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今週のグッドデザインを紹介します(8/26 〜8/30)

今日は、 8月5週(8/26〜8/30)のとれたてグッドデザイン5点をまとめてご紹介します!


8/26 デジタルイメージングマイクロスコープ[ECLIPSE Ui]

接眼レンズをなくし、ディスプレイで観察画面を直接確認できる、病理医の診察業務の時間短縮と効率化を実現する顕微鏡。

ECLIPSE Ui

受賞者によるデザイン紹介
病理診断で何時間も顕微鏡に向かう病理医、検査医、検査技師等をターゲットとした医療用デジタル正立顕微鏡です。身体的・精神的負担を最大限ケアし、長時間にわたる顕微鏡観察に集中して取り組めるようサポート。データの供覧、マクロ画像とXYステージ移動との連携などデジタル観察ならではの様々なソリューションを実現します。

審査委員からのコメント
長い実績を持つ専門機器ほど、かくあるべしという固定概念が生まれがちだが、時としてそれが時代の求める進化や革新を阻む障壁になることもあるだろう。この正立顕微鏡は、そのような観念を打破し、新たな価値観を取り入れるべき時代の到来を感じさせる製品である。顕微鏡のアイデンティティとも言える接眼レンズを廃し、ディスプレイで直接観察画面を確認・あるいは共有することにより、病理医の身体的負担を軽減し、ワークフロー改善を実現した点が評価された。オールインワンであることによる設置性の高さ、観察画像を中心に据えたGUIなど、これからの時代のニーズに応えた新たな顕微鏡の在り方を示しているといえよう。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/19057

8/27 つめ切り[SUWADA つめ切り「平刃」]

刃先が「平刃」の左右対照の形状で、安全でだれでも扱いやすいやさしい爪切り。

SUWADA つめ切り「平刃」

受賞者によるデザイン紹介
従来の爪切りの刃を左右対照の形状にして、順手で持っても逆手でも使いやすい形にしました。水平でごくゆるやかなカーブの刃は、手と足どちらの爪もきれいに整えることができますが、特に足の爪には最適な形状です。刃先が尖っておらず、相手の人に向かないことで、介護や育児の場でも安心感をもってお使いいただけます。

審査委員からのコメント
従来のニッパー型だと切った爪が飛ぶことが多く、そのために爪が飛ばずに格納できるカバーが付けられているものも多かった。しかし、そのカバーのせいで切りたい爪が見えにくくなる課題もあった。そもそも、刃先の加工精度が高ければ爪は飛ばないということも使ってみて確認できた。当然のことだがカバーが無いことで爪を切る際の視認性も損ねていない。刃の曲率が小さいと爪が刃に隠れて見にくくなるのと、一気に爪を切るために切り過ぎる状況を生むので、この大きなカーブの刃は爪を見やすく切り過ぎない設計になっている。さらに従来のシリーズにはないシンメトリーな平刃にすることで、持ち手を反対にしても切りやすいポジションが選択できるように思えた。また従来の斜め刃で子供や介護される方などの誰かの爪を切る場合に与える尖った刃先の怖さも、この平刃で解決できたように思った。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/18763

8/28 網膜投影カメラキット[DSC-HX99 RNV kit]

視力に問題を抱えた人が美しい風景を撮影し感動を共有するための、網膜投影カメラキット。

DSC-HX99 RNV kit

受賞者によるデザイン紹介
ロービジョン者の創作意欲に寄り添い、「見る」「撮る」「シェアする」をサポートするために、ソニー製デジタルスチルカメラ サイバーショット『DSC-HX99』とQDレーザ製網膜投影型ビューファインダ『RETISSA NEOVIEWER』を組みあわせた網膜投影カメラキット。

審査委員からのコメント
「ロービジョン」と呼ばれる日常生活に支障をきたすほど視力に問題を抱えた人向けの、視力に依存しない網膜投影ビューファインダーを搭載したカメラキットである。本製品は単に「見える」ことを目的に作られたものではなく、美しい風景を誰もが同じように感動したり、シェアするなど写真に付随する楽しさを伝えたりすることを目指したことにあり、人間の感性を尊重する理念が最新の技術となって実装されている。その製品化までの成り立ちもユニークで、違う技術を持つ会社同士がお互いの理念をリスペクトする事で商品化にまで至ったその背景は、学ぶべき美しい姿勢であると言ってもいい。最先端のテクノロジーがただ利便性や不便さを取り除くものではなく、豊かな感性を満たすために作られた点を審査委員一同高く評価した。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/20381

8/29 保育園[かしまだ保育園]

風車状に繋がる保育室が年齢の違う子どもたちの交流を生む、効率的で創造的な廊下のない保育空間。

かしまだ保育園

受賞者によるデザイン紹介
川崎市の公立保育園民営化事業として旧園舎から移転・新築された保育園。風車状に連なる保育室は、旧園舎のエッセンスを取り入れつつ、より豊かな環境となるようデザインした。園庭は、大小の木々が茂る既存の緑道とも繋がり、地域の人々と園児・保育士たちがお互いの様子を感じながら活動が行われる関係をつくりだしている。

審査委員からのコメント
一見は風車ふうのシンプルな保育園だが、大胆かつ繊細な教育の空間に仕上がっている。教育者と設計者との対話は極めて緻密かつ挑戦的だったのだろう。守るべき点は守り、変えるべき箇所は見事に見え隠れする空間に変わった。教育・運営・建築が同時に挑戦した成功事例であり、高く評価されるべきだ。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/17758

8/30 防災スリッパ[いつものもしも防災スリッパかかと付き]

普段はかかとを踏んで脱ぎはきしやすく、もしものときはかかとを付けて脱げにくくできる防災スリッパ。

いつものもしも防災スリッパかかと付き

受賞者によるデザイン紹介
災害時に釘やガラスの貫通を防げるよう、踏み抜き防止シートを入れました。踵は脱げにくいようゴム付きです。

審査委員からのコメント
防災の日常化という取組みを2008年から継続されているとのこと。本製品の開発に際しても、その取組みを通して、被災者の方との対話、試作、試用、検証を重ねての丁寧なプロセスが伺えた、JIS基準をクリアする性能で万一の時は「走れる」仕様であること、なるべく買いやすい価格の実現など、啓蒙活動から製品化まで一連の取組みに高い評価が集まった。願わくば「いつも傍に置きたい日用品」として、デザインのさらなるアップデートを期待したい。

https://www.g-mark.org/gallery/winners/15923

この連載では、グッドデザイン賞インスタグラムで毎日1点ずつアップしている受賞作品をまとめています。
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