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「時間の矢」時間は未来から過去にも流れるが無駄遣いはできないのが人の常

「時間は逆戻りするのか」という本がある。著者は高水裕一さん。筑波大学計算科学研究センター宇宙学研究者の理学博士だ。

時間は過去から未来に流れているというのが、まぁ、通常の考えられ方だし、どう頑張ってもそういう風にしか観測できない。(1年後から今に向かっての時間の流れを観測している人がいれば、ぜひ会ってみたいもの。)

過去から未来に流れていくこの時間の流れは「時間の矢」と呼ばれるそうだ。天文学者のエディントンが、宇宙が始まって以来、ずーっと過去から未来という一方向に流れているのが一直線に飛ぶ矢みたいだから、そう名付けたらしい。

ただ、最新の物理の世界では、どうやら時間は過去から未来への一方向ではなくて、未来から過去への方向にも流れてるよねってわかってきた。

じゃあ、時間は逆戻りするのか?それを観測することができるのか?ってことを読者と一緒に考えていくのがこの本で、めちゃくちゃわかりやすい本なので、ぜひ科学テーマが苦手な人でも読んでもらいたい一冊。


時間の逆戻りは科学者にお任せするとして、過去から未来にしか流れない時間の矢の世界しか観測できない僕たちは、時間をいかに生み出し有効に使うかがとても大事なこと。

お金は増やせるけど、時間は増やせないから、(時にはお金を使ってでも)時間を奪われないようにすることは現代人にはめちゃくちゃ重要なテーマ。


「便利」は時間を生み出せるが時間は奪われ続ける

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現代人はPCやらスマホやら、とても便利なアイテムを持っている。超複雑な計算でも一瞬でやってくれるし、調べものだってあっという間に答えを返してくれる。文章だって、手書きしかできないなら膨大な時間がかかるけど、PCで打ち込んでネットにアップしちゃえば一瞬で終わる。

だけど、1日の労働時間って、大体8時間~12時間ぐらいで、全然減ってない(笑)

調理だって、火を起こすのに時間がかかるわけでもない。ガスや電気、それを活用した器具が発達しているけど、料理人の時間はまだまだ足りない状況。

便利になって省略された分だけ、なにかしら別の仕事をぶち込んでしまうのが人間だから、人類にとって時間を使わない時間なんて存在しない。

ただ、今までよりも価値を生み出せることに使えるようになった。


料理人が生み出せる「時間価値」は非常に高い

たしかに時間は奪われ続けてしまうんだけど、火を起こすのに使っていた時間は別のもっと価値ある仕事に使えるようになったし、配達に使っていた時間はUber Eats なんかがやってくれるようになったし、時間をより価値を生み出せる仕事に使えるようになった。

料理人は職人であり、アーティスト。

そう簡単に代えがきくものではない。

ミシュランスターシェフの代わりに仕込みや調理ができる人が何人いるのか?というと、場合によっては0人かもしれない。

Uber Eats の配達人がシェフの代わりに仕事はできない。PCをパチパチやってるホワイトカラーが1時間、料理人の代わりに仕込みをしても無駄にしかならんだろう。料理人が職人技と美意識による芸術性を発揮してこそ、美味しく楽しめる料理が生み出される。

1時間の仕事で生み出せる価値は唯一無二とも呼べるものだ。

それほど超貴重な料理人の時間を誰でもできることに使って、時間価値を下げてしまってるってヤバくないか・・・?


時間価値を高めるためのIT

例えば予約管理を料理人がする必要はあるだろうか?

マジでまったくない。皆無。


電話で時間を奪われ、予約台帳ノートをペラペラめくって、

「あ~すいません。その日はもう満席で、、、」

「あ、じゃあ、いいです。」ガチャ・・・


この時に生み出された価値は0円。

こんなことに時間を使っているってめちゃくちゃもったいない!

唯一無二の仕事ができる料理人の貴重な時間を贅沢に使いすぎだろ。サッカーでいえば、メッシ選手をサポーターの旗振り役で使うようなもん。そんなことしてたらメッシ選手に給料出してるオーナーも、見に来た観客もガチギレする。

電話番も予約管理も誰かに任せてしまって、料理人は料理に没頭すればいい。で、電話番だけに時給払うのもったいないから、お弟子さんみたいな人が料理しながらやってたりするけど、それもマジでもったいないと思う。

そもそも料理人は職人であり芸術家なんだから、時給で働くのがおかしい。時間で切られてしまえば、いつ技術の鍛錬をして、芸術性を高めていけるのか?時間で働くのではなく、職人としての働き方を考えて制度設計していかなければいけない。

ただ、今は時間給で働くわけだから、そんな誰でもできる仕事をしている場合じゃない。マジで時間がもったいない。

じゃあ、どうするのか?

誰でもできる仕事なんてITを活用してしまえばいい。

極論、すべてオンライン予約でデジタル処理してしまえば、予約電話に1秒も時間を奪われずに済む。なんと簡単な話だろうか。

常連さんには常連枠を用意して、出禁の人を登録して予約取れないようにしてしまえば、あとは自動的に予約が入ってくる。

営業終わりにでも予約状況を確認すれば予約管理にとられる料理人の貴重な時間は限りなく0に近づく。

料理人だけではなくて、シンプルにできる仕事はまっだまだたくさんあるので、本来は時間価値の高い人に本来の仕事ができるように取り組んでいこう。

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