思いますが、いままでのプロジェクトを見直して、新しいチャレンジをしていった経験をいま振り返ってどんなことを感じていますか?


わたしは全てのことにはいい面と悪い面、2つの側面があると思っています。コロナウィルス感染症は私たちにも、全てのひとたちにもたくさんの困難とチャレンジをもたらしました。

でも、それは同時に私たちが変化して成長する機会だとも信じています。私たちは今よりもっとクリエイティブになる必要があるし、さらなるイノベーションを推し進めることが必要です。

とりわけ、他のパートナー団体や企業とのコラボレーションは、この時期極めて重要でした。

お互いにサポートし合おうとする中で、各々が持っている強みを生かしながら、一緒に成功を収めることが必要なんです。(代表Vanさん)

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カレンダーを作成したスターバックス社とは、去年一緒に子供たちのための遊び場をつくりました

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Toheのスタッフ(右から2、3番目)とベトナムの大手ネットショッピングサイト、Shopeeの社員たち。一緒にベトナムの南西部に子供たちのための図書館と遊び場を作ったその初日の記念写真です。左から3番目の女性が今回インタビューに答えてくれた一人のToheの代表のVanさん

(ベトナムのシリーズはこれにて終わりです。お読みくださってありがとうございました。また、Toheのスタッフの皆さん、ご協力ありがとうございました。)

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*この記事はオンラインでの「コロナ禍における障害のある人の仕事づくり情報交換会」イベントの番外編です。「同じ状況だった海外の団体にも話を聞いてみよう!」と今年の1月〜7月にかけて、たんぽぽの家事務局スタッフ数名がToheの皆さんと話したやりとりをまとめています。

(Uga)

=ベトナム編 シリーズ=


* 本事業は休眠預金を活用した事業です *

「コロナ禍を契機とした障害のある人との新しい仕事づくり」は休眠預金等活用法に基づき、公益社団法人日本サードセクター経営者協会 [JACEVO]から助成を受けて実施しています。


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