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【前編】ソーシャルGOODなCOFFEEを飲みながらSDGsの開発目標「貧困をなくそう」をテーマにスペシャルゲストと語り合う。

世界の貧困問題と向き合うとはどういうことか?ソーシャルビジネスの実情は?自分たちにできることはあるのか?ゲストをお迎えして、
GOOD COFFEE FARMS代表カルロスと一緒に語り合いました。

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今回話をきいたのは?

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スペシャルゲスト
原口瑛子
1985年生まれ、熊本県出身。
国際協力機構(JICA)にて中南米地域を担当。2015年ボーダレス・ジャパンにジョイン。ビジネスレザーファクトリー株式会社代表取締役社長。

対談するのは?
カルロス・メレン
1980年生まれ、グアテマラ出身。
2000年に日本に移住。2011年に高級グアテマラ産コーヒーをセレクトするブランドを立ち上げ、2016年に自転車式脱穀機を使ったコーヒー生産を開始。GOOD COFFEE FARMS株式会社代表取締役社長。


自己紹介とビジネスレザーファクトリーについて教えてください。

原口)私は高校生の頃から「貧困をなくしたい」という志をもっていました。当時、最大のインパクトを出せると考えていた国連で働くことを目指し、日本の援助機関であるJICAで働き、中南米地域の担当をしていました。今は、社会問題をビジネスという手段で解決するソーシャルビジネスにアプローチを変えて、バングラデシュの貧困層の雇用を創る「ビジネスレザーファクトリー」という事業をやっています。


ビジネスレザーファクトリーは、アジア最貧国といわれていたバングラデシュにおける貧困層の雇用創出のために2014年に始まりました。シングルマザーや障がい者、親のいない若年層などを仲間として迎え入れ、現地の自社工場で革製品を生産、日本で販売するビジネスです。現在、全国18店舗の直営店があり、 EC サイトでも販売をしています。
私、GOOD COFFEE FARMSのYouTube を見て、なるほど!こういうアプローチで雇用を創ってるんだなぁって勉強になって 、今日の対談を楽しみにしていたんです。いろんな方との繋がりが社会を変えていくと思うので、よろしくお願いします。

そもそもSDGsについて、どう考えられていますか?

原口)SDGsの最大の功績は、「誰一人取り残さない社会」という言葉が様々なアクターの共通目標になったことだと思います。それまでのMDGs(ミレニアム開発目標)は国連や政府が主体で策定された途上国での目標でしたが、SDGsは民間企業や一般の方にも巻き込んで策定され、先進国の目標にもなり、「みんなでやろう!」となったことの意義は大きいと思っています。いま、Z世代など私たちより若い世代の意識がすごく高くて、ストローを紙にしようとか、マイボトルを持とうとか、そういう行動が当たり前になっていて、しかもそれがCOOLだよねってなっていく。社会は、いい方向に向かっています。世界にとっていい選択をしたい時に、普通のコーヒーよりもGOOD COFFE FARMSのコーヒーを選ぼう、となっていくと思いますよ。

カルロス)ありがとうございます。まだ日本だと「SDGs」だけど、ヨーロッパとかはもっと何歩も先をいっていますよね。

原口)そうですね。「サーキュラーエコノミー」(循環型経済)とかもそうですね。。検索ワードのボリュームを見ても、日本だと「SDGs」が上位だけど、ヨーロッパはもう「サーキュラーエコノミー」の方が上位だと聞いたことがあります。持続可能な社会を実現しようとした時に、具体的なビジネスモデルやアプローチが出てきていますよね。

そもそもどうして、貧困をなくすために雇用創出なんですか?

原口)貧困をなくすとなると、支援や援助をイメージすると思いますが、より持続的なアプローチとして、雇用創出があると信じています。
バングラデシュってカルロスさん、行かれたことありますか?

カルロス)いえ、まだ行ったことはないですね!

原口)そうですよね...!バングラデシュってガイドブックの「地球の歩き方」がすごく薄いんですよ(笑) サブタイトルが「混沌の国を巡る旅人に会わない旅」。行ったことない方のほうが多いと思います。だから、少しバングラデシュのことについて、説明させてください。
バングラデシュは、国土がとても小さな国で、日本でいえば北海道と東北を合わせたくらいのサイズに、日本の人口より多い1億6千万人が住んでいます。カルロスさんの故郷のグアテマラより、国土は少し大きいくらいのサイズに、約10倍の人々が住んでいるイメージです。

カルロス)僕もそれを知ってびっくりしました

原口)首都のダッカは、世界一人口密度の高い都市と言われていて、地方から都市に人がたくさん集まってくるんですが「仕事」がありません。失業率が5%と高く、特に女性は7%と男性より高いんです。近年、バングラデシュは縫製業が牽引して、経済成長をしていて、一昨年などはGDP成長率が8%、過去最高の成長率でした。一方で、人口の約15%ぐらいの人々が、1日1.9ドル(国際貧困ライン)以下で生活しているのが現実です。

1億6千万人の15%だとめちゃくちゃ多いですよね。

原口)多いですよね、じゃあそういう人たちに何ができるか?
私自身が世界中のいろんな途上国を訪れた時に、物乞いをして生活をする人々や子ども達にも、たくさん出会いました。特に印象的だったのは、フィリピンの「スモーキーバレー」で生きる人々。昔は「スモーキーマウンテン」と言われていた、いわゆるゴミ山なのですが、そこでゴミを拾って換金して生活してる子ども達がいたんです。

原口)彼らが、貧困に陥らないための解決方法はいろいろあると思います。
例えば、その子どもたちの教育のために学校をつくる、とか、その親に金銭的援助をする、とかも一つのアプローチかもしれません。
でも、その子ども達が働く本質的な理由は、その親に安定的な仕事がないから。だから、一つの解決策として、その親たちに安定的な仕事がある、ということはとても重要なことだと考えています。彼らの親に、安定的な収入があれば、そのお金を貯金して、子どもたちの学校の資金にしたり、病気になった時に病院に行かせてあげたりなど、自分たちの手で未来を描くことができる。その未来を創るためにも「雇用」が必要だと思っています。貧困は次世代まで続いていきます。だからこそ、この雇用創出が、貧困の連鎖を止める一つのアプローチになると考えています。

未来の展望を教えていただけますか?

原口)ビジネスレザーファクトリーでは、「働く」と「生きる」を実現できる一つのでっかい村のようなコミュニティーを作りたい、と考えています。私たちはそれを「ボーダレスヴィレッジ」と呼んでいます。例えば、食事を提供できる食堂や、教育・医療の機会も創っていきたい。2017年には工場内に託児所を、2020年にはアフタースクール(学童保育)を作りました。貧困は「お金」がないことだけではなく、さまざまな「選択肢」がないこと、だと考えています。だから、衣食住、教育、医療、などの機会を創る。私たちがその「ロールモデル」となり、世界中でそのモデルが広げられるといいな、と考えています。

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次回は、ビジネスモデルを深堀りして「ソーシャルビジネス」に迫りたいと思います。中編へつづく。

まとめ
「貧困は世代を超えていく、そこを打ち切りたい。」原口代表の強い意志を感じた。結局は親に仕事があればいい、ということ。仕事があってちゃんと自分たちの生活を自分でやりくりして、自分たちで未来を描けたらいい。貧困問題を断ち切るためには「雇用」の創出が不可欠。ビジネスレザーファクトリーの理念は「働くをたのしく」。多くの人が働くことへの課題を抱えているとおもうが、改めて働くことの意義を考える。安心して安全な場所で「はたらくこと」その尊さを知る。


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