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アンケート調査の報告:コロナ禍を契機とした障害のある人との新しい仕事づくり

アンケートの背景と目的

新型コロナウィルスの影響により、障害福祉事業所など障害のある人のはたらく場も大きな影響をうけています。販売先の休業や営業自粛、イベントの中止、店舗への客足減少、得意先の減収など課題は多くあります。「今後が不安」「次の展開を考えている」という声に対して、新しい活動や事業のヒントが求められています。

そこで、このような状況を打破するために、障害のある人とともに工夫やアイデアを考え仕事をつくりだしている個人や団体を社会に発信するため、この度アンケートを実施しました。

今後はこのアンケートを基に、障害のある人の新たな仕事づくりのヒントになるように、ウェブサイトや冊子をとおして社会に共有していきます。

アンケート結果

期間:2020年11月25日~2021年1月10日
回答:159件(依頼数 688ヵ所/回収率 23%)

アンケート項目
① 団体情報(都道府県や生産活動の業種など)
② 新型コロナウイルスの影響で、どのような課題や困難がありますか?
③ 課題や困難に対して、どのような試みを行ないましたか?
④ 試みを行なった結果、どのような発見や効果や影響がありましたか?
⑤ 発見・効果・影響について、具体的なシチュエーションや内容について、自由記述でご記入ください。

①アンケート回答者の都道府県(全159件)

都道府県

①生産活動の業種(全159件/複数選択可)

生産活動の業種

[その他]医療・福祉、就職支援、散歩など体力づくり、生産活動をしていない

②新型コロナウイルスの影響で、どのような課題や困難がありますか? ※複数選択可

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[その他]訪問・面会が制限されている、精神的負担が大きい、今後の見通しや計画が立てられない

③課題や困難に対して、どのような試みを行ないましたか?

(アンケートから抜粋)

・インテリア事業部を立上げ、国内初のアイテムを揃えた輸入インテリア雑貨の店舗をオープンさせた。
・伝統産業を活かしたものづくりと販売に向けた検討・試作を行なった。
・地元の素材を使ったお菓子をつくり、人との接点が見える形で、地域に広がる商品を開発した。
・地元の野菜を絞ったジュースを18,000本を医療従事者へ届けた。
・コロナ禍に役立つコンテンツを作成した。
・オンラインイベント、オンラインプログラムの開催した。
・ラジオ番組を通して福祉現場の活動を毎週発信した。
・病院内は緊張感が高く、感染対策のためにマスク着用も必須のため、患者が病院職員の表情を読み取ることも難しい状況。そこで病院職員の働く姿を撮影した写真展「病院のまなざし」を院内で開催した。
・感染予防を行いながら展覧会を実施し、展示をベースにした映像作品を制作して無料で配信した。
・在宅で生産できる商品の開発に取り組んだ
・OEMの受注が増えた中で、SDGsを意識した製品企画をクラウドファンディングで行った。
・オンラインショップで通常商品以外にも期間限定商品の販売を行うようになった。
・寄付つき商品の展開を行なった。
・新しい生活様式を踏まえ、商品を持って販売に行くことをやめ、お客様に来ていただくために販売方法を見直している。そのための商品開発、販売や配達方法を再検討中。
・これまでの活動の振り返りをスタッフで行い、記事を公開した。展覧会の記録集と記事を連動することで販促につなげた。
・時間帯を区切った作業所の利用調整や、作業空間のレイアウトを工夫した。
・ICTを活用して障害のある人の仕事づくりを遠隔で行った。
・就労への基礎力が低下しないようにバーチャル空間を活用した訓練を行なった。

④試みを行なった結果、どのような発見や効果や影響がありましたか? ※複数選択可

効果や発見

[その他]オンラインのハードルが高い、仕事も収入も減った、貸付申請中、知恵を出しあいたい、特になし

⑤発見・効果・影響について、具体的なシチュエーションや内容について、自由記述でご記入ください。

(アンケートから抜粋)

・障害や福祉、製造業と関係がなかった人たちに会社や事業のことを知ってもらえた。
・デザイナー、地元企業、作り手と共同でものづくりを行うことができている。
・利用者の新たな面(創作力など)を発見することができ今後も楽しみ。
・クラウドファンディングでは、既存の商品を売るということにとどまらず、人や団体同士のつながりを強くすることを意識し、購入者から応援メッセージや別商品の購入など、通常の販売では味わえないやり取りがたくさん起こった。単に物を買う以上の楽しみや発見があり、販売者と顧客という関係以上のものが生まれているように感じている。
・商品(食品)を召しあがった人たちからお礼のハガキやメールをいただいたことはうれしかった事です。利用者本人の自信とやりがいにもつながります。
・雑誌『AERA』や『FRaU(フラウ)』などこれまでリーチできなかった医療や福祉と関係ないメディアに取りあげてもらうことができた。
・職員からは「職員への敬意を感じる写真に感動した」「他の職種の方のことが知れてよかった」という声、患者からは「院内は緊張感が高いので、職員の笑顔や人間性がうかがえてホッとした」「職員の姿に涙が出そうになった」という声が寄せられています。分断されがちなコロナ禍の状況において、人々をつなぐ力がアートにあると改めて感じました。
・映像作品では利用者を主役として起用。長らく眠り続けていた演技力が発揮された。
・外部のクリエイター、アーティストと様々にコラボレーション(映像出演、撮影等)したことは、舞台などの仕事が減っているアーティスト側を支援する側面もあったと思う。"
・オンラインを活用したマナー講座などは一方通行の授業になりがちで、特に利用者間のやり取りが極端に減っていったが、バーチャル空間でアバターを活用した訓練に切り替えることで、レクリエーションや双方の意見交換がスムーズに活発に行われるようになった。
・SDGsに関連した事業であったため、今後の企業活動には欠かせない環境問題について、深く知る良いきっかけとなりました。
・別の企業と協働する意義や可能性が見えました。
・トークイベントのオンライン配信や、オンラインでの研修会を開始したことで、これまで遠方で直接くることが難しかった人や、一人で移動が困難だった人など、初めて参加いただく方も多く、地域を超えた新たなネットワークが広がったように感じる。"
・企業に出向いての講師活動が難しい場合でもオンラインを取り入れることで受注先を拡大することができ、市外、県外でも引き受けることができる。ヘルパーの調整などのために外出ができにくい障害のある人も自宅から参加できるようになった。

情報交換会の開催

アンケートの回答者の中から、コロナ禍においても先進的に仕事をつくり出している事例をピックアップし、情報を共有しあうことを目的に「情報交換会:コロナ禍における障害のある人の仕事づくり」をオンラインで開催しました。

第1回 情報交換会:コロナ禍における障害のある人の新しい仕事づくり
2021年2月19日(金)~2月20日(土)
http://goodjobcenter.com/news/2419/
第2回 情報交換会:コロナ禍における障害のある人の新しい仕事づくり
2021年4月16日(金)~4月17日(土)
http://goodjobcenter.com/news/2463/

オンラインで交わされた内容は、編集を加えて随時noteでアップしていきますので、ぜひマガジンをフォローしてチェックしてみてください。

本事業は休眠預金を活用した事業です

「コロナ禍を契機とした障害のある人との新しい仕事づくり」は休眠預金等活用法に基づき、公益社団法人日本サードセクター経営者協会 [JACEVO]から助成を受けて実施しています。

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